ガンガ・ディン

2009年6月19日 映画
1939年、ジョージ・スティーブンス監督作品。モノクロ。

インド方面に駐屯する英軍三軍曹の冒険と友情。ケイリー・グラント、ダグラス・フェアバンクス・ジュニア、ウォルター・マクラグレンのトリオ(+インド人従者のサム・ジャフェ)は冒険アクションものとしてはいーい感じの布陣である。後に西部劇リメイク「荒野の三軍曹」がシナトラ、ディーン・マーティン、ピーター・ローフォード+サミー・デイヴィス・ジュニアという楽しげなキャストで作られたらしいというので、多分面白いのだろうと期待して録画してあった。タイトルロールのガンガ・ディンが出てくるあたりまで見て中断していたので、とにかく消化しておこうと再チャレンジ。

タフで陽気でお気楽な三軍曹カター(グラント)、バル(フェアバンクス)、マチェスニー(マクラグレン)は、軍務の合間に今日も酒場で大乱闘を展開中。財宝とか秘宝とか一攫千金の噂に目がないカターに、ニセの地図を売りつけた相手を皆でシメているところだった。誰もかれも殺しまくる邪教の殺人集団が跳梁する危険な地域なのだが基本的にお気楽な彼らなのである。ある日、カターはインド人の雑用係ガンガ・ディン(サム・ジャフェ)が密かに正規の兵士に憧れているのを知るが、バカにすることなく話をきいてやり慕われるようになる。

ガンガ・ディンから“黄金の寺院”の噂を聞いたカターは、隊を飛び出して二人(+象)で探しに行くが、実はそこは殺人教集団のアジトで、カターたちも追ってきたバルとマチェスニーも捕まってしまう。当然探しにくるであろう本隊を殲滅しようと殺人集団のインド人たちは待ち伏せを計画。本隊に危機を知らせるべく危険を冒して飛び出したのはガンガ・ディンだった…

ダイナミックなアクション、男同士ならではの明るく大胆な悪ふざけと笑いとどつきあい、象もいるエキゾチックな駐屯軍基地(象かわいい!)、バル(フェアバンクス)が婚約者(ジョーン・フォンティン)に退役を迫られて部隊の名物トリオの存亡の危機、などと、西高東低な世界観など気にせずお気楽に楽しむべき作品なのだが、そして私はたいていそーゆーことは気にしないタイプなのだが、今回はどうも気になって、終盤になるほどちょっとシラけて、見る気がうせてしまった。疲れていたのかも。

ケイリー・グラントはヤンチャでハンサムで可愛いんだけど、最初のニセ地図の「湖に沈んだ財宝船」とか、地中に人知れず埋まっていたものとかならまだしも、黄金の寺院をみて、凄いぞこれで大金持ちに!とか騒いでいるのはどーなんだ。寺院はそこに落ちているんじゃない。建っているんだ。持ち主確認もせず何で財宝認定なんだ。西洋人は東洋にあるものは何でもテイクアウトOKと思っているのか…?(まあ思ってたんでしょうが。大英博物館を見よ)


**ネタバレです**

貧しい半裸のガンガ・ディンがビシッとした服装態度の兵士に憧れるのもまぁ若気の至りとして一応分かるが、自国の仲間でもない英軍のために英雄的な行為をしてくれた彼を二階級特進てのはなんだ。確かに出来る限りの礼は尽くしてるが、白人は誰も死なないのに。生かしたまま英雄にしてやれよ…とも、思ってしまったのでした。生きたままではハリウッドの感覚は心からインド人を持ちあげられないのか?

殺人教集団のリーダーの「お前たち白人はみなあまりに尊大だ」と言う言葉につい深くうなずいてしまった自分は、この映画にはついてゆけませんでした。せめて財宝ネタは省いてほしかったなあ。アクション場面は力入ってるのに残念。
さて「荒野の三軍曹」の方のデキはどうなんだろう。

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