クリスマス。やはりクリスマス映画の一本くらいは見なくては。
家族の誰もつきあってくれないので夜中にひとりで鑑賞。
皆が寝静まった中でほっこり見るというのが、クリスマス映画鑑賞法として正しいのかどうかビミョーだがしかたがない。

1951年、シドニー・ランフィールド監督作品。モノクロ。
ボブ・ホープの日本未公開コメディ、しかもクリスマス映画らしきモノが500円DVDで出ていたので買ってみた。原題はデイモン・ラニアンの"Lemon Drop Kid"。
ラニアンはブロードウェイや競馬場を舞台にした短編で知られており(昔短編集を読んだことがある)、「ポケット一杯の幸福」や「野郎どもと女たち」の原作も彼である。しかし、「レモン・ドロップ・キッド」まで映画化されてるとは知らなんだ。「レモン…」は結構苦い話だったと思うのに…という記憶は正しかったらしく、主演のボブ・ホープがレモン・ドロップを常に携帯しているインチキノミ屋であること以外、どうやら全然違う話に脚色されていた(やっぱりね)。まぁそれはいい。楽しい話が見たいのだ、クリスマスだし。

オープニングタイトルは、綺羅綺羅しいクリスマスオーナメント。クリスマス気分を盛り上げる。
そして、物語はというと…インチキノミ屋のキッド(ホープ)はある日競馬場で、ギャングのボス(フレッド・クラーク)に大損をさせてしまい、クリスマスまでに一万ドル返せ、できなかったら殺す!と怖い日限を切られてしまう。
元手を借りることもできず、苦肉の策で、彼は養老院を作るための募金と称して金集めを開始する。知り合いの老婆(ジェーン・ダーウェル)が「クリスマスには旦那が出所してくるというのに“犯罪者の身内だから”と養老院を追い出されてしまった」と嘆くのを見て思いついたのだ。ギャングの持ち物だが只今閉鎖中のカジノの建物を借り、老婆とも馴染みの街のゴロツキたちに協力を頼んで老婆たちが泊まれるよう適当に改装しつつ、皆サンタ姿で募金に立つ。クリスマス・シーズンとあって、人々の心も普段よりは慈善寄りだ。お金は思いのほか景気よく集まってくるが、それを見て別のギャング(ロイド・ノーラン)が横取りをたくらむ。お金も老婆たちも恋人も奪われた。さあ、八方塞がりの大ピンチをキッドはどう切り抜ける!?

ありあわせを集めたムチャクチャなカジノ大改装場面が楽しい。ルーレットテーブルにマットを敷いてベッドに使い、どこからか銅像だの牛だのまで持ち込んでくるおかしな仲間たち!ゴロツキと呼ばれる彼らの示す人情味がまた嬉しいのだ。
ホープと彼に手を貸す恋人マリリン・マクスウェルが歌うシーンもいい(私はミュージカル好きだから…)。昔のコメディアンはよく歌ったんだよね。日本でもだけど(クレージーキャッツとか)。
おやすみなさい♪夢の中ではなんでもできる♪とひとくさり歌って、灯りを消そうとすると、カジノには妙な仕掛けがあって、ベッドが壁ごと動いて隣室へ消えたりとまたまた大騒ぎ(笑)
そして歌といえば、ホープとマクスウェルとサンタ服の募金仲間が歌う『Shilver Bells』がまた嬉しい。この映画で誕生したこの歌は、クリスマス・ソングの定番のひとつだが、なんだか今日一日頭の中で響いていた。いい曲だねぇ♪

しかし、ラスト15分まできてのこの危機の深刻さには驚いた。旧知の老婆を詐欺のネタにしたことまでバレた上、たとえ金を取り戻せても、老婆たちを放り出してその金を持ち逃げしないと自分の命は助からないのだ。どう収めるのか正直全く予想がつかなかったのだが、でも大丈夫。鮮やかなどんでん返しと、ハッピー・エンドが待っている。

ジェーン・ダーウェルはさすがに貫録。「怒りの葡萄」の肝っ玉おっかさんですよね。ロイド・ノーラン、フレッド・クラークら悪役陣も渋く手堅い布陣。
ホープはいかにもな舌先三寸でお調子者の詐欺師にはぴったり。珍道中シリーズのように二枚目=恋の勝利者役を他に譲るわけでもないせいか、久々に見ると思ってた以上にスマートな感じでよかった。それなりに洒落者ぶりを見せる前半と、終盤の体を張ったドタバタ・アクションの対比も良い。
珍道中シリーズを見ても、ついビング・クロスビーより彼を応援してしまう私としては、満足の出来でした。

んで、最後のラブシーンに何故か割り込んでくる牛を押しのけながら、“Quiet, Crosby!”と言ってたように思うのは私だけでしょうか(ヒアリングに自信なし)。字幕じゃ「邪魔するなよ」くらいしか書いてなかったけど(笑)
このテの楽屋落ち、ボブ・ホープのコメディのお約束ですもんね☆

コメント

nophoto
なにわすずめ
2008年12月26日11:05

面白そうですね、この作品。私もDVD買おうかな。ボブ・ホープはなんと言っても「腰抜け二丁拳銃」が歌も楽しく印象深いです。中学時代に見て(TVですよ勿論)、マンガにまで描いて遊んでた記憶が。他には、この頃に見てやはり今も印象に残っているのが、ダニー・ケイの「虹をつかむ男」。原作本まで買って読んだ記憶が懐かしいです。今思えば、昔は古き良き映画をTVでよく放映していましたね。

私も深夜になってから、「人生模様」のクラリオンコール新聞の途中まで見て、続きはまたいつかという状態です。(こんな見方は勿体ないな)

ボースン
2008年12月26日22:29

ええ、なかなか面白かったですよ。オススメです。次のクリスマスには是非(笑)
「腰抜け二丁拳銃」は、昔はほんとに何度も何度もTVでやってましたよね。描かれたマンガ見てみたいです(笑)
そういえば今年の干支はウシ。もっとテクがあれば、いっそキャトル・ドライブの図案でも…と一瞬思ったのですが(アルバレス・ケリーとか♪)テク以前に時間が全くナシ。安直な図案で何とか今日出してきました。

ちなみに、ちょっと調べてみると、「Silver Bells」は「ボタンとリボン」と同じ作詞作曲コンビの作品でしたよ!

>私も深夜になってから、「人生模様」のクラリオンコール新聞の途中まで見て、続きはまたいつか

おっと勿体ないですね(笑)
肝心のクリスマス・ストーリーは一番最後の「賢者の贈り物」なんですから♪

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