1963年、フィリップ・ド・ブロカ監督作品(仏)。
若きジャン=ポール・ベルモンドの、のーてんきアクション・コメディの傑作。
なんの気負い気張りもなく、もの凄いスピーディでスリリングなアクションをやっちゃう(しかもスタントはほとんど使わないで自分でやるのが趣味らしい)この人の稀有なノリは、テンパり具合か魅力なウィドマーク・アクションとはある意味対極。だがこれもまた素晴らしい。
ヨレヨレな時にヘラヘラっと見るのに最適な映画のひとつ。
大昔のTV録画が発掘されたので再見。山田康雄吹き替えも涙が出るほど懐かしいです(笑)
兵役についてるアドリアン(ベルモンド)は、一週間の休暇でパリへ、そして恋人アグネス(フランソワーズ・ドルレアック)の元に戻ってきた。時を同じくして、パリの博物館に謎の賊が侵入し、とある遺跡の発掘品が盗まれたうえ、考古学者であるアグネスの父親が殺害される事件が発生。そして、アグネスもまた、アドリアンのほんの鼻先で突然誘拐されてしまう。
やがて、賊の狙いは密林に隠された秘宝であるとわかるのだが…
だが、見るべきものはそんな筋立てではない。
二階の窓から下を見下ろすと、恋人が車に引っ張り込まれるのが見えた!と思うが早いか、ベルモンドはもう窓から飛び降り走り出している。誰かが止めたバイクを見るや、ヤニワにまたがり賊の車を追跡開始。薬で朦朧となった彼女が悪者たちにつれられ空港の搭乗ゲートをくぐるのを見ると、アドリアンも他人のキップで(オイ)手近の飛行機に飛び乗ってしまう。ここまでの一気呵成のリズムが凄すぎる。
ハッキリ言って他人の迷惑かえりみず、目についた手段を一瞬の逡巡も躊躇もなく、頭すら使わない反射行動か、というイキオイで徒手空拳のまま疾走するベルモンド。しかも、デッド・パンに近い飄々たる表情を殆ど崩さないままの猛追である(他に手がない時は即時にC調な口から出まかせで切り抜けることもあるが)。
とことんマンガチックで、それだけに重厚感や切迫感は薄めなアクションなのだが、こうも徹底的にスピーディに手数の多さを見せつけられると、逆に一層突き抜けたモノに感じられる。
街で、浜辺で、道路で、工事現場で(カイジーーー!)、海で、空で、山で、密林で、汗一つかいてないような軽やかさで疾走するベルモンドは、リアルをぽんっと飛び越えたファンタジックな魅力を発散し続けるのだが、時たま追跡モードを解いた際は、へらりとノンシャランな「だらけた兄ちゃん」で、そのへんのメリハリもいい感じ。フランソワーズ・ドルレアック(カトリーヌ・ドヌーブのお姉さんですね)も、ただのさらわれ役でなく、助け出されて正気に戻ると強気でマイペース、献身的?に追ってきた恋人を引っ張り回す、でも凄くオシャレな女の子。危機感のカケラもなくブラジルの子供たちと踊りまくってたり。いいコンビです。
ちょっと唖然な大逆転の待つラストまで、リオの陽光と賑やかな音楽にもいろどられた、ひたすら楽しさいっぱいの作品でした。
飄々として、どこか妙ちきりんな、アメリカ映画にはないような不思議なおかしみがあるんだなあ。フランス映画って、ゲイジュツ的であまり興味はないのだけれど、たまにこの作品のように妙なユーモアを秘めたヘンな作品があるので、本当はあなどれないのであった(違)
「マンガチック」という路線を、とことんファッショナブルに料理してのけたフィリップ・ド・ブロカ監督とベルモンドに乾杯。
「男」シリーズ、「カトマンズの男」とか「コニャックの男」とか、みなこの路線で大好きでした。あ、「コニャック」は監督違いか。しかしDVD未発売なのはホントに理解できません。
なぜかサントラの画像だけあったので貼っておく。
サントラは「カトマンズの男」「リオの男」カップリングらしいです。このカップリングでDVD出せばいいのに…。そして、山田康雄さん吹替バージョンもどこかに残ってたら、ちゃんと収録しておけば絶対売れる!と思うんだけどな。うううう。
若きジャン=ポール・ベルモンドの、のーてんきアクション・コメディの傑作。
なんの気負い気張りもなく、もの凄いスピーディでスリリングなアクションをやっちゃう(しかもスタントはほとんど使わないで自分でやるのが趣味らしい)この人の稀有なノリは、テンパり具合か魅力なウィドマーク・アクションとはある意味対極。だがこれもまた素晴らしい。
ヨレヨレな時にヘラヘラっと見るのに最適な映画のひとつ。
大昔のTV録画が発掘されたので再見。山田康雄吹き替えも涙が出るほど懐かしいです(笑)
兵役についてるアドリアン(ベルモンド)は、一週間の休暇でパリへ、そして恋人アグネス(フランソワーズ・ドルレアック)の元に戻ってきた。時を同じくして、パリの博物館に謎の賊が侵入し、とある遺跡の発掘品が盗まれたうえ、考古学者であるアグネスの父親が殺害される事件が発生。そして、アグネスもまた、アドリアンのほんの鼻先で突然誘拐されてしまう。
やがて、賊の狙いは密林に隠された秘宝であるとわかるのだが…
だが、見るべきものはそんな筋立てではない。
二階の窓から下を見下ろすと、恋人が車に引っ張り込まれるのが見えた!と思うが早いか、ベルモンドはもう窓から飛び降り走り出している。誰かが止めたバイクを見るや、ヤニワにまたがり賊の車を追跡開始。薬で朦朧となった彼女が悪者たちにつれられ空港の搭乗ゲートをくぐるのを見ると、アドリアンも他人のキップで(オイ)手近の飛行機に飛び乗ってしまう。ここまでの一気呵成のリズムが凄すぎる。
ハッキリ言って他人の迷惑かえりみず、目についた手段を一瞬の逡巡も躊躇もなく、頭すら使わない反射行動か、というイキオイで徒手空拳のまま疾走するベルモンド。しかも、デッド・パンに近い飄々たる表情を殆ど崩さないままの猛追である(他に手がない時は即時にC調な口から出まかせで切り抜けることもあるが)。
とことんマンガチックで、それだけに重厚感や切迫感は薄めなアクションなのだが、こうも徹底的にスピーディに手数の多さを見せつけられると、逆に一層突き抜けたモノに感じられる。
街で、浜辺で、道路で、工事現場で(カイジーーー!)、海で、空で、山で、密林で、汗一つかいてないような軽やかさで疾走するベルモンドは、リアルをぽんっと飛び越えたファンタジックな魅力を発散し続けるのだが、時たま追跡モードを解いた際は、へらりとノンシャランな「だらけた兄ちゃん」で、そのへんのメリハリもいい感じ。フランソワーズ・ドルレアック(カトリーヌ・ドヌーブのお姉さんですね)も、ただのさらわれ役でなく、助け出されて正気に戻ると強気でマイペース、献身的?に追ってきた恋人を引っ張り回す、でも凄くオシャレな女の子。危機感のカケラもなくブラジルの子供たちと踊りまくってたり。いいコンビです。
ちょっと唖然な大逆転の待つラストまで、リオの陽光と賑やかな音楽にもいろどられた、ひたすら楽しさいっぱいの作品でした。
飄々として、どこか妙ちきりんな、アメリカ映画にはないような不思議なおかしみがあるんだなあ。フランス映画って、ゲイジュツ的であまり興味はないのだけれど、たまにこの作品のように妙なユーモアを秘めたヘンな作品があるので、本当はあなどれないのであった(違)
「マンガチック」という路線を、とことんファッショナブルに料理してのけたフィリップ・ド・ブロカ監督とベルモンドに乾杯。
「男」シリーズ、「カトマンズの男」とか「コニャックの男」とか、みなこの路線で大好きでした。あ、「コニャック」は監督違いか。しかしDVD未発売なのはホントに理解できません。
なぜかサントラの画像だけあったので貼っておく。
サントラは「カトマンズの男」「リオの男」カップリングらしいです。このカップリングでDVD出せばいいのに…。そして、山田康雄さん吹替バージョンもどこかに残ってたら、ちゃんと収録しておけば絶対売れる!と思うんだけどな。うううう。
コメント
強いですよね。これ、たぶんDVDになってるはず。ボックスか何かで。
私のお気に入りは前にも書いたけど「華麗なる大泥棒」です。
それにしても、マメにTV録画されてますね。そして、大切に残されてますね。
今となっては、お宝ですよ。こないだの「拳銃の罠」なんて、感涙モノですし。
(未だゆっくり見てません。しょっぱなの手書きのタイトルが、すごーく味わいありました。なんか、侘びさびの趣でしたね。(爆))
勿論Amazon.comとかでならあるのですが、英語字幕で見る気にはイマイチなれない(T^T)
えっとー、昔は録画はマメにしていましたが(今と違って40~60年代の映画も結構やってたし)、あまり大切に残されてなかったので、「アレ録ってなかったかなあ」、とふと思い出して探してもやっぱりなかったりします。くすん。
そして珍しく後ろで見ていた息子が、「ルパン三世の声と同じじゃん?キャラもルパン入ってるし~」とか言いましたが、息子よ、「リオの男」より「ルパン三世」のほうが後なんだよ。
間違えちゃイカン。
「華麗なる大泥棒」は、ベルモンドのヒョーキンではなくむしろペーソスとかゴージャスとか入ってるタイプの作品ですよね。ガラスを叩き割るシーンが悲しく記憶に残っています。
「拳銃の罠」は、舞台が砂漠の真ん中のヘンピな町なのでわびさびも良いところです。いきなり片端から見てしまうのがもったいなく感じる気持ちはむちゃくちゃよくわかります。ごゆっくりどうぞ★
しかし、山田さんでないとは残念でありますね。私は先日、イマジカで放映された時に録画しまくったので(リオもカトマンズも念のために高画質のブルーレイで録って、念のためにDVDでも録って…)HDDがパンクしかけました。吹き替えはないけどまあいいや(リオ…はン十年前のTV放映録画分があるし…)。
しかし、日本の夜明け!を感じさせる快挙です。
私、ポニーキャニオンのディスクなぞ、一枚たりとも持っていないのですが(そもそもどんな作品を販売してるのやら)、どーゆー風の吹き回し…大穴ですね。
ウチは普通の地上波放送しか見られませんし、野沢那智さんの吹替え収録でジュリアーノ・ジェンマ主演「南から来た用心棒」ブルーレイがリリースされた時同様、恐ろしくスムーズな動きでアマゾンの予約注文をポチりました。「リオの男」は山田さん吹替えのようですし、今から楽しみです、出費は痛いですが。ちなみにドロンと共演の「ボルサリーノ」も山田さん吹替え収録でブルーレイ化するようです。一旦、予約しましたが、「リオ」「カトマンズ」に備えてキャンセルしなきゃいけません。
ラストの財宝発見のシーンは、後年、「レイダース」でそっくりなシーンがあったんで、スピルバーグはこれを見てたんですな、きっと。
「リオ」のセスナと比肩するのは、「カトマンズの男」の気球でしょうか。ベルモンドが従僕ジャン・ロシュフォールと気球にぶらさがってカトマンズの街中をはねまわって…実は今回、録画したけどまだゆっくり見直していないのです。ン十年前からの記憶で一番心に残っているのは、気球と、ベルモンドが変装しようとツケヒゲつけたとたん、一瞬のうちにヒゲが増えてる「WANTED」の巨大モンタージュ。