白銀に躍る

2008年6月4日 映画
1961年ドイツ・オーストリア合作映画。
監督&脚本ゲザ・フォン・ツィフラ。

ネットレンタル最終便。スキーの五輪金メダリスト(しかも三冠王)トニー・ザイラーと、フィギュアの西独チャンピオン、イナ・バウアー(荒川静香で有名になった“イナバウアー”創始者)の共演映画。

基本路線はミュージカル・コメディ。
フィギュアスケートの上手いインガ(イナ・バウアー)を見染めたハンス(トニー・ザイラー)は猛アタック。彼女が実はスケートより舞台に憧れているのを知り、自分の勤めてる劇場(舞台美術担当)に一度おいでよと誘う。
劇場を訪れたインガは、スポンサーの婚約者と間違われてレビューの主役に抜擢されるが、それをよく思わない元主演女優が暗躍したり、本物の婚約者が出てきたり、ありえないような人違いから大騒ぎ。
ついにはスポンサーを怒らせ、劇場は閉鎖・上演不能となったところでハンスが叫ぶ。「アイスショーに作り変えよう!インガ以外の皆もスケートくらいできるだろ?」
彼女の叔父のリンクを借りて、という算段だ。

…えーと…。
それ、名案なんです…ね?
ウィンタースポーツの盛んなお国柄ゆえ、というべきか(^^;)

でもまあ、イナ・バウアーの実力はホンモノ。さすがに女子がポンポン4回転飛ぶ現代に比べれば技術的にはヌルめなのかもしれませんが、アイスショーはとても見ごたえのあるもので楽しめました。序盤はすごく東洋風の衣装なのだけど、意外と曲調がどこまでも西洋風で、それが新鮮だったり(笑)
“ウィーン・アイスレビュー”なる団体もクレジットされていたが、彼女とペアでリフトやジャンプやスパイラルや、色々決めてたソリストの男性は何者だろうか…それなりの実力者で、それこそかつては世界選手権クラスだったり?と思ったけれど分からなかった。まあ時代が時代だから、名前がクレジットされていてもわからなかったかもね。
ザイラーは週末にはアイスホッケー選手として活躍中、という設定で、スケートもそれなりのようだが、さすがにイナ・バウアーのレベルに本気で合わすのは無理だろう。
最後にほんのちょっとアイスショーで一緒に滑るが、ひょっとしたらスピンの部分は吹き替えかもしれない(目を凝らしたがハッキリせず。あまり画質は良くない)。

また、序盤、ハンスはアイスホッケー選手の癖して「初心者です」と偽りインガのスケート教室にもぐりこんだりする。
派手に転んでみせる姿に「有頂天時代」かよ!と、思わず突っこみました(^^;)
アレにも、ジンジャーのダンス教室に「初心者です」とプロ・ダンサーのアステアが申し込んで転んでみせるナンバーがあったから。おまけにアイスショーで、三人の赤ん坊(演じるのはオッサン三人)が滑るコミカルな一幕もあったし…アステアリスペクトなんですかもしや?(「バンド・ワゴン」の“Triplets”を思い出した!)

主題歌もノスタルジックな甘い曲。オペレッタの伝統か、どこかのんびりした、しかし悠然と確実な魅力を備えたレビューで良かったなあ。イナ・バウアー美声…♪凄い!と思ったら、どうやら吹き替えらしい。でもザイラーは多分地声。

そして主演二人の、本来はスポーツ選手な癖に優れたルックスと嫌味のない演技はたいしたもんですね。
ザイラーは、写真で見た時から思ってたのだけど、ロバート・ワグナーをスポーツマンにしたような感じ。ラフな格好だけでなく、舞台で真っ白なスーツとか、最後の真っ赤なスモークジャケットとか、ド派手な服装も似合いますね。スタイルが良いからか。

スケートメインの映画だけど、ザイラーのためにスキー場面も織り込んでます。冒頭の「狼狩り」は、ホテルの使用人たちが逃げる“狼役”ザイラーを追っかける。シェフもメイドもベルボーイも、それぞれの制服のままスキーで滑り降りてきて楽しい場面でしたが、特に説明もなくさくっと終わってしまった。
あちらの雪山付近ではよくある行事なのかしら(でも楽しげだったので許す)。
最後に彼女の乗る列車を追っかけて、赤いスモークジャケット着たままスキーで滑走(ゴーグルもなし!)てのも、「いかにも」な場面ですが確かに格好良かったな。

イナ・バウアーは、可愛い感じの赤毛美人。横顔がなんとなく若い頃の沢口靖子を思い起こさせた。役者のオーラで綺麗というのでなく「素で可愛い」という雰囲気がヤッコちゃんを連想させるのかな?

とにかく全編たわいない話なのですが、主演二人が割とさわやかだし、ミュージカル&アイスショー場面が結構良いので、「かわいらしいオハナシ」として楽しめました♪
ミュージカル&フィギュアスケート好きにはオススメ。

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