朝のうちに少しサイト更新をしたら力尽きた(笑)
絵が描けなかったのは昼から、心身の疲れを癒すために、半分ほど見ようか(以前TV放映で見たことはあったから)とDVDプレイヤーに突っ込んだ「足ながおじさん」を最後まで見てしまったからだ…(爆)
でもまあ、この映画、なかなかウマイこと出来てるもんで…
ミュージカルだし、アステアの出番だけちょこちょこと見て終わろうと思ってたんですがね、はは。
さて…
「足ながおじさん」は、誰もが知ってる書簡体少女小説の古典。
孤児院育ちの少女が、奨学金を貰って大学にいけるようになり、恩人「足ながおじさん」にひたすら(一方通行の)報告の手紙を書き送る、という体裁の物語だ。
当然足ながおじさんの正体は、最後の最後まで、主人公と読者には伏せられている。
しかし!それではなかなか盛り上げにくいのが映画だ。
この映画は思い切って、最初ッからスポンサー氏視点でスタートする。これが大正解!
イントロダクションからして鮮やか。
モノホンの大富豪ってものは美術館やら豪邸やらのひとつやふたつ観光客に公開してるもんだが、美術館に並んだ「ペンドルトン家代々当主の肖像」でまずニヤリ。アステアそっくりに描いてます(笑)
ギャラリー経由で秘書(フレッド・クラーク)が奥のオフィスに入ってゆくと、ペンドルトン氏(アステア)がゴキゲンでドラムを叩いてる。これで主役の大富豪っぷりとスマートな趣味人ぶり(若くなくとも)が両方サクっと印象付けられるって寸法である。
…ドラム、相性がいいんですよねアステアと。タップダンスは肉体のパーカッションですからねえ♪
一曲歌い踊ると、彼と秘書とは公務でフランスへ。そして、通りかかった孤児院で、運命の出会いが(笑)
ここまで実にスピーディに、流れるような展開だ。
ただ、友人の駐仏大使に相談すると、あくまでも援助は匿名で!とクギを刺される。
だもんで、大学に入って大喜びで手紙を書き送る孤児のことは、しばし富豪の頭から消えちゃうのであった(ここがまた好判断。ずっと追いかけてるようじゃストーカーだ)。
何通もの手紙。一方通行の手紙。
しかしここでひとつの転回点が。
新生活にも慣れ、楽しいなかにも返事がもらえない淋しさを訴える孤児の手紙を、家政婦は、いや秘書たちはちゃんと読んでいた!(笑)
ここで新キャラ・人情おばちゃんタイピストが乱入!「義を見てせざるは」と立ち上がり、ニブチン男どもの尻を叩くのだ。
そう、50年代最強無敵の「おばちゃん」役者、セルマ・リッターである!(笑)
フレッド・クラークと丁々発止やりながら、ご主人様たちの恋を見守るおばちゃん役は、もうこの人しかない、という安定感だ。
それにしても、豪邸の豪華オフィスといい、ひなびた孤児院のたたずまいといい、とにかくオシャレで目に美しい。貧しい孤児院かもしれないが、ヨーロッパの石造建築は風情があります。
監督のジーン・ネグレスコ、観光派と言われるだけのことはある。
原作と違い、フランス出身のヒロインはジュディならぬジュリー(レスリー・キャロン)。
個人的に好きなタイプじゃないけど、小柄でベビー・フェイスは女学生役には向いてると思える。
孤児だから、人とのスタンスの取り方も大胆なような無防備なような、で、余計にオトナの男心をそそるのかもって感じで説得力あり(笑)
ただ、アステアに向いてるかというとまた別…基本的にバレリーナだもんね(ローラン・プティバレエ団の出身)。
ジーン・ケリーは意外にバレエ志向があるからいいけど(「巴里のアメリカ人」)、アステアは踊りにくいんじゃないかなんて邪推もする。とはいえ富豪と孤児、「年の差ステータスの差の激しい二人」だから、そのズレもまたヨシ、なのかな…。なかなか会えなかったり、想像の中だけで出あったり、という“すれ違い”ダンスナンバーに味わい深いものがあるのは確か。
特に「こんな人?あんな人?」と、彼女の手紙の言葉に合わせて、「西部の大富豪風」「国際的プレイボーイ風」「守護天使風」など、アステアが七変化ダンスをする所は特に好き。「西部…風」なんかここだけ歌が太い声で吹き替えになってて、それにアステアがまるでジョン・ウェインみたいな口をつくって合わせるのが笑える〜!
いや、ほんとジョン・ウェインばりの歪めかたなんですよ。映像でお見せできないのが残念です。
また、「会えない二人」「想像の中の二人」であることを意識してか、特にキャロンのダンスは何かと絵画的な趣向を凝らしたセットが印象的。オペラ座のバレリーナになるシーンなど、ドガの絵みたいだね。狙ってるねきっと(笑)
どうしてもアステアメインの眼で見てしまうぶん、後半はややもたつくのですが、いい出来の翻案です。1955年作。50年代のアメリカ大学生風俗もわかる(お気楽げ)。
癒された〜
VD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2007/03/02 ¥2,990
絵が描けなかったのは昼から、心身の疲れを癒すために、半分ほど見ようか(以前TV放映で見たことはあったから)とDVDプレイヤーに突っ込んだ「足ながおじさん」を最後まで見てしまったからだ…(爆)
でもまあ、この映画、なかなかウマイこと出来てるもんで…
ミュージカルだし、アステアの出番だけちょこちょこと見て終わろうと思ってたんですがね、はは。
さて…
「足ながおじさん」は、誰もが知ってる書簡体少女小説の古典。
孤児院育ちの少女が、奨学金を貰って大学にいけるようになり、恩人「足ながおじさん」にひたすら(一方通行の)報告の手紙を書き送る、という体裁の物語だ。
当然足ながおじさんの正体は、最後の最後まで、主人公と読者には伏せられている。
しかし!それではなかなか盛り上げにくいのが映画だ。
この映画は思い切って、最初ッからスポンサー氏視点でスタートする。これが大正解!
イントロダクションからして鮮やか。
モノホンの大富豪ってものは美術館やら豪邸やらのひとつやふたつ観光客に公開してるもんだが、美術館に並んだ「ペンドルトン家代々当主の肖像」でまずニヤリ。アステアそっくりに描いてます(笑)
ギャラリー経由で秘書(フレッド・クラーク)が奥のオフィスに入ってゆくと、ペンドルトン氏(アステア)がゴキゲンでドラムを叩いてる。これで主役の大富豪っぷりとスマートな趣味人ぶり(若くなくとも)が両方サクっと印象付けられるって寸法である。
…ドラム、相性がいいんですよねアステアと。タップダンスは肉体のパーカッションですからねえ♪
一曲歌い踊ると、彼と秘書とは公務でフランスへ。そして、通りかかった孤児院で、運命の出会いが(笑)
ここまで実にスピーディに、流れるような展開だ。
ただ、友人の駐仏大使に相談すると、あくまでも援助は匿名で!とクギを刺される。
だもんで、大学に入って大喜びで手紙を書き送る孤児のことは、しばし富豪の頭から消えちゃうのであった(ここがまた好判断。ずっと追いかけてるようじゃストーカーだ)。
何通もの手紙。一方通行の手紙。
しかしここでひとつの転回点が。
新生活にも慣れ、楽しいなかにも返事がもらえない淋しさを訴える孤児の手紙を、家政婦は、いや秘書たちはちゃんと読んでいた!(笑)
ここで新キャラ・人情おばちゃんタイピストが乱入!「義を見てせざるは」と立ち上がり、ニブチン男どもの尻を叩くのだ。
そう、50年代最強無敵の「おばちゃん」役者、セルマ・リッターである!(笑)
フレッド・クラークと丁々発止やりながら、ご主人様たちの恋を見守るおばちゃん役は、もうこの人しかない、という安定感だ。
それにしても、豪邸の豪華オフィスといい、ひなびた孤児院のたたずまいといい、とにかくオシャレで目に美しい。貧しい孤児院かもしれないが、ヨーロッパの石造建築は風情があります。
監督のジーン・ネグレスコ、観光派と言われるだけのことはある。
原作と違い、フランス出身のヒロインはジュディならぬジュリー(レスリー・キャロン)。
個人的に好きなタイプじゃないけど、小柄でベビー・フェイスは女学生役には向いてると思える。
孤児だから、人とのスタンスの取り方も大胆なような無防備なような、で、余計にオトナの男心をそそるのかもって感じで説得力あり(笑)
ただ、アステアに向いてるかというとまた別…基本的にバレリーナだもんね(ローラン・プティバレエ団の出身)。
ジーン・ケリーは意外にバレエ志向があるからいいけど(「巴里のアメリカ人」)、アステアは踊りにくいんじゃないかなんて邪推もする。とはいえ富豪と孤児、「年の差ステータスの差の激しい二人」だから、そのズレもまたヨシ、なのかな…。なかなか会えなかったり、想像の中だけで出あったり、という“すれ違い”ダンスナンバーに味わい深いものがあるのは確か。
特に「こんな人?あんな人?」と、彼女の手紙の言葉に合わせて、「西部の大富豪風」「国際的プレイボーイ風」「守護天使風」など、アステアが七変化ダンスをする所は特に好き。「西部…風」なんかここだけ歌が太い声で吹き替えになってて、それにアステアがまるでジョン・ウェインみたいな口をつくって合わせるのが笑える〜!
いや、ほんとジョン・ウェインばりの歪めかたなんですよ。映像でお見せできないのが残念です。
また、「会えない二人」「想像の中の二人」であることを意識してか、特にキャロンのダンスは何かと絵画的な趣向を凝らしたセットが印象的。オペラ座のバレリーナになるシーンなど、ドガの絵みたいだね。狙ってるねきっと(笑)
どうしてもアステアメインの眼で見てしまうぶん、後半はややもたつくのですが、いい出来の翻案です。1955年作。50年代のアメリカ大学生風俗もわかる(お気楽げ)。
癒された〜
VD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2007/03/02 ¥2,990
コメント
「足長おじさん」子どものころ読んで胸をときめかせたものです(おいおい)でも成人してから読み返して少々引っかかりましたね。不誠実だ。ジュディの純情を手玉に取ったな?
まあアステアのダンス見るだけでもモト取れるのではと思いますし(笑)
>ジュディの純情を手玉に取ったな?
そりゃゼヒ映画見てくださいな〜。
女学生と恋に落ちちゃったオトナというのも、マジメであればあるだけ逆に気苦労もあるようで大変…そこんとこも面白おかしく描いてましたよ(笑)
この作品中に出てくるアステアの先祖の肖像画は、笑えるほど似てますね。
大物画家に描かせたように描き分けられて、FOXには、相当腕のいい絵描きさんがいたのでは?この前見た「折れた槍」や、「ローラ殺人事件」などの肖像画、いずれも、納得の出来でした。
アステア様のダンスもいつものようにすばらしかったのに加え、レスリー・キャロンが、夢の中で迷い込んだ妖しげな酒場で踊るダンス、あの酒場の雰囲気以上に妖しかった・・・。
鮮明なカラー画像で、舞台美術が楽しめる作品でもありましたね。
セルマ・リッター、「拾った女」のイメージが濃厚な私ですが、今回はおしゃれで人情味篤い役を好演してました。
原作があまりにも有名な作品なので、ちょっと、見るのを敬遠していたのですが、
思った以上に新鮮に楽しめてよかったです。
肖像画や、ニヤリとさせる小ネタもちりばめられて、結構スマートにまとまっていますよね。
セルマ・リッターは「普通のおばちゃん」をやっても常に素敵な存在感ですね。「拾った女」も名演ですが「裏窓」「イブの総て」「西部開拓史」など、名作大作すずなりですし、助演でのオスカーノミネート6回はダテじゃない。重宝されてたんだーと思います。
キャロンって「ミュージカルのオードーリー・ヘプバーン」的な使われ方をしていますよね。ヘプバーンは、『恋の手ほどき』の原作『ジジ』の作者コレットに気に入られて『ジジ』の舞台化で主役を演じています。
で、アステアとは『パリの恋人』で共演。
(Anthony Quinn, Fred Astaire,and their daughtersで検索したら出てくるかも知れません)
なんだか、納得いく親子像でちょっと、ほほえましかったです。以外にもクインのお嬢さんは、お父さんに似てるけど、かわいいし。
二人とも娘の社交界デビュー舞踏会(debutante balls、ウィーンのこれは有名ですね)の付き添いのようです。
レアな写真紹介をありがとうございました!共演はしてないと思いますが、たけだ様のおっしゃる通り、お嬢さんたちの社交界デビューが同じ時だったのでしょう(about this image のリンクから説明に行けました)。面白いですね。
>たけだ様
キャロンのヨーロッパ臭がオードリー・ヘップバーンもどきのモトでしょうかね(両方ともジジというのも縁が深いし)。でもアステアとのマッチングはオードリーの方が上かも。それほど踊れも歌えもしないとしても…
なんというか、年上の男が似合う女優NO.1ですしねオードリー(笑)
だからウォーレン・ビーティーみたいなヤツの毒牙にかかった?!
うーむ。大物の娘は、やはり社交界デビューがお約束なのね。どんなとこなのかねえ・・・社交界。(縁がない)それにしても、二人並ぶと、クインはデカイですね。アステア様は踊ってる場面見てたらスマートで、大きく見えるんですが、以外に小柄なのかな?ウィドマーク様ぐらい?
175cmと聞いてますから公称178cmのウィドマーク様より少し小さいくらいと考えてよいでしょう。
ジーン・ケリーなんかは更に小さいですが。
その中ではアステア様はまだタッパあるほうなのかもしれません。
大柄なミュージカルスターというと、ジュールス・マンシンとダン・デイリーくらいしか思い当たりません。あ、ハワード・キールも大きいかな。
このサイトには「必ずしも正確ではありません」との断り書きがあるようにかなり間違いがありますがその間違いぶりを楽しむサイトかも知れません。
ウィドマークは182cmとなっています。多分宣伝材料上は、男優の身長は上乗せして書いていたんでしょう。
このサイトではケリーの身長は175cmですがIMDbでは170cmとなっていますね。
ウィドマーク様182cmもあるのかなあ?・・でも、ジョン・ウエインが193cmとあるのは本当かも(「静かなる男」のせりふの中に、自分の身長を言ってた場面がありました)・・・「アラモ」で二人並んでる場面を見ると、すごく差がありますよね。
実際に会ってみないとわかんないですが、会ってみたい人はみんなたいがい故人ですしね(爆)
ボースン様、「おんでまんど」にもコメント追加しましたので、よろしく・・・
ケリーはアステアと並ぶとやはり小さいですよ。…てなわけで見ていて見あきないのは確かですね。
やはり現在も生きて更新中なIMDbのほうが、完璧でなくとも信憑性高めだろうと信じています。(となるとウィドマーク様=178cmなのです)。いちいちTrivia欄開かないといけないけど。