ジーン・ワルツ

2009年3月7日 読書
桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵―人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。一方、先輩の清川医師は理恵が代理母出産に手を染めたとの噂を聞きつけ、真相を追うが…。

海堂尊著。桜宮~厚生省(田口・白鳥)ラインとはちょっと離れて、でも、その後の著書を見るとびみょーにつながりがある。
不妊治療や代理母問題、いや日本の医療行政によってガタガタにされた産科医療を背負って吹きまくるヒロインは格好いい。格好いいけど、他の妊婦たちにちらりちらりと嫉妬したり、手段を選ばなさ狡猾さには頭脳より「産みたい」本能に燃えるオンナの執念が感じられて、色々と人間的でもある。

それに対する清川医師のキャラクターも面白い。お洒落で女好きで話が(当然講義も)うまく、世渡り上手でお気楽な俗物なのだが、どこか憎めない。少々無責任であっても悪気は薄く、陰で「振られ上手のジゴロ」なんて仇名までたてまつられているらしいが、彼の「軽さ」が、ヒロインの情念と交互に描かれてうまく緩急がついている感じ。
しょっちゅうヒロインに「呆然と」させられてるのが、なんか可愛い(^^;)助演男優賞モノの妙な魅力を発散しておりました(笑)

この作品のあと、意外にも、あのジェネラル・ルージュ速水と剣道対決する青春篇「ひかりの剣」なんてものが生まれたとかいうのも無理からぬところか?うむむむ、「ひかりの剣」予約つけて待っているところだが、ますます楽しみになってしまったよ。

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