1949年、チャールズ・ウォルターズ監督作品。

スカパーで録っておいていた「ブロードウェイのバークレー夫妻」を見る。昨日はフレッド・アステアの誕生日だったし。
え、何で昨日見なかったのかって?シゴトだったんですよ、ちぇ。

ジョシュ(アステア)とダイナ(ジンジャー・ロジャース)のバークレー夫妻は夫婦コンビの売れっ子ダンサー。ラブラブなのだが、仕事に対するジョシュの完璧主義のため、夫婦喧嘩もちょくちょく発生。そんな時ダイナに「貴女は悲劇のヒロインを演じる素質がある!」と、純演劇畑の脚本家が新作「若き日のサラ(・ベルナール)」の主演をやって欲しいと声をかける。彼女は夫を気にして断ろうと思うが自分の力を試したい気持ちにも揺れ、またまた二人は大ゲンカ、ダイナは別居しサラ役に取り組むことになる。
妻を手放したくなくて「君には無理だ!」とか散々に言ったジョシュだが、やはり彼女が失敗するのは見たくない。舞台稽古をそっと覗いて、ダイナが新演出に戸惑い、自信喪失して不調に陥っているのを知ると、何度もこっそり、脚本家の声色で電話をかけ、激励と演技のアドバイスを送るのだった。
おかげで舞台初日は大成功。脚本家はダイナにプロポーズするが…

十年ぶりに(そして今度こそ最後の)コンビを組んだアステア=ロジャース。
何故輸入されなかったのか不思議である。正直いうと同時期の「土曜は貴方に」よりこっちの方が面白い気が。
脚本家が同じ店に夕飯を食べに来たのを見て公衆電話に駆け込むアステアは、20世紀のシラノ・ド・ベルジュラック(笑)。アドバイスついでに「稽古場では馴れ馴れしくないよう」余分な注意を付け加えるあたりはシラノより自己本位でさらに笑える。昔ながらのミュージカルには、こういう馬鹿馬鹿しい設定がいいんだよ。
夫の完璧主義者っぷりや、ストレート・プレイにも意欲を燃やす妻なんてところ、微妙にアステアと、ノンミュージカル映画でも大いに活躍したロジャースにかぶるところも面白いといえるかも(でも最初は、ダイナ役はジュディ・ガーランドがやる筈だったんだよね。病気降板で交代したわけだが)。

ステージでのナンバーが多いが、それだけでもなく適度にバリエーションあり。
特殊撮影を取り入れ、靴と踊り靴と戦う“Shoes with Wings On”なんか凄いとしかいいようがないし、珍しく屋外での“A Weekend In the Country”も新鮮。どういう状況で歌われていたのか知るとエレガントな“They Can’t Take That Away from Me”がますます感動的だし、ジンジャーは“My One and Only Highland Fling”のキルトスタイルがえらく可愛らしかった(アステアもキルトで、しかも思いきり巻き舌で歌うコミカルな風変わりなナンバー)。
ついでに友人役オスカー・レヴァントのピアノも二曲聴ける。

ほんと、なんで輸入されなかったんだろ…

コメント

nophoto
オショーネシー
2008年5月13日22:42

ジンジャー・ロジャース、さすがに10年の時が経つと「歳をとったなぁ…」と感じざるを得ません。(特に髪がアップになったとき)
アステアはねぇ、まあ46年から48年まで2年のブランクはありましたがさして衰えたりという感じはしないんですよねぇ。贔屓目ですかね。(カツラ着用ですが)ジンジャー・ロジャースの映画ってアステア共演のものしか見ていないんで一気に10年ワープですからそう思うんですねぇ…。
でも夫婦役はしっくりいってましたね。(ジュディ・ガーランドだったらどうだったんだろう?)
のこ映画は日本未公開だったんですか。それは知らんかったです。

ボースン
ボースン
2008年5月13日23:53

こんばんわオショーネシーさま♪
いや確かに、10年の歳月は否定できませんでしたね。でも、実はもともとジンジャーのルックスはあまり好みではないんで、逆に若い頃比べてガッカリすることもない私でした(爆)
踊れば素晴らしいパートナーと、重々承知ですけどね。
役柄も既に世に認められた既婚者ダンサー/アクトレスなので、若すぎてもどうかな、な役だったと思います。ベビーフェイスのジュディだったら…うーんどうだったかしら。シナリオ自体だいぶ変わっていたかもしれませんね。

アステアに贔屓目が入ってしまうのは私も同じです。カツラだってかなり早いうちから使ってた筈だから気にしない(笑)。
40年代のアステア作品て、意外と日本未公開のものがたくさんありますよね。勿体ない〜!

nophoto
なにわすずめ
2010年1月18日22:52

これ、輸入版でさっき見ました。そんな難しいことを言ってないみたいだったので、何とか、私の耳でも、字幕を頼りに内容が把握できました。(笑)

本当は、年代順に見ていけばいいのでしょうが、これが、二人の最後のコンビだったんですね。ジンジャーは、すっかり、貫禄がついちゃって、どっしりした感じでしたが、アステア様との息はぴったりでしたね。これ、日本未公開ですか?知らなかった、もったいない。本当に、見所満載でしたね。カラーなのもうれしかったです。あの、スコットランド(?)スタイルで、思いっきり巻き舌で唄う歌の発音ですが、あちらの英語って、本当に、こんな風なのでしょうか。
『ブリガドーン』も、同じ舞台でしたが、不思議な発音でした。
オスカー・レバントが、あんなにピアノの名手だったのもオドロキでした。

・・・・途中、ダリみたいな人が登場するけったいな美術展の中に、あの、奈良の「遷都君」そっくりな像を見つけてしまいました(これが一番オドロキでした)

ボースン
2010年1月20日21:56

こんばんわー。
ミュージカルは、英語字幕で見るのにはむしろ向いてると思います。ストーリーはシンプルだし、踊ってる時は字幕不要だし、歌詞はむしろ正確にわかる!…ところで、ウチにも輸入版、というかアステア・ロジャースのコンプリートBOXやっと届きました♪画像も良いしオマケ満載、すばらしいですね。今はなかなか見れませんが…

>オスカー・レバントが、あんなにピアノの名手だったのもオドロキでした。

レヴァントは基本ピアニストですからねー。さすがに「蜘蛛の巣」のような映画では弾いてくれないけど(もったいない…)。ガーシュインとも親友だったそうですよ。遷都君はおぼえてない~(笑)

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