異国の出来事

2008年6月14日 映画
1948年ビリー・ワイルダー監督作品。

終戦直後のベルリンを舞台にしたラブコメと思って見始めたのだ、が…
期待のワイルダー作品だが、出演俳優たちのバランスとか、風刺とコメディのバランスとか、ちょっとビミョー…?

米軍兵士の風紀調査のため、議員の一団がベルリンを訪れる。中でもカタブツ女性議員フロスト(ジーン・アーサー)は真剣で、元ナチス高官の愛人だった歌手エリカ(マレーネ・ディートリッヒ)を陰で援助する米軍将校がいると睨んで調査を開始する。同郷のプリングル大尉(ジョン・ランド)を助手にするのだが、実はエリカの現愛人こそ、この大尉なのだった。彼は強引にフロスト女史を口説くことで調査の邪魔をし誤魔化そうとするが、やがて純情な彼女にほだされて…

しかしアメリカの女性議員があんなにおバカでいいのかしらねぇ。トップ・ビリングのジーン・アーサーよりディートリッヒのほうが歌も歌うし都会的だしとにかくカッコイイ。なにせフロスト女史はド田舎アイオワ出身の議員なのだ(^^;)。最初のうちは小粋な音楽もあいまって「ニノチカ」の変形かと思われたが、艶笑喜劇としては田舎臭すぎ。トップ女優二人のトシはほとんど変わらないのだが(40代後半)、ディートリッヒの実年齢を超越した定評ある妖怪っぷり(笑)に比べると、ひっつめ髪で化粧気のないジーン・アーサーのカマトト議員はちょっと苦しい(見た目的に)。
そして二人の間でうろうろする調子のいいジョン・ランドは、二大女優にはさまれて明らかに貫録負け。どこら辺で気持ちがディートリッヒからアーサーへと揺れ始めたのかもイマイチわかりにくいしなぁ。
それよりなにより、ガレキの山となったペルリンの映像の衝撃があまりに強い。コメディより社会風刺のほうが印象的なのは、ワイルダーのジャーナリスティックな側面が強く出たってことなのか。
ひょっとしたら主役はアメリカ人カップルよりもベルリンそのもの?
ガレキの街でたくましく生き抜こうとする闇市や酒場の人々の描写とか、デカダンなようで生命力にあふれたディートリッヒの歌声のほうが印象に残っちゃう。

ベルリンは若きワイルダーが青春を過ごした街。ナチスを避け亡命したユダヤ系の彼だが、この街に、監督の深く複雑な思いがからみつかない筈がないだろう。
ラブコメと思って見ないほうがよいのかも。ちょっと間をおいて、後日また見直したほうがいいのかな…

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