1947年、ジャック・ターナー監督作品。モノクロ。
自分を撃ち大金を持って逃げた愛人(ジェーン・グリア)を探しだせ、という組織のボス(カーク・ダグラス)からの依頼を受けた探偵(ロバート・ミッチャム)は、探し出した彼女の「私は盗んでいない、逃げ出すために撃っただけ」という言葉を信じ共に逃げるが…
フィルム・ノワールというジャンルは、特別好きで、というわけではない。たまたまノワールを得意分野としていたスターが好き、ではあるが。「過去を逃れて」の出演者たちも、キライではないかわり特別進んで見るというわけではない、というメンツばかりである(カーク・ダグラスはやや苦手だが、時には「イイ味出してる~」と思う時もちゃんとある)。
だがしかし…“フィルム・ノワール”という言葉に私が期待するモノが、ココには見事にふんだんに揃っている。甘めというかロマンチックめのフィルム・ノワール。優雅な悪女、盲目的な恋に落ち振り回されるタフガイ、味と奥行きのある悪党。陰影を効かせたカメラがちょっと人工的な彼らの魅力を引き立てる。そして素敵な背景…アカプルコ、サンフランシスコ、山小屋、全てを忘れるべく逃げ込む鄙びた田舎町。
そしてなんといっても、各地を転々とするうちに次第に明らかになってゆく、ジェーン・グリアの悪女ぶりが実に魅力的。
いわゆるフィルム・ノワールの女たちは、大抵、見るからに「強い」。皮肉屋でスタイリッシュ、あるいは肉感的・セクシーな迫力を持っている場合が多かったと思う。それがどうだろう。
か弱くどこまでも儚げな風情。「信じて」とあくまでも男に寄り添い保護欲をくすぐる(別に保護される必要などないほど冷徹かつ非情なのですが)。わかっていながら引っかからずにおれない男たち。引っかかりたくなるんですね、うん…。
アンニュイで濃厚なロマンチック全開の前半、そして、仕掛けられた罠から逃れるべく駆け引きを重ねるスリリングな後半。一気に見てしまいました。
グリア以外のメインキャストもみないい味。ミッチャムはトレンチコートが似合い、フィリップ・マーロウ演るならやはりこの人か、というハマリっぷり。いつもの何考えてるかわからない顔つきも物語によく合ってる。妙に明るいダグラスもいい。
救いがないほどの悪女物語なのに、ラストも意外と口当たりがよくしみじみとした後味。ちなみにラストシーンを締める聾唖の青年ディッキー・モーアは「ハリウッドのピーターパンたち」を書いた元子役スターでもあります(本サイト記事参照http://homepage3.nifty.com/Boatswain/door/issatsubn_08.htm#08/06)。
いやー、いい映画ですね~。
さて…次は、…この映画のリメイク「カリブの熱い夜」(1984)を見るか…
あまり気はすすまないのだが(オイ)、一応目は通しておきたいかな、と。リチャード・ウィドマーク様がワキで出てるようだし。新ヒロインの母親役でグリアも出てるようだし。録画時途中を数十分見た限りでは、趣味じゃなかったのだけど。
ふぅ…
自分を撃ち大金を持って逃げた愛人(ジェーン・グリア)を探しだせ、という組織のボス(カーク・ダグラス)からの依頼を受けた探偵(ロバート・ミッチャム)は、探し出した彼女の「私は盗んでいない、逃げ出すために撃っただけ」という言葉を信じ共に逃げるが…
フィルム・ノワールというジャンルは、特別好きで、というわけではない。たまたまノワールを得意分野としていたスターが好き、ではあるが。「過去を逃れて」の出演者たちも、キライではないかわり特別進んで見るというわけではない、というメンツばかりである(カーク・ダグラスはやや苦手だが、時には「イイ味出してる~」と思う時もちゃんとある)。
だがしかし…“フィルム・ノワール”という言葉に私が期待するモノが、ココには見事にふんだんに揃っている。甘めというかロマンチックめのフィルム・ノワール。優雅な悪女、盲目的な恋に落ち振り回されるタフガイ、味と奥行きのある悪党。陰影を効かせたカメラがちょっと人工的な彼らの魅力を引き立てる。そして素敵な背景…アカプルコ、サンフランシスコ、山小屋、全てを忘れるべく逃げ込む鄙びた田舎町。
そしてなんといっても、各地を転々とするうちに次第に明らかになってゆく、ジェーン・グリアの悪女ぶりが実に魅力的。
いわゆるフィルム・ノワールの女たちは、大抵、見るからに「強い」。皮肉屋でスタイリッシュ、あるいは肉感的・セクシーな迫力を持っている場合が多かったと思う。それがどうだろう。
か弱くどこまでも儚げな風情。「信じて」とあくまでも男に寄り添い保護欲をくすぐる(別に保護される必要などないほど冷徹かつ非情なのですが)。わかっていながら引っかからずにおれない男たち。引っかかりたくなるんですね、うん…。
アンニュイで濃厚なロマンチック全開の前半、そして、仕掛けられた罠から逃れるべく駆け引きを重ねるスリリングな後半。一気に見てしまいました。
グリア以外のメインキャストもみないい味。ミッチャムはトレンチコートが似合い、フィリップ・マーロウ演るならやはりこの人か、というハマリっぷり。いつもの何考えてるかわからない顔つきも物語によく合ってる。妙に明るいダグラスもいい。
救いがないほどの悪女物語なのに、ラストも意外と口当たりがよくしみじみとした後味。ちなみにラストシーンを締める聾唖の青年ディッキー・モーアは「ハリウッドのピーターパンたち」を書いた元子役スターでもあります(本サイト記事参照http://homepage3.nifty.com/Boatswain/door/issatsubn_08.htm#08/06)。
いやー、いい映画ですね~。
さて…次は、…この映画のリメイク「カリブの熱い夜」(1984)を見るか…
あまり気はすすまないのだが(オイ)、一応目は通しておきたいかな、と。リチャード・ウィドマーク様がワキで出てるようだし。新ヒロインの母親役でグリアも出てるようだし。録画時途中を数十分見た限りでは、趣味じゃなかったのだけど。
ふぅ…
コメント
え!?そーなんですか!?
そして「カリブの熱い夏」が「過去を逃れて」のリメイクだと初めて知りました。
「カリブ~」は、個人的に好き・嫌いは関係なく、ただただ懐かしいタイトルだなあと思う程度の作品なんですけど、たしかにボースンさんのシュミじゃないと私でも思います…。
そして、シュミじゃないのやっぱ見え見えですか(^^;)
割れた腹筋なんか見せびらかされてもちっとも楽しくないしぃ(マッチョは好きくない)。濡れ場も朝チュンで十分。ワタクシ保守的なんですの(笑)
となると「コーマ」も「トゥルー・カラーズ」も趣味ではない?。はい、かしこまりました。
「コーマ」が趣味でない?なぜでしょう(笑)昔劇場で見ましたが、そこそこ楽しめたサスペンス映画だったように思います。
「トゥルー・カラーズ」のほうは確かに趣味でなさそうな気がしますが…。つまり、昨今(平成以降)の恋愛描写が、見てるとアブラっこくて疲れることが多いんですよ(苦笑) ←枯れ過ぎ?
この映画の主役はロバート・ミッチャムではなく
ジェーン・グリアでしたね、完璧に。
あの悪女ぶり、史上最強のフィルム・ノワール・ヒロインですね。
聾唖の少年が「ハリウッドのピーターパンたち」の著者
ディック・モーアだと気付いたのは、流石です。
モーア君も高校生くらい?ほとんどオトナでしたねえ(といっても、見終わる頃にクレジットタイトルで気付いたのですが)。終盤の思わぬ大活躍にはびっくりでしたが(笑)
いつもねむそーなミッチャムと、虫も殺せない風情なのにハエタタキでたたくが如くカンタンに殺人を犯すジェーン・グリヤの凄まじい美女ぶりコンビが最高でした。この作品のグリヤ様はほんとにすばらしい!!もう一度ゆっくり見てみます。
ローラ殺人事件よりも、この作品のほうが私は好きですね。粋です。
私も「どちらが好きか?」と聞かれたら、こっちを選びそうですね。
びんびんにロマンチックなんですよ、「過去を逃れて」は。
それと、ローラは本当は割と「普通の女」なんですね。男たちの幻想の中で大きく虚像が紡がれていくのですが(婚約者シェルビーだけは金ヅルとしか見てないかも?)、実像はというと…。「ローラ殺人事件」は浪漫より皮肉の効いた映画だと思います(面白かったけど)。
『ローラ』はフィルムノワールとは言いがたいですがこちらはその典型とも言える一本ですね。ジーン・グレアの悪女ぶりはそんなに凄いですか?
私はミッチャムが彼女に殉じるところに何とも言えない悲哀を感じました。
ラストで二人が死んでしまう場面は、『暗黒街の弾痕』と『夜の人々』を繋いでいるような気がします。
そして、それを納得させてくれるのが、ジェーン・グリアの魅力ですね(私にとつては)。
悪女ぶりの「凄さ」というとモンスターみたいに響きますが、毒々しくも猛々しくもないのにイザという時の思い切りが凄い、というのがいいんです。楚々としているのに無敵なのが、女性ウケするのかなとも思います。
男性はミッチャム同様、いかにも若くて愛らしいヒロインにここまでの悪がひそんでいるなどと、信じたくない気持ちになり心にひっかかりを覚えてしまうのではないでしょうか?(笑)
『暗黒街の弾痕』と『夜の人々』は生憎と未見ですので、さらにお詳しいかたのコメントを待ちたいと思います。どなたかおられませんか~?
最後に、聾唖の少年に、恋人が尋ねますよね、「彼は、彼女と一緒だったの?」あのときの描き方がいいんですよね。
それから、ジェーン・グリヤの存在感は、あまり、私たちの目に馴染みが無いだけに新鮮な印象を受けました。この人が出演する作品をなまじ見てないだけに、余分な先入観を持たずにこの女性はいったい何者?という謎解きの楽しみが持てたのだと思います。
アメリカ映画でありながら、ハッピーエンドではないところも、この作品の余韻を深くしてるのでしょうね。監督は、フランス出身なんですね。ちょっと、納得です。
THE BIG SLEEPで探して見に行ったら、確かに、年老いたミッチャムが出ていたので、これ??と思って見ていたのですが、グリア様は出てこないのでヘンだーと思いながらもしばらく見てしまいました(爆)
まあ、麻薬使用でブタ箱に入った直後の作品ですからくたびれていたかも知りませんが。
私は全部を見たわけではありませんが、ちょっとスクリューボールコメディー味もあるとか。
グリアは容色がちょっと衰えていますね。
THE BIG STEAL が正解。…のはずですね(YouTube見に行ってはいない私(^^;))。
最後の書き込みの時はヘロヘロに疲れたところにワインを飲んだ後でした。