1950年イタリア製作、ロベルト・ロッセリーニ監督作品。モノクロ。
スカパー放映分を視聴。イタリア語版だったが、声はもしや吹き替えか。それとも?

そして主演女優はイングリッド・バーグマン。そう、噂に高いロッセリーニ時代のものなのですね。
夫と子供を捨ててロッセリーニ監督に走って大スキャンダルだったとかいう。とはいえコレは意外に地味で渋いテーマ、すれ違う中年夫婦の心とその落としどころは、というお話です。

カテリーナ(バーグマン)とアレックス(サンダース)は子供はいないが仲のいい、と見られている中年夫婦。亡くなった伯父が遺産としてナポリの別荘を残してくれたので、それを処分するべく英国からイタリアへやってきた。
結婚後8年、初めて夫婦水入らずで旅行…の筈が、なんだか二人の間はぎくしゃく。
「私と二人でいると退屈?」
自分以外の人間と接している時のほうが楽しそうだ、と、どちらも思う。
別荘の売却より博物館や遺跡めぐりをしたい妻が、亡くなった知人(詩人で夫とは全く違うタイプ)の思い出話をすると、その男が、かつて彼女に求愛していたことを知り、夫はヘソを曲げて「勝手に彼をしのぶ遺跡めぐりでもしてきたまえ、僕は僕で勝手に楽しんでくる」とカプリへでかけてしまう。彼女としてはたぶん何の気なしに出した話題なんだろうけど、それまでのギクシャクが二人の気持ちをエスカレートさせちゃうんだな。
妻は夫の態度にむくれながら一人で遺跡めぐり、夫はカプリで浮気を開始?ついには「離婚」の一語が放たれる。
だがこの二人、別れれば本当に幸せになれるのか?
むしろ、互いの愛を確信しきれないもどかしさがこのギクシャクの底にあるようなのだが…。
なかなか帰ってこない夫を気にして寝付けないバーグマンの演技が説得力たっぷり。そうだよねー、男女で怒り方とかテンションの上がり方とか違うのが、大した喧嘩じゃない筈なのになかなか終結しないズルズル展開にもつれこむんだよね。あるある!そうなんだよ!と、小品だけどいろいろ考えさせられました(^^;)
遺跡に神殿にカタコームに…と、観光を続けるとさすがにローマ帝国の歴史を背負ったイタリア、いたるところで明るい中に死の気配横溢。生のはかなさにあてられて、先に意地が崩れて不安定になり始める妻。意地を張り続ける夫サンダースも、別に悪い奴でも歪んだ奴でもなく、ごく普通の男。
夫婦の心の機微を描いてなかなか面白かった。85分と短いが、このくらい短くてちょうどよい。うだうだした夫婦喧嘩を2時間も見たくないし私は(笑)

中年にさしかかってはいるが美しいバーグマン。でもかなりの長身なので、やはり大柄なジョージ・サンダースとよく合いますね~。悪役や、ひと癖ある役が多いサンダース、今回は珍しく?普通のヒトですが、バーグマンに位負けしてないからOK。知的でスノビッシュで独特の重ったるい軽妙さが結構好きです、ジョージ・サンダース。というか、このキャスティングでなければ、私はこういう映画にはあまり食指を動かさなかったでありましょう。
(あと、ポンペイ遺跡へ行く場面があるってんでそれにも惹かれた。数年前に私も行って楽しんだもんで♪⇒写真つき旅行記は本サイトにあります)

コメント

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なにわすずめ
2009年2月28日0:33

バーグマンはきれいですね、ほんとに。この作品は見たことがありませんが、写真のDVDはどこから出てるものでしょう?機会があれば、探してみたいです。私もイタリアへは25年前に行ったきりですが、昨日のことのように思い出せます。また行きたいと思いつつなかなかチャンスが・・・。バーグマンの初期の作品「ジキルとハイド」も良かったですが、あれも昔TVで一度見たきりです。もう一度見てみたいです。DVDが出てるかも。
バーグマンって、たしかスエーデンの出身ですよね。美男美女が多くありません?グレタ・ガルボとか。ちなみに、ウィドマーク様のたぶんお父様もスエーデン系のはずです。スエーデンには、ウィドマーク姓の人けっこういます。(おばあ様は、scotishらしいけど。)幼い頃おばあちゃんっ子だったウィドマーク様、年老いてから、おばあ様に似てきてる気がしませんか?

追記。レビューは気長に待ってます(笑)リクエストライブラリーの特典にも日本語字幕がついてるんでしょうか。その辺もポイントなんですけどね。私としては、「地獄と高潮」の中のバイオグラフィーと、「太陽に向かって走れ」の日本語字幕を渇望してるんですが^^;

ボースン
2009年2月28日17:24

DVDはアイ・ヴィー・シーが出してます。商品レビューの時は画像をクリックすると「…のみんなの感想」というページにうつるので、そこで「詳細を見る」ボタンを押すとAmazonや楽天の商品ページに飛べます。3000円台後半で売ってますが来月アイ・ヴィー・シーが廉価で出し直すので、予約受付中の廉価版にリンクをはりました。今発売中の版のページはなんだかネタバレ全開ムードなので、両方確認するならご注意ください。
映画は結構おすすめです。おとなのほろ苦さだけど後味は悪くないし。
観光はカラーだともっと嬉しい気がしましたが、話は地味なのでモノクロがあってるかもです。

バーグマン、北欧系どうしとはいえクールそのものなガルポとはまた大きく違って、キリッとしているのに凄く情感豊かで、しかも無垢な微笑みを持っているという、いかにも日本人にも受けそうなタイプですよね(身長以外は)。ひと癖ある風貌のサンダースがまた対照的で良いキャスティングでした。
なかなか良かったのですよ。

ウィドマーク様の北欧の血は、きっとあの綺麗な金髪に出てるんですよね。もっと強く出てたらずっと長身になってたのかもしれませんが、変にデカブツでなく中背なのがまたツボです。おばあ様の写真ってどんなだっけ…「地獄…」のバイオグラフィにあったんでしたか?

特典は多分字幕つきではと期待しています。それが私をリクエストライブラリー版「悪の花園」へグラつかせてるんですよね(笑)リクエストライブラリーの売れ行きが、クラシック映画、特にウィドマーク様出演映画のDVD化に拍車をかけてくれるなら、やっぱ買うしかないかな~、とかも思ってみたり(笑)

nophoto
なにわすずめ
2009年2月28日22:47

画像クリック・・・。あらら、今まで試したことなかった(爆)、なるほど。教えていただいてヨカッタです。アイ・ヴィー・シーって、結構レアなクラシック作品をDVD化してますね。画像はイマイチな気がしますが、探すと掘り出し物がみつかりそうです。私は、ここから出ているジーナ・ロロブリジーダの「ノートルダムのせむし男」を持っています。来月廉価で出るのなら、要チェックですね。

ウィドマーク様のおばあ様は、バイオグラフィーの中に、ちょこっと登場されてます。80才くらいのときのウィドマーク様見てると、おばあ様に似てきた感じしました。あの、めっちゃ可愛くって利発そうなウィドマーク坊やに会いたくて、時々バイオグラフィーを見るんですが、一緒に写っているのは、弟さんですよね?どう見ても。キネマ旬報の追悼記事では、兄とあったようですが。

ああ・・・今年は、本気で、英語学びたい。字幕に頼らなくても平気なワタシになりたい・・・!

思い出した。スエーデンの男優。ビョルン・アンデルセン。一時美少年とかで、評判になりましたよね。私にはあまりそう思えませんでしたが。

ボースン
2009年3月1日0:07

日記の画像をクリックすると、商品リンクへ行けるか、拡大されるだけか(これは私の手元の画像をアップしただけの場合)、どっちかです。アイ・ヴィー・シーは価格の割には画質も特典もぱっとしないメーカーなので(ジュネスに似てますね)、廉価版待ちで十分では。

ビョルンというと美少年の代名詞でしたね。懐かしい…
美少年だとは思いますが、私はもともと中年好みで美少年にはキョーミがありませんでしたから(ガキンチョに用はない、です)、やっぱりスルーです。
てなわけで、スウェーデン男優なら、マックス・フォン・シドーのがまだしもですかね(無理に選ばなくても…(爆))。

で、おばあさま、やっぱバイオグラフィでしたか。しかし、ご一家の構成も英語だとどうも分かりにくいですね。brotherとかsisterとしか書かないし。ううっ、英語って難しい(泣)

nophoto
なにわすずめ
2009年3月1日18:10

久々に梅田方面に用事があり、紀伊国屋書店内のdvd売り場に立ち寄ったら、アイ・ヴィー・シーのセールやってました。FOXクラシックシリーズもすべて半額になってたのに、「ノックは無用」は廃盤になったのか、見当たらず。欲しかったのに(涙)。紀伊国屋書店のdvd売り場は、クラシックや、マニアックな品揃えがわりと充実していて、お気に入りです。ジュネスやFOXのカタログも入手。カタログによると、リクエストライブラリーには、すべて解説書がつくそうです。どの程度のものかはわかりませんけども。ちょっとまた、食指が動きますね。さすがにクライテリオン「拾った女」ぐらい充実内容の分厚いブックレットは期待薄かな・・・

それと、NHK出版から出ている生活人新書「西部劇を読む事典」はご存知ですか?面白そうな内容ですよ。ウィドマーク様に関する内容も勿論盛り込まれています。

nophoto
なにわすずめ
2009年3月1日23:33

追記です。最新情報。ウィドマーク様DVD「Time Rimit」が近日発売!!!
先ほどDVD Fantasiumで発見しました。ひゃーっ!うれしいい。

ボースン
2009年3月1日23:37

梅田、特に阪急付近には私もご無沙汰です。紀伊国屋のDVD売り場…なんだかいいですねぇ。うらやましい。

ところで、今頃スタジオクラシック・プレミアム・クラブから、リクエストライブラリーの販促チラシやキャンペーンのお知らせが届きました。…なんつー遅さ…。
で、リクエストライブラリーを三枚買うと、スタジオ・クラシックス等指定タイトルののDVDをもれなくプレゼントだそうです。…なんだけど、指定の60タイトルの中には私の欲しいタイトル一枚もなし。なんでこんなに絞るんだー。「ノックは無用」も入ってないです(私はヤフオクで買いました)。「アラモ」は入ってるけどもう持ってますし。

やれやれ…「西部劇を読む事典」未読ですのでまずはコッチを予約、ですね☆

ボースン
2009年3月1日23:39

えっ!「Time Limit」が!?うわぉ、お知らせありがとうございます!!

要チェックや!(C)スラムダンク

nophoto
なにわすずめ
2009年3月2日0:17

うれしさのあまり、スペル間違えてます。お恥ずかしい。(ーー;)
これ、日本未公開でしょうか?邦題ついてますが。
意外な作品がDVD化されましたね。

ボースン
2009年3月2日0:45

なんでも、未公開だけどTV放映されたことがあると聞いたことがあります。Road House =「深夜の歌声」と同じですね。
DVD Fantasiumには字幕なしとありましたが、Amazonには英語字幕付きと書いてますね。「襲われた幌馬車」もDVD Fantasiumは「字幕:None」なんて書いてるから、ここはAmazonを信じたいな~☆
意外だけど、これは確かウィドマーク自身の製作で、つまり気合いの入った作品の筈。嬉しいリリースですね。

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