逆転

2008年6月23日 映画
逆転
1963年マーク・ロブスン監督作品。スカパーで録画&視聴。

原題が“The Prize”。ノーベル賞受賞式を舞台にした、巻き込まれ型サスペンス。
ノーベル文学賞史上最年少受賞となるアメリカ人作家のクレイグ(ポール・ニューマン)は、ホテルのチェックイン時に、アメリカの受賞者どうしということで物理学者のストラトマン博士(E.G.ロビンソン)と言葉をかわすが、翌日「初めまして」と挨拶してくる博士に不審を抱く。実は東側が博士の頭脳を狙い拉致したのだが、授賞式には偽物をたてて、自発的に東側へ行くようみせかけたい…という陰謀が進行していたのだ。クレイグは謎を解くべく駆けずり回り、アヤしいメッセージを受け取ったり死体を発見したり(だがすぐ死体は消えてしまう…定番だ)、殺されそうになったりするが、普段の素行(笑)の悪さも災いし、警察にもなかなか信じてもらえない。ついに授賞式当日となるのだが…
うーん、いかにも冷戦時代らしいネタである。

主人公ニューマンが、ノーベル賞受賞者の癖に大変な女好き酒好き毒舌家…というコミカルなタッチと、なんだか妙にヒッチコック風なところがご愛敬。レオ・G.キャロルも出てるし、ヒロイン(エルケ・ゾマー)は金髪だし。私はさしてヒッチコックファンではないので、それが嬉しかったり比較して物足りなかったりとかはしないのだが、ああ、60年代前半のユーモア・サスペンスだなあと、最近の映画とのテンポの違いに納得だ(のんびりしている。但し、ノワール系のサスペンスのテンポだとまた違うんだよね)。

会ったとたんに「美人だラッキー!」と口説き始めるクレイグを「北欧男性の平均に比べれば、あなたなんてアマチュアよ」といなす外務省のお目付け役ミス・アンデルソン(ゾマー)のやりとりなども、結構気が利いてるし、眠たそうなニヤニヤ笑いで「問題児」ぶりを発揮しまくり、チャームポイントのブルー・アイズをぱっちり見開くのは皮肉をキメて周囲を煙に巻くときくらい、というニューマンは、洒脱とまではいかないが可愛らしい。まだまだ30代だしね。アクションという点では、この人それほど運動神経よくなさそうだが、作家のにわか探偵業という設定だし、もたもたした捜査や逃げっぷりはオフビートな可笑しさを醸し出して、これはこれで結構かな。
そして、一大イベントである授賞式をめぐる人々のドタバタや、それぞれに人間的な受賞者たちの内輪のアレコレも手際よく織り込まれて、脚本はなかなか練られている感じだ。なんだかんだ言って、ノーベル賞授賞式!という舞台設定は、この映画に個性的な彩りを添えてくれている。

てなわけで、お気楽だが結構楽しい一作なのだが、案外とVHSもDVDも国内では手に入らない様子。かろうじて海外盤ならVHSが出てるようだが、テープじゃ字幕すら入らないですしね。惜しいなあ。

http://www.amazon.co.jp/Prize-Paul-Newman/dp/6302413338/ref=sr_1_1?ie=UTF8&;;;;;;s=video&qid=1214233262&sr=8-1

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