心霊特捜

2008年12月21日 読書
今野敏は意外に?芸風に幅がある。
今回は、怖がりの新米刑事が、心霊特捜R班との連絡係を拝命して…という、ユーモア・ミステリ連作短編集。

神道系、密教系、沖縄ノロ系の三人+霊感皆無だが何事にも驚かない飄々たる態度で彼らを束ねる班長の四人組と、ちょっと腰引け気味の主人公との関係は、特に最初のうちはあまりあたたかみのあるものではない。
特に、何でもまず「何でも霊のせいにするな」と斬って捨てる理論派神道系が凄いよ…(^^;)
実際、霊のせいで起きた事件など、ほとんど登場しないのだが…(霊は登場する)。

心霊×ミステリというと、ホラーでなければセンチメンタルな人情話に寄っていきそうなのだが、「霊能者だから」色々と妙な目でみられたり中途半端な知識や誤解に基づく他人の見当違いな反応にうんざりしつつ、警察という特殊な場で生きてきた彼らのスタンスは、予想外にクール。
人間が冷たいというのでは決してないというのはおいおい分かってくるが、ユーモア部分もオフビートな抑え気味の笑いで、妙なリアリズムとあいまって、なんというか珍しいところを突いた連作集だ。

…ただまあ、このノリ、珍しいのだが、そのぶんテンションがちょっとビミョー?
面白く読んだが、あとひと声、ひと工夫あると更によかったな。

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索