後半見終わり♪

“大コケ必然なショーを舞台にかけることで大儲けしようと企むプロデューサー”という仕掛けがとにかくぶっとんでいるので、それだけで一定笑えるとは思うが、ミュージカル好きの私には二倍以上オイシイ。監督は意識的に各所に昔のミュージカルへのオマージュを散りばめているようなので、「ザッツ・エンタティンメント」で萌える人は必見。見当違いや見落としもいっぱいあるだろうけど、興奮したあれこれを書きとめとくことにします。ストーリーはネタバレてないけど、別の意味でネタバレですので未見のかたはご注意。

最初のナンバー“Opening Night”。最初に出てくる金髪黒髪ガールズはきっとモンロー&ラッセルだよね。スタイリッシュな紳士淑女の群れはマイ・フェア・レディをちょっと連想♪つかみはOK!な感じのノリの良い曲で、いきなり期待感が膨らみます。

“We can do it”ノリノリのマックスと弱気なレオのかけあいのテンポ良さが最高。オフィスに「リア王」の絵がかかってるのは、ミュージカル版ハムレットが受けたら次はコレとおもってたんでしょうかね(笑)最初の場面からこのオフィスまでは凄く書き割り然としたセット臭プンプンでの歌と踊りが、途中から戸外に出て、レオはセントラルパークに逃げ込む。空から追うカメラはサウンドオブミュージックかい、とニヤリ。

“I wanna be a Producer”ひょっとしたら一番スキかも。ガレー船の奴隷席みたいな会計事務所、アンハッピー、アンハッピー♪の暗いリズムから始まって、「ほんとはブロードウェイのプロデューサーになるのが夢だった」としみじみ歌いだすレオ。見る間にファイルボックスのかげから踊り子たちが飛び出し、引き出しはステージの階段に。なんかめちゃジーン・ケリーのナンバーを連想するんですが(さすがにケリー程の踊りスキルはないですが)。ネオンサインの圧倒的な輝きの中にすべり出てくるあたり「雨に唄えば」のブロードウェイ・メロディとか…

“Der Guten Tag Hop-Clop”ヒトラー崇拝の脚本家が歌い踊る、いかにもドイツの酒場で盛り上がってそうなアレですね。歌の前のセリフの『心に歌を抱いたヒトラー』に吹いたよ。“With a song in his heart”ですか(笑)…歌曲のタイトルをもじったセリフは他にも何箇所か気づいたけど、いっぱい聞き落としてるんでしょうねえ。

“Keep it Gay”ゲイって陽気なって意味あったみたいだけど、ほんとにその意味は生き延びているのだろうか?それよりなにより、ゲイ演出家がむしょーにジャック・ブキャナン(「バンド・ワゴン」でヘンな演出家役やった俳優)に似て見えるがなんでやー!わざとかー!と身をよじりながら聞いてたナンバー。歌詞の中でオイディプス王に言及したりを見て「わざとだ」と思うことにしました。メル・ブルックス版ザッツ・エンタティンメントなのね…きっと…(それと歌の前にマックスの前作の話が出たのもナイス。どこがショー・ストッパーやねん♪)
そして演出家のゲイなスタッフたち、最後の赤毛がミッキー・ルーニー似なのもわざとか(シメがコンガ!だし)。振付家がカーク船長に似てるのは気のせいか?(演出家助手はスポック風ヘアスタイルだしな)

“When you got it,Flaunt it”お色気で出番、ゲットだぜ!なウーラ役ユマ・サーマン登場。お約束な曲。最近の映画を見ない私はこの女優さん初見(笑)。反応してくれるマックスとレオの動きがいいので形にはなってます。まあ素人っぽくても済む役。

“Along came Bialy”出資金集めのため、めかしこんで街にくり出すマックス。お着替えのあとマネキンと踏むステップはフレッド・アステアへのオマージュか?
彼のカモは基本的に、愛?に飢えヒマと金を持て余すお婆ちゃんたち。大通りをステップ踏みつつねり歩く主人公&付き従う群舞というのは昔ながらの超定番ですが、群舞が歩行器付きのお婆ちゃん集団という、ある意味この映画で最も悪趣味な(だって劇中劇という言い訳もないし)、最も強烈なナンバー!これは参りました。歩行器でタップ。そして歩行器付き群舞の(これも懐かしい)ドミノ倒し!すげ。

“That Face”お色気ウーラに向かって気弱なレオが歌うラブソング。どの曲もでマシュー・ブロデリックはいいノドだなあと嬉しくなるけど、後半のソファ場面の振り付けが「雨に唄えば」好きにはお楽しみ。あれ絶対ドナルド・オコナーの“Make ’em laugh”だよね。人形とソファでいちゃつきはね回る…

…だあああ…劇中劇ヒトラーの春を待つまでもなくこんな長文に(^^;)
まあヒトラーの春は曲は前から知ってたしヘンで当然なのでもう省略(笑)
いいよね、誰でも書いてるし…このショー場面のトンデモなさ可笑しさは。
ジュディ・ガーランド風のポーズで歌う"Heil Myself"が好き。

物語もしめくくりに入って友情の尊さをうたう感動的な“Till Him”。楽しげな“Prisoners of love”を経て、心あたたまる“There’s nothing like a show on Broadway”でしめくくり。
徹底的に悪趣味と悪ふざけの果てに、友情賛歌とショービジネスへの愛と憧れで締めくくる後味の良さはさすがですな。
そしてタイトルロール以後まで凝ってる。バックに流す曲は本編とはアレンジをぐっと違えてみせたり、○マゾンの回し者かアイツは…!そしてカーテンコール。んー、満足。

ユマのみならず、俳優さんは全部初見(笑)←昔の映画しか見ない私。
舞台とほぼ同じキャストらしいだけに全員ハマリ役。
レオ役マシュー・ブロデリック(名前しか知らなかった)、そんなに歌が上手かったとは知らなかったよ私も!
マックス役ネイサン・レイン。小太りオッサンだけど上手いなやっぱ。ゾクいけど下品になりすぎることはなく。小道具もロクにない牢内回想“Betrayed”なんか難曲だと思うしねーヘタな役者には…メル・ブルックスのギャグはいつもハイテンションを要求するのですが、いい感じで突っ走ってました。
ハイテンションな狂気はナチ脚本家ウィル・フェレルが頑張ってましたね。寄り目がコワくて可笑しい。ゲイカップルは…芸も達者ですがとにかくソックリさんぶりが私にはひたすら(笑)

ミュージカルナンバーばかり、あとから何度も見直してました。
これはDVDのよさだなあ☆いっそ買おうか?

(追記)ディレクターズカット集もあとから見ると更に嬉しいし。
カットされた理由はわからないでもないですが(映画だから長くなりすぎないようにってことだろう)、東欧風(イコールユダヤ風でもあるのかな)なノリが素敵な“King of Broadway”はボリュームたっぷり。バイオリン弾き屋根にのぼるのね。
“I wanna to be a producer”から、黒人の会計士が朗々と歌う一節が消えたのもかなり惜しい気が!びみょーに「オールマン・リバー」だったよ♪
ガレー船というより、南部の綿摘み奴隷だったんか…(^^;)

「バンド・ワゴン」と「雨に唄えば」も見直したくなりました(*^^*)

コメント

翠雲
翠雲
2007年1月21日23:26

アンハッピー♪の歌は、わたしも大好きです♪

ボースン
ボースン
2007年1月22日8:52

や、翠雲さま、レンタルほんとにありがとうございました。
これだけ興奮できたの久々です☆
ミュージカルって「憧れ」表現するのがトクイだなーと再認識した一曲でした。まあミュージカルという仕様自体が苦手な人もいるでしょうが。

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