今日くらい久々にゲームもしたいなーとか思っていたが、昼の三時過ぎまで寝てしまった。
…まあ体が要求したんだから良かろう。休むのも意義アリ。
滞っていたサイト更新と、この映画を見て今日は終わり。

エルンスト・ルビッチ監督の「生きるべきか死ぬべきか」(1942年)をリメイクしたこの映画。メル・ブルックスは今回監督はやってなくて主演と製作のみ。ヒロインは実の奥様アン・バンクロフト。イイ年の筈だがそれなりにゴージャスな雰囲気をちゃんと出してるのは感心だ(笑)

オープニングのタイトルバックは、ブルックス演じる座長ブロンスキーと妻アンナ(バンクロフト)の、劇場用手描きポスターの数々。クラシックな雰囲気がイケてます。
しかし、冒頭しばらく字幕なしなままポーランド語で主役二人がケンカを始めて??と思ってると、どこからともなく「皆様の理解と正気を保つため、映画ではこの先ポーランド語を用いません」の声(と字幕)が。あからさまにホッとした表情で、英語で会話を始める二人…てなあたりは、いかにもメル・ブルックス的なベタなメタギャグだよなあ。

元々の「生きる…」の脚本が凄すぎるので、ストーリー自体は、ほとんどそのまんま。ただ、ブルックス自身がヒトラーのそっくりさんまで演じるのはさすがにムチャじゃないかと苦笑。「生きる…」ではヒトラー専門の役者がいたからね。ブルックスの役柄自体ジャック・ベニーよりもコメディアン寄りな設定になっていますが、あれで騙されるってのは、ないでしょう。

ただ、リメイクで新味な部分はというと、なんたってブルックスのミュージカル・センス。
開巻早々奥様と『スイート・ジョージア・ブラウン』てのもいいよね(これはスタンダード曲、「お熱いのがお好き」でも使ってたな)。そしてもっと楽しいのが、ヒトラーの扮装で『フランスを一切れ、ベルギーを一切れ、デザートはロシア?』と歌い踊るナンバー。少々クネっとしたヒトラーは、「プロデューサーズ」にまんま通じてます。これと中盤の『Ladies』はブルックスの作詞作曲らしい。『Ladies』は「Dames」のもじりかな?ワーナーの古い30年代ミュージカルの…。振り付け自体はカラー映画なせいもあってMGMusical調の小味なもの。冒頭のショーのポスターも“Bronski Follies”だ(笑)
出かけようとするスパイをゴマカし引き止めるため、ピアノに飛びつき歌いまくるアン・バンクロフトのシーンもイイ。「奇跡の人」だの「卒業」だのでコワいオバサンなイメージが強いけど、考えてみると映画デビュー作「ノックは無用」じゃホテル専属の歌手の役で、歌いまくっていたのだった。一曲目がYou and the Night and the Music なのも個人的に嬉しかったり…(笑)大好きな「バンド・ワゴン」で、舞台が難航する時にコミカルな使われ方をしたけれど、マジメに引けば濃厚で情熱的な素敵な曲だ♪ここでも微妙にコミカルな使われ方だな(笑)

それ以外で、「生きる…」にない場面で(あまりないが)良かったのは、劇場地下に匿ってたユダヤ人も一緒に脱出すべし、のサスペンスかな。かなり動揺していた人がいて疑惑を引きかけたのを、ちょっとした機転で誤魔化したあたりは上手い!と叫んだよ。
かなり皮肉の効いた手なんだけど…。
1942年に製作したルビッチは、戦争中ということもあったろうし本人の美学もあったろうしで、あまりストレートにユダヤ人迫害の要素には触れてなかった。そこは現代の方が自由がきくしなぁ。

総評としては、完成度は「生きる…」が格上。品もあるし知的でもある。ただしショー場面が楽しい「大脱走」も、決して価値がないわけではない。元々の「よく出来た話」は素直に取り入れて、メル・ブルックスの得意技をちょこちょこっとまぶし、オリジナルへのリスペクトがちゃんと感じられる落ち着いた作品になっていたと思う。

「生きる…」については1/7日記もご参照ください。
(http://13374.diarynote.jp/200801071200540000/)

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