高殿円が時々地雷と感じられるのは、少女小説ぽく一種子どもっぽいまでの表現と、バリバリにハードな謀略が同居してたりするからだ。フシギなバランスだが、奇怪なバランスになることもあるのである。
このオハナシも微妙なラインかなあ。主人公たちに襲い来る魔手と、氷の知略で対決するヒロインの戦いぶりが結構壮絶なのに、何だかヒロインに言い負かされ続けのヒーロー(暗い過去&有能な武将なはずなのだが)があまりに情けなげなせいだろうか。
二人とも大ボケのドンカンだし。
まあそれでも、スリリングはスリリングだし、二人の気持ちは最初よりは近づいてるっぽい。

次の巻が楽しみである。
ただ、仮面夫婦(笑)と腹心のそれぞれの悲願を、もうちょっとあかしといてくれてもいいのになあ。
それとこの絵、激しく可愛い系の絵柄はちょっと勘弁してほしいなあ…
「意外とハード」なこの人の中世風ファンタジーは、遠征王シリーズの麻々原絵里衣が一番イケてたと思うんだけどなあ。舞台もパルメニアだし。残念。

ISBN:4094520090 文庫 高殿 円 小学館 2007/05 ¥540

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