ハーヴェイ

2008年3月7日 映画
1950年モノクロ作品。監督はヘンリー・コスタ。
疲労困憊の日々、休みの日にはほっこりしたいという気持ちに、良さそうでは♪と思ってセレクト。
昔和田誠さんがホメていたので、ずーっと気になっていた映画。ちょうど先週、ちょっと安めに中古でゲットしたのでした。

ハーヴェイというのは、主人公エルウッド(ジェームズ・スチュワート)の説明を借りると、身長約1.9mのウサギ(!)。
勿論、エルウッド以外には見えない存在なのだが、相手構わず「親友のハーヴェイ」を紹介しようとするエルウッドの振る舞いに、同居の姉ヴィータ(ジョセフィン・ハル)は困り果てている。屋敷は弟の持ち物だし、弟を心から愛してはいるのだが、我が娘マートル・メイ(ヴィクトリア・ホーム)の縁談にも思いっきり差し障る。
ついにヴィータは弟を精神病院に連れてゆくことにする。

ところが、感情的になるあまりイマイチ脈絡のないヴィータの説明を聞いた医師(チャールズ・ドレイク)は、彼女が最後に「(ストレスのあまり)私にも時々巨大ウサギが見えるような気がする」と口走ったため、「しまった間違えた、患者は弟ではなく姉のほうだ!」と誤解する。なまじエルウッドが大変礼儀正しく、底抜けに好人物然とした中年紳士なのでなおさらだ。
医師との会話の最中、何度も何度もエルウッドは「親友」を紹介しようとしているのだが、「とんでもない間違いをした、彼を何とかなだめなくては」と思い込んで焦っている医師と看護婦は、ちっともソレに気が付かない(笑)
エルウッドの知らぬ間に、ヴィータは見るからに粗暴そうな看護人ウィルソン(ジェス・ホワイト)に担ぎあげられ、強引に病室へ放り込まれる。
防音の効いた密室だ。ああッ、危うしお姉さん!

怖いよね、人の話を聞かない精神病院て…

アレコレあった末、ようやく巨大ウサギの妄想があるのは弟のほうだと病院側が納得し、逃げた患者を追え!と病院長(セシル・ケラウェイ)やウィルソンもエルウッド宅へやって来る。医師や看護婦も街中を走り回る(看護婦さん美人〜☆)。
しかし、エルウッドと語り合ううち、次第に誰もが彼の純真さに魅せられ、ほのぼの多幸症に感染し、しまいには自分でもハーヴェイが見えてしまう者まで出現!
なにせ姉が自分を入院治療させようとしていたと気付いても怒りさえしないんだよ、この男。姉の希望することなら、自分としても何でもかなえてやりたい…と、とことん素直で無欲なのだ。

そもそもハーヴェイって本当にただの妄想なのか?
嫁き遅れのマートル・メイにもどうにかお相手が見つかったようで、最後にはファンタジックでハートウォーミングなハッピー・エンディングへとなだれ込む。

最初っから、いかにも似合いそうな役…ではあるのだが、やっぱりジェームズ・スチュワートが素晴らしい。遺産で貰った立派な屋敷に住んで仕事もせず、日課はバー通いという有閑紳士なのだが、お得意のおっとり好人物像に一層の「いっちゃってる」感をにじませつつ、どこまでも魅力的で上品ですらある。

人間に必要なものって何だろう?人間の、人としてあるべき姿って何だろう、と、じんわりほのぼのと考えさせてくれるコメディだ。
もちろん理想を追いたくても人生はままならぬもの、様々な障害に邪魔されるかもしれないし(ビンボとか)、理想と引き換えに自分がトンデモないところまで「いっちゃう」かもしれない…ってことまで含めてね(笑)

ハイ、大変に、ほっこりさせて頂きました(*^^*)

DVD ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2008/01/12 ¥1,500

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