ひさびさに「拾った女」(1953年)を再見。
ここんとこウィドマーク熱更に上がってるし(笑)
とにかく、モノクロ。フィルム・ノワール!(ただし一応ハッピーエンド)。
東洋的にすら感じる、人工的なモダン・ジャズの旋律にのせて浮かび上がる夜のNY!
皆がぶすっと無表情に揺られるラッシュの地下鉄、女タレこみ屋の小汚い部屋、ウォーターフロントのファンタジックな隠れ家(ハンモック吊ってたり、窓から箱に入れたビール瓶を海に沈めて冷蔵庫がわりにしたり、電気もなさげなくせ奇妙な魅力のある小屋だ)。
シャープなモノクロ映像の中に日常と非日常がクロスする…
うーん、先週「襲われた幌馬車」の時にも書いたが、アレの対極だなあ(大袈裟)
リチャード・ウィドマークが演じるのもそもそもプロの犯罪者(スリ)だし(笑)
スッた女の財布の中に共産スパイの盗み出した国家機密が入っていたことから、警察&FBI、スパイ組織の両方に追われながら旨い汁を吸おうと画策したりするのだが、最終的には正義(国家)の側につくのは50年代ならではですかね。いかにもな反共シナリオなんだけど(道義的にスリ>共産主義者w)、まあ気にしない。厳密には愛国心ではなく人情?による転向と言ってよさげだし。
殺し屋役で衝撃のデビューを飾っただけあって、ウィドマークのワルっぷりはいっそ颯爽たるもの。
口八丁と狡知のキレ味がなんとも無敵♪不敵笑いはいつもどおり。
職業柄、武器は一切使いませんけどね(アクション場面はちゃんとあるけど)。
そして財布を取り返しにきたジーン・ピータースとのハードボイルドな遣り取りがすばらしい。ボギーですら「古い」とか思えちゃうね♪
撫でたりドツイたり、硬軟バシバシ使い分け。さっき殴った所なのに(彼女が不法侵入してきたからだけど)「治してやろう」とか撫ぜ撫ぜするうち何故かキスしちゃったり。
色気で少しでも懐柔しようという気が彼女にもあるんだろうけど、そして据え膳は拒まないという彼なんだろうけど、頭より気持ちより、何か本能的な相性の良さがふぅっと湧き上がるようで、性急かつ唐突なくせ奇妙に魅惑的なロマンス場面になっている。
先にオチるのはむしろ彼女のほう。何で彼にホレちゃうのかよく分からないんだけど分かる、というのはこの二人のキャラクターと演技の呼吸がピッタリなのかな。
また、彼女は昔の彼氏に頼まれて共産スパイとは知らぬまま情報の受け渡しをさせられていたわけで。
まさにアレですね、所謂だめんずに引っかかりやすい性格なんですねきっと。根がMなんですね。今回ウィドマークもドSを通してるし。(「襲われた幌馬車」で馬車の車輪に縛られてたMな風情とも対極でありますな(笑))
ピータースがまた綺麗だし。キリっと勝気そうで、でも可愛くてセクシー。「お嬢さん」じゃなくて明らかにおミズ系なんでしょうが女の私から見ても魅力的。
まあ、だめんず・うぉーかーとはいえ、今回、ウィドマークの方は彼女の真心を受け入れて、何とか更正してくれそうです。
よかったねえ。(自虐の詩にはなるなよ〜(^^;))
そして中年の女タレこみ屋セルマ・リッターの演技がまたさらってくれます。
ミーハー心をさておいても、見所の多い作品ですよー(*^^*)
しかし、ジュネス企画ってまるきりDVD特典映像とかないよなあ。
米クライテリオン盤はいろいろついてるみたいなのに。
…しかし両方というのはあまりにアレかな…(リーフリ機買ったとはいえ)
DVD ジュネス企画 2004/06/25 ¥5,040
ここんとこウィドマーク熱更に上がってるし(笑)
とにかく、モノクロ。フィルム・ノワール!(ただし一応ハッピーエンド)。
東洋的にすら感じる、人工的なモダン・ジャズの旋律にのせて浮かび上がる夜のNY!
皆がぶすっと無表情に揺られるラッシュの地下鉄、女タレこみ屋の小汚い部屋、ウォーターフロントのファンタジックな隠れ家(ハンモック吊ってたり、窓から箱に入れたビール瓶を海に沈めて冷蔵庫がわりにしたり、電気もなさげなくせ奇妙な魅力のある小屋だ)。
シャープなモノクロ映像の中に日常と非日常がクロスする…
うーん、先週「襲われた幌馬車」の時にも書いたが、アレの対極だなあ(大袈裟)
リチャード・ウィドマークが演じるのもそもそもプロの犯罪者(スリ)だし(笑)
スッた女の財布の中に共産スパイの盗み出した国家機密が入っていたことから、警察&FBI、スパイ組織の両方に追われながら旨い汁を吸おうと画策したりするのだが、最終的には正義(国家)の側につくのは50年代ならではですかね。いかにもな反共シナリオなんだけど(道義的にスリ>共産主義者w)、まあ気にしない。厳密には愛国心ではなく人情?による転向と言ってよさげだし。
殺し屋役で衝撃のデビューを飾っただけあって、ウィドマークのワルっぷりはいっそ颯爽たるもの。
口八丁と狡知のキレ味がなんとも無敵♪不敵笑いはいつもどおり。
職業柄、武器は一切使いませんけどね(アクション場面はちゃんとあるけど)。
そして財布を取り返しにきたジーン・ピータースとのハードボイルドな遣り取りがすばらしい。ボギーですら「古い」とか思えちゃうね♪
撫でたりドツイたり、硬軟バシバシ使い分け。さっき殴った所なのに(彼女が不法侵入してきたからだけど)「治してやろう」とか撫ぜ撫ぜするうち何故かキスしちゃったり。
色気で少しでも懐柔しようという気が彼女にもあるんだろうけど、そして据え膳は拒まないという彼なんだろうけど、頭より気持ちより、何か本能的な相性の良さがふぅっと湧き上がるようで、性急かつ唐突なくせ奇妙に魅惑的なロマンス場面になっている。
先にオチるのはむしろ彼女のほう。何で彼にホレちゃうのかよく分からないんだけど分かる、というのはこの二人のキャラクターと演技の呼吸がピッタリなのかな。
また、彼女は昔の彼氏に頼まれて共産スパイとは知らぬまま情報の受け渡しをさせられていたわけで。
まさにアレですね、所謂だめんずに引っかかりやすい性格なんですねきっと。根がMなんですね。今回ウィドマークもドSを通してるし。(「襲われた幌馬車」で馬車の車輪に縛られてたMな風情とも対極でありますな(笑))
ピータースがまた綺麗だし。キリっと勝気そうで、でも可愛くてセクシー。「お嬢さん」じゃなくて明らかにおミズ系なんでしょうが女の私から見ても魅力的。
まあ、だめんず・うぉーかーとはいえ、今回、ウィドマークの方は彼女の真心を受け入れて、何とか更正してくれそうです。
よかったねえ。(自虐の詩にはなるなよ〜(^^;))
そして中年の女タレこみ屋セルマ・リッターの演技がまたさらってくれます。
ミーハー心をさておいても、見所の多い作品ですよー(*^^*)
しかし、ジュネス企画ってまるきりDVD特典映像とかないよなあ。
米クライテリオン盤はいろいろついてるみたいなのに。
…しかし両方というのはあまりにアレかな…(リーフリ機買ったとはいえ)
DVD ジュネス企画 2004/06/25 ¥5,040
コメント
>ジュネス企画ってまるきりDVD特典映像とかないよなあ
確かに(笑)。ジュネスに限らず、特典とかはたいてい米版の方が充実しているんですよね。
俳優陣も万全、こんなにも「颯爽とした小悪党」を説得力をもって演じられるのはウィドマークくらいでしょうし(「颯爽とした小悪党」って表現自体が自家撞着気味ですがとにかくそうとしか言いようが)、オスカーノミネート数知れずのセルマ・リッターの実力は言うに及ばず。
user tさまのブログには、ジーン・ピーターズでも一記事あるようですね。ジーン・ピータースの魅力も最高に発揮されていると思います。この映画の彼女と比べると、他の作品では(そんなに沢山は見ていませんが)、あれ?というくらい平凡に見える…(笑)
「死の接吻」を見て、若いころのウィドマーク出演作をもっと見たくなり、評判が良かったこの「拾った女」が見ることにしたのですが、レンタルには置いてないし、DVDも高価。それで、アマゾンで英国盤が安く買えると分かり、注文しました。そのため、私が見たのは字幕無し(英語字幕も無かったです)です。若いころは字幕無しでも必死に英語を聞き取って筋を追っていたのですが、近年はもっとボーッと見るようになりまして、そのため物語は完全には理解していないかもしれません。
それでもウィドマークがクールで不敵で軽くてカッコいいのは分かりました。先にも書きましたが真剣に英語を聞き取ってはいないので、勝手な解釈なのかもしれませんが、ウィドマーク演じるスキップは犯罪者ではあっても、「世間が悪いから犯罪に手を染めた」といった恨みつらみがなく、また犯罪組織をつくってのし上がってやろうという野望もなく、ほったて小屋みたいなところに住み、ハンモックで寝て、そんな気楽な暮らしを楽しんでいる自由人に見えるのです。
最初のほうでタイガー刑事に署に呼ばれ「殴ってみろよ」とか挑発したりする場面の、口八丁な感じがいいですねえ。
小屋から岸へロープを使って渡るアクションも好きな場面です。“小さな悩みなども軽々と飛び越えていくキャラクター”に、勝手に見えてしまうのです。思い込みですけど。
クライマックスが殴りあいってところもツボ。たとえばキャグニーのギャング映画は銃撃戦がクライマックスということが多いですが、本作は殴り合いってところが何か新鮮に見えてしまいました。正直言ってパンチそのものはやはりキャグニーのほうが早く、迫力あると思うのですが、逃げる悪漢を追ってその足にしがみつくと、悪漢が階段で顔をガクガクッとなるところとか、スキップが勢いよく殴ると、悪漢が改札のところでクルッと1回転して吹っ飛ぶところなどは、思わずハッとするほどの好きな場面です。
しかも犯罪映画なのに、切なくもなく、主人公が死ぬこともなく、にこやかに去っていくハッピーエンド、というところがたまらなく好きです。
そのせいでしょうか。ここが好きあそこが好きというのが、まるで自分で書いてるみたいに同じです(笑)
私ははるか昔に深夜TVで大塚さん吹替えで見て、それからずっと「拾った女最高拾った女最高」と思っていたのですが、DVDが出るまで長かったですホントに…(ジュネス盤は出たとたんに買いました。この頃はまだリージョンフリープレイヤー持ってなかったし)
最後の格闘ですが、その前に拳銃をスッているので、冷静に考えれば、いきなり殴るんじゃんなくて拳銃を突きつけて捕まえればいいのですが、やはりブン殴ってやりたかったんでしょうね。