ついに完結、銀盤カレイド♪

さすがにこの二冊は、一気読みでした。
「絶対、勝つ!」退路を断ってはみたものの、氷上の女帝・リアの存在は大きすぎて…
プリンセスタズサがプリンセスでいるのに苦労しまくる最終巻の展開は眼の離せない緊張感が持続する。基本的には自分に勝つ!のがメインのフィギュア競技。だけれどライバルが「あまりにも素晴らしい演技」をカマしてしまったら(しかも滑走順というラッキー&アンラッキーもある)、自己ベストをどんなに更新したって、絶対勝てるとは限らない。
そんな、特殊な競技に燃えるヒロインたちの、体力と精神力の限界に挑む美しき決闘!ああ、フィギュアスケートっていいなぁ。
ライバルたちのプログラム描写も、やっぱりどれもこれも面白いしね。

…とはいえ、シリーズ全体としては、「よーわからんなぁ」な部分もあるシリーズでした。私ってヒネクレ者?

たとえばタズサの“プリンセスモード”はちょっとしんどい。
タカビーを貫くことでメンタル強化!っていうにしては、最初の頃のタズサは「一億ドルの美貌」「神より美しいプリンセス」と口走りながら、実はまだ精神的に弱い所があって、あと一歩伸び悩んでいるところだった筈。
裏表がないのはいいけど、それじゃタダの「ヘンな人(顔は良くても)」だよなー、私みたいな年寄りにとっちゃ。

リアが「女子にはもはやライバルがいないから男子に行く」と宣言した話も、スピードスケートならわかるけど、フィギュアで男子?そりゃ、リアは四回転がバンバン飛べちゃうという点で“トップレベルな男子なみ”なわけだけど、単にジャンプがどーだとかそれだけの競技ではないのだし。伝統的にも、フィギュア四種目の競技会では、トリは女子シングルス…っていうところを考えると、なんだかね。まあ、この部分は、リアに対するタズサのキモチを切羽詰まらせる小道具としては一応認めてもいいけどね。

まあそれでも、いくら不満が(部分的に)あっても、フィギュアスケートの魅力を、文章でこのように鮮やかにカタチにしてくれたという点では、もー完全に作者に脱帽!です。ありがたやありがたや…

ISBN:4086303310 文庫 海原 零 集英社 ¥680

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