旅路

2008年5月3日 映画 コメント (8)
1958年モノクロ、デルバート・マン監督作品。

うーん、ジャケットはリタ・ヘイワースとバート・ランカスターのほうなのね。デヴィッド・ニーヴンとデボラ・カーではなく。
まあ、英国きっての貴婦人&紳士スターが、今回は汚れ役のような役作りだから仕方がないか(笑)

英国はボーンマスの、海辺の小さなホテル。悠々自適と見えても孤独な人々の人生ドラマ、なんですが…。
ブレザーにアスコット・タイ、いかにも瀟洒な退役軍人スタイルだけれど、微妙に老けメークで生え際がヘンなニーヴン(映画内設定は55歳、実際はまだ四十代の筈…)。しかもちょっと胡散臭い。いや、いつものスマートな胡散臭さではなく、カッコをつけかけてるけどボロがほの見えるって感じの。そして、激地味な服装古臭い髪型でおどおどとしゃべる、ジェーン・エアですか貴女?なカー…母親(グラディス・クーパー)はヘンに派手ななりだというのに(^^;)
大胆だなあ…ラストシーンで勇気をふりしぼってニーヴンに話しかけるところだけ、さすがに綺麗に見えますが(本来綺麗ですもんね彼女)。

しかし、私のようなニーヴンのファンにとっては、結構きびしいものがあります(笑)
いくら人づきあいが苦手な人間恐怖症の気味があるからといって、その反動で経歴詐称(階級をサバよんでる)に口から出まかせの軍功話に、映画館で女性にさわって捕まったなんて…。えーと、ほんとにこれで許していいのでしょうか皆さん?

とはいえ、これでホテル生活のすべてが崩れる!とおたおたし、ひそかに好きなデボラ・カーを傷つけちゃったことを悔やみつつ、ええいもうこの際だから全部告白しちゃえ…の苦悩とかは、普段のイメージをかなぐり捨てんとの大熱演ですね。ホテルの他の客にもみんなバレちゃって、もう出ていくしかないとタクシーを呼びつつ、最後の朝食のため食堂に(普通の背広で、…というところが「虚飾を捨てやり直したい」気持ちを表現してるわけですね)おずおずと入ってきたところが、何人もの宿泊客から「おはよう」とか「いい天気ですね」とか声をかけてもらって、そしてこれまで「母に逆らったことがなかった」カーとのやりとりは、さすがにじわっときます。
これでニーヴンがオスカー貰ったのもわからんではない。

ランカスターと元妻ヘイワースとホテルの女主人ウェンディ・ヒラーのごたごたなんか、もうどうでもいいようなツマミである。というかヒラーの方がよっぽど良いんじゃない?
いやコレはヒラーがアカデミー助演女優賞取ってるくらいだから、ツジツマというか、モトは取れているのかもしれない?

こまやかに描かれたハートウォーミング・ドラマなわけですが、さて皆さん。
それでも。
許せますか痴漢?(笑)

てなわけで、DVD買うのでなく、スカパーで見れて良かったです(爆)

コメント

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オンリー・ザ・ロンリー
2008年5月4日8:41

うーん、良いんじゃない。ボースンさん以外は誰しも脛に傷あるもの(笑)。人生はまさに旅そのものだから「別々の席」(の筈)が「同じ席」になるとは最近ではないな。席を同じゅーするとはそれこそ「思いやり」とか「優しさ」。だから「優先席」などは本当は要らない(なんじゃいなー)。

ボースン
ボースン
2008年5月4日9:40

こんにちわ、オンリー・ザ・ロンリーさま。私も脛に傷はいくらでもありますよ。だから、後悔している彼に、約一名を除いた皆があたたかい言葉をかけるのを見るとホッとします。雨降って地固まる、周囲の支えを実感できて、もう彼はバカなことをしなくてもやって行けるでしょう。ハートウォーミングです。
ただまあ、汚れ役でもプロの犯罪者役とかと違って(そういうのは格好よく演じたり悲劇的に演じたりもできる)、より情けない「罪」なので、好演でオスカーゲットは嬉しいのですが、ファンとしてはビミョーな思いから逃れられないわけですね(苦笑)

昔の映画だし、セリフからしても実際にはたいした“おさわり”ではないのだと思えます。普段ニーヴンが演じるような洒脱キャラだと笑って許されてしまうかも程度な。セクハラなんてのも、キャラクター次第でセクハラに感じたり楽しい冗談・イチャつきに感じたりになりますよね。嫌!と思わせたらセクハラ、か。
相手の性を攻撃する行為はナイフで傷つけたりすることよりも更に深い心身ダメージを与えることもあるわけなので女心には最も辛い種類の「罪」なわけです。シビル(デボラ・カー)のショックやいかばかりか…、彼の真摯な後悔と謝罪の言葉に結局許す気になる彼女ですが、なまじ好きな相手だと、余計こたえるってわけですよ(笑)

男女で感じ方はかなり違うかもしれません。それに、汚れ役を熱演してもしょせんニーヴンですから本当に下劣そうにはどうしても見えないわけだし(見えすぎてもイカンのかも)。もっとちゃんと?下劣に見せちゃう今風の俳優や演出だったらば。いろいろ、考えちゃうわけです。はは。

nophoto
オンリー・ザ・ロンリー
2008年5月4日10:10

相変わらず早い返信と深くご覧になっているのに脱帽・敬服します。前者はブログは毎日更新する割りには返信なんぞは誰にも書かない輩がいるのに、後者はミーハーではなくそりゃもう大変な洞察力に敬意を表します。毎回。私なんぞはゼンマイ巻き戻して忘却の彼方から掘り起こしですよ。うーむ、凄い、ボースン・マンダム!。

ボースン
ボースン
2008年5月4日12:22

いやいやー、ミーハーですからねー、もしニーヴンと役を交換してランカスターが演っていたらそんなに気にしなかったりして(笑)
しかし、ニーヴンが「結婚したのにリタがベッドに入れてくれない」とフテたり暴力をふるったりというのも、イマイチ想像しにくいですが。ま、想像しにくいモノを演じてのけるのが役者の意地とか遣り甲斐なんでいょうけどね。

そしてオンリー・ザ・ロンリーさま、ついにブログ発信スタートしたってことですか?やだなあ、そうなら早いとこアドレス教えて下さいよ〜(*^^*)

とはいえちょっとこれから出かけてきます。次のレスはも少し遅れるかも?

nophoto
オンリー・ザ・ロンリー
2008年5月4日13:15

ボースンさん、はやとちりですよ、まだです。うーん、女性の勘は鋭いけど。時期が来たら真っ先に連絡する相手は言うに及ばずですよ。

nophoto
オショーネシー
2008年5月4日19:22

経歴詐称に痴漢でオスカー(爆)いやいや、ファンにはたまらなく複雑な気持ちにさせてくれる映画でしたね。
私は硬派なデイヴィッド・ニーヴンより、「ピンクの豹」「007/カジノ・ロワイヤル」のような軽妙洒脱な役の彼が好きですねぇ。いかにも“英国紳士”していて良いですなぁ。(「80日間世界一周」は話がダレるのでちょっと…ですが)
そういえば「悲しみよこんにちは」もデボラ・カーと共演してましたね。
ちなみにこの作品の制作は「ヘクト=ヒル=ランカスター・プロ」ですね。
製作者のバート・ランカスターとヒルの当時の妻リタ・ヘイワースが共演。
バート・ランカスター、「成功の甘き香り」の頃から演技に“いやらしさ”が見え隠れしてどうも好きになれない。終始押さえた演技の「終身犯」は絶品でしたけど。
リタ・ヘイワースのファンなのでDVD持ってます(笑)

ボースン
ボースン
2008年5月5日22:40

あら、早とちりでしたかオンリー・ザ・ロンリーさま。どうも失礼いたしました。でも楽しみにしてますんでヨロシクです。(^^)v

ボースン
ボースン
2008年5月5日22:44

こんばんわ、オショーネシーさま!わかって下さいますか!そう、悩ましいんですよホント(笑)
もともと私も、ニーヴンの洒脱キャラが好きなわけなものでして。「カジノロワイヤル」など、巷の評判は良くないけれど、ニーヴンを見るだけでも価値ある映画と思います(*^^*)
ピーター・セラーズやウディ・アレンも出ていて凄くお得感あるのになあ。普通の007映画と同列で比較しようとするからいけないんですよね、きっと。
あ、カジノ…、これにもデボラ・カー出てましたね。さすがにドタバタ演技はギコチなかったですが彼女は。

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