パパが病気で死んで、新しい学校にもなじめず、すっかり元気をなくしていた良平の前に、人間の言葉を話す不思議な犬があらわれる。なんでも、250万光年かなたの宇宙からやってきたというのだが…。
児童書なんだけど、思いがけず?面白かった。いい話です。
フツーのコドモの前に、宇宙人があらわれる話ってのはザラにあると思う。
当然、何らかの助け合いがあって、心の触れ合い結びつきが生まれる、と。
「ET」だって、そうだよね。
ただ、この話の宇宙人のスゴい所は、とてもとても、
オッサンくさい!
…というところだ。
子供と交流する宇宙人ってのは、ともすれば必要以上に可愛らしく描かれてしまいがち、と思う。「ET」なんざ最たるものだよね。自分の星を離れて地球までやって来たりするほどの科学力があるのに、マスコットみたいな扱いだ。
だが、「アンドロメダ…」の犬型宇宙人は、良平が思わず「おじさん」と呼んじゃうほどにオッサンくさい。なんでも彼は、故郷の星の王女さまと身分違いの恋に落ちたため「この試練を耐え抜いたら許す」と地球への『島流し』にあったらしいのだが、そんなメルヘンちっくな説明を疑いたくなるほど、ひたすらにオッサンくさい。
だがそれが、何ともいえないおかしみと、宇宙人が良平にかける言葉のひとつひとつに、大人ならではの骨っぽい説得力を生み出しているのだ。
うーむ、オッサン宇宙人、正しいと思うぞ。大人の読者のほうが受けるかもだが。
未読の人の楽しみを奪わぬよう、二転三転のストーリー展開は伏せときます。
ちなみに終盤「ET」をパロったような自転車シーンがさりげなく入っていてウケた。
いや、無意識なのかもしれないが…パロというほどロコツではないし(飛ばんし)…
ISBN:4620200174 単行本 今井 恭子 毎日新聞社 2006/07 ¥1,365
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