1950年作品(カラー)。

フレッド・アステアとレッド・スケルトンが、1920年代に活躍した実在の作詞作曲コンビ、バート・カルマー&ハリー・ルビイを演じる伝記ミュージカル。

カルマー(アステア)は、膝を怪我して恋人兼ダンスのパートナー・ジェス(ヴェラ・エレン)ともうまくいかなくなっている時、新進作曲家ルビー(スケルトン)に出会う。以前マジックの舞台をポシャらせたドジな臨時助手とも気付かぬまま(笑)、意気投合して最初のヒット曲“I wanna be in Tennessee”を完成させる。
舞台で自ら踊るのに加えて、作詞に脚本にそしてマジックもやりたい…と多芸多才なカルマーと、作曲家のくせ野球狂のルビイ。性格の違う2人は助け合い、時には喧嘩もしつつ、様々な佳曲を生み出してゆく…。
成功しまくりのコンビだし、作られた時代的に伝記映画といってもどうせ大して史実にはのっとってないんだろうなとは思うけど、たまにペーソスが漂うのがちょっと意外。
ゲジゲジ眉に金壷マナコのレッド・スケルトンって、米国じゃ人気コメディアンだったと思うんだけど実はろくに映画で見たことなくて…どこが可笑しいのか、よくわからない。
ただ、柄は大きいのに素朴でお人好しぽいところとか、歌も、特にうまくはないんだろうけどソフトな声質が、いかにも都会的なアステアの歌や演技をふわっと受け止める格好で、結構合ってたと思う。

さて、肝心のアステアなのだが、開巻そうそう“Where did you get that girl”で燕尾服にトップハット、同じ服装のヴェラ・エレンと2人で派手に踊りまくって、いつも通りの鮮やかさ。が、その次のナンバーの後、膝を怪我してしばらく踊れなくなる。
別れたジェスの舞台の様子を人づてにきき、故障が癒えぬままアステアが、そろそろどうだろう、と普段着のまま人気のない薄暗い舞台で、そうっとステップを試してみる場面などは実に胸に迫る。1人きりで“Where did you get that girl”の激しい振り付けに再チャレンジし、倒れるあたりは迫力十分。
しかし後は踊りより歌曲作りがメインとなるので、踊ってもスローなナンバー、いつもよりダンス量が少ない感じでちょっぴりものたりない?

ただ、それを補うように?作詞作曲しながら結構歌う。歌の量は多い方かも…
やっぱりアステアは歌手としてもいいよなぁ…美声というのじゃないけど、踊り同様になんとも洒落た味わいの歌唱を聞かせてくれる。

これまで通りの、カラフルで軽いミュージカルなのだけど、どことなく人間ドラマが忍び寄りかけてるあたりが時代の変わり目を感じさせます。そう、50年代の途中からミュージカルはどんどん変わってゆくんですよね。大型化、そしてリアリズム。
ただ、リアルになれば良いってもんでもない、と私は思うのですが…芸を見るためだけにストーリーがくっついて来てどこが悪いんだ?と。
アステアに関しては、ほんとソレ言えると思うね、ウン。

カルマー&ルビイの歌曲自体も、どれも楽しく美しくキャッチー(と私は思う)。
さすがに今では一般に知られている曲は、モンローが「お熱いのがお好き」でリバイバル・ヒットさせたププッピドゥ“I wanna be loved by you”くらいだろうけど。

冷静に見れば、アステア映画としては出来は中くらいかな。でも楽しめました。

コメント

nophoto
pin dasuma
2008年8月23日13:46

何も知らない人はコメントする資格なし!此のコンビはNeverthlessを始め、Thinking of you など優れた佳曲を数多く発表している超有名な

ボースン
ボースン
2008年8月23日22:03

そらもう超有名だったから、映画にもなるんですよね。
とはいえ、NeverthlessもThinking of youも、Who’s sorry nowも、この映画で私は知りましたが(私よりだいぶ先に生まれた曲なので仕方がない)、何か問題でも?
ちなみに、昔ミュージカル名場面集「ザッツ・エンタティンメント」が封切られた際「土曜が貴方に」の一部も収録されてまして、しかしこの映画本体を見ることは長いことかなわずに、私はサントラLPを購入し音楽=歌曲だけ先に聞いて色々夢をふくらませていたものです。それが、ようやく今回映像つき完全状態でフル視聴できたというわけで、いやーDVDはめでたいですねえ、ほんとに。

カルマー&ルビイに、たぎる思いを抱いてらっしゃるようですが、それでしたらむしろ、映画に欠けている(昔のミュージカルですからそんなにリアリズムな筈がないとは思いますので)彼らの何を知るべし!かをコメントしてくだされば嬉しいと思いますよ。

お気に入り日記の更新

日記内を検索