踊る海賊

2009年8月20日 映画
1948年、ヴィンセント・ミネリ監督作品。
米盤ミュージカルDVDボックス、"Classic Musical from the Dream Factory volume 2" より視聴(英語字幕あり)。最近ジュネス企画から日本語字幕版も出ましたが、ソレ一枚とそう変わらない値段でMGMミュージカルが7本も入ってたんだもの~。(参照http://13374.diarynote.jp/200902271555324824/)…しかもジュネス版は発色悪いという噂も?
最大のお目当てはアステアの2本とデヴィッド・ニーヴンの1本(本当はマリオ・ランザ&キャスリン・グレイスン)なのですが、外堀から埋めるタイプの私はこちらを先に見てみました(笑)
「大海賊に憧れるお嬢様を“大海賊のふりをして”口説く話」らしいと聞いていたのも、帆船好きの私としてはひそかに気になる設定で。「折れた槍」同様、結構色々妄想したなあ…

カリブ海に浮かぶとある島、時代は18~9世紀頃?
箱入り娘マニュエラ(ジュディ・ガーランド)は叔母達から、市長ドン・ペドロ(ウォルター・スレザク)との結婚をお膳立てされているが、噂にのみきく"海賊マココ"へ、ロマンチックな憧れを抱いている。島を訪れた芸人一座の座長セラフィン(ジーン・ケリー)はそんな彼女を見染めて熱烈アプローチ。舞台に引っ張りあげて催眠術で住所や好きな相手を聞き出そうとする。彼女はトランス状態からマココへの憧れを派手に歌い踊るが、正気に返ると家へ逃げ帰ってしまう。

強引なセラフィンは懲りずに仲間と共に彼女の家へ押し掛けるが、怒った市長に叩き出されそうになる。ところが、乗っていた船がマココに襲われたことのあるセラフィンは、市長こそが(元)海賊マココであると見破り、官憲に正体がバレることを恐れる市長の事情を逆手に取って一座の滞在を認めさせる。ついでに「自分こそが実はマココ!」と宣言して、進退極まった市長や町の人々に「マニュエラを俺の所へ連れて来い」と命じるのだが、さすがにこれはやりすぎで、彼女の心は捕らえたものの、海賊として処刑されそうになり大ピンチ!

とてもカラフルで、ドタバタ度の高いラブコメ・ミュージカル。ジュディの歌とケリーのダンスも見ごたえ十分だし、終盤、ハメられたセラフィンと「海賊じゃなくてもセラフィンを選ぶ」と決めたマニュエラが如何にして大ピンチを逃れるかのくだりもスリリングで面白い。
ただ、主役がジュディにケリー、監督ミネリ、制作アーサー・フリード、音楽コール・ポーター、と万全の構えで発した大作にもかかわらず、コケたらしい…というのも、わかる気がする(^^;)

問題点は、まず、キャラクターか。ケリーは元々オーバーアクトな「強引な求愛者」を演じることが多いのだが、マニュエラに一目ぼれする前に“Nina,Nina”の女好きを披露するナンバーがあるぶん、彼女にどこまで本気か余計に最初怪しく見えちゃう。催眠術使ったり海賊のふりをしたり、かなり無茶をするのだから、観客の共感を得られる小ネタを序盤にもっと入れてほしかった。超カッコつけな“海賊”演技は笑えるし、終盤の開き直りはそれなりに面白いのだが。
そして一見金と地位がとりえの太めの中年、でも実は元大海賊…というならば、市長役にはもう少し大物を当ててほしかった。踊れなくても太めでもいいから「本気になれば」それなりの風格や悪のカッコよさが出せるんじゃなきゃなあ(-"-;)
ジュディは、騙されやすそうに見えて意外と頭も回る頼もしい女の子で問題なく魅力的。

次にコール・ポーターの曲。“Be a crown”は名曲。“Mack the black”もそこそこいいが、今回ちょっと曲の数そのものが少ないような…。“Be a crown”以外にキャッチーな歌がなかったのは痛いね。それでなくても“Be a crown”はコミックソングで、これが一番耳に残るというのはラブコメとはいえ「何かが違う」気が(^^;)
しかもこの曲、今となると後発の“Make’em laugh”(「雨に唄えば」)にちょっとイメージ食われてるしね。なんでも“Be a crown”みたいな感じで、との指示で書かれたというだけあって激似なうえ、私はドナルド・オコナーの方がケリーより好きなくらいなのでした(笑)

そして、予算的にキツイだろうが…模型でいいから、帆船を出してほしかったなあ(^^;)

まあ、もともと私はケリー派じゃなくアステア派だし。
ケリー派だったら十分満足できるんじゃないかな?太もも二の腕むき出しの海賊衣装も、タッパはないけど体育会系なガタイのケリーには納得のマッチングだった。

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