やっと読み始めた。
そして読む前、オビを見ると、なんと文藝春秋も、選集をあと二冊続巻決定とある。遅い やたー!
ユークリッジと、「その他」なドローンズクラブで一冊ずつらしい。

そこんとこは、偉いぞ編集部。

しかし!!

この三巻・マリナー選集については少々、モノ申したい。

アンタら、ちょっと、間違ってる!

17作入りで、80年代に私が買った筑摩書房の邦訳マリナー「マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険」と、ほとんど内容がかぶってないこと自体は、いいことなのかもしれない(実はマリナーものはもっともっとあるらしい)。

しかし、構成が、こりゃマズイよ。
最初の一本はマリナー初登場作らしいからまあ正道。だがその次!
いきなり、ロバータ・ウィッカムものを三本続けるか?
いきなり、困ったカワイコちゃんに酷い目に会う話を三本続けるのか?
(そもそもこの三本は、最初は「マリナーもの」として発表されたものではないと解説にもある)
笑えないとは言わんけど、三本連続酷い目にあったら疲れますよ。
さすがにどうしても多少展開が似てくるし。

そのあと、ウィルフレッド・マリナーの新薬関係で三本続けるのもなー。
これはまだしも各話のヒーローが元気に活躍して難局を乗り切ったり解決したりだから爽やかだけど(特に最初の「人生の一断面」は傑作だし)、やっぱどうだかと思う。
せめてロバータ三連発がなければ…!

その後の作品群にしろ、なぜ同一登場人物の出る話を集めたがるの?
マリナーものってのは、マリナー氏の舌のむくまま気のむくまま、毎回千変万化なシチュエーションと恋と冒険が展開するって所がうれしいんじゃないのか??

なんだか、各話の「珠玉の傑作」感が、シリーズの中でも近いモノ同士を並べたばかりに、かえって阻害されて感じるんですけどねえ(-"-;)

様々なアンソロジーに拾われてきた、名作中の名作「スープの中のストリキニーネ」がここにも入ってるのは当然だが(ちなみにダブリはコレと「人生の一断面」のみ)、つくづくと、筑摩版七作が、綺羅星の如く感じられてしまうのを、今回の選定を下手!と感じるのをどうすりゃいいんだー!

重なってもいい。ロバータの代わりに「忍冬が宿」や「名探偵マリナー」を入れれば、どんなにか多彩な印象になったことか。「厳格主義者」の肖像でもいい(ここらは全て筑摩所収分)。
特に「忍冬が宿」は、普段のマリナー節の逆をゆく展開が最高なのに!

大好きなウッドハウス。楽しいウッドハウス。なんだかんだ言っても、収録の物語自体に罪はない。特に、主役のかぶらない話、「一本目」な話は、ちゃんと面白い(オレンジジュースとかアーチボルドの一本目とか)。なのに、いささかムシャクシャする気分になっちゃったのは文春(&編訳者たち)が悪い!
この本で初めてマリナー氏におめもじする若い読者だっていっぱいいる筈。
彼らのためにムシャクシャするのだ。
マリナーものは、もっとイイんだよ、もっと万華鏡のように芳醇多彩な世界なんだよと。
バカヤロー文春!
せめて続巻はさっさと出せよー!!!

ISBN:416326180X 単行本 P・G・ウッドハウス 文藝春秋 2007/07 ¥2,500

コメント

翠雲
翠雲
2007年8月16日17:47

有難うございます。
是非!とお願いしたいと思います。(とりあえず今の分をお返ししなければ…)

ボースン
ボースン
2007年8月16日22:12

近々送ります。少々お待ちくださいね♪

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