旅のお供はヨットレース・パニック?小説「悪夢の帆走」。
外洋ヨットレースと聞いたので手に取ったが、主人公たちが乗るのはなんとコンピュータ制御の全自動帆走システム備えた「くろうと不要」な最新鋭すぎるヨット。他のレース出場艇があれやこれやとがんばってるあいだ、何もしなくてもコンピュータが気象衛星やらなにやらから天候や波のデータを集めまくって勝手にフネを動かしてくれるという、人を馬鹿にしたような設定だ(笑)
もちろん?コンピュータは、大荒れの冬のベーリング海にさしかかったあたりでばっちりおかしくなっちゃいます。

そもそも誰がこんなしょーもない企画をというと、この全自動ヨット、コンピュータハウスのワンマン富豪の、起死回生を狙った一大企画だったわけなんですが、やっぱりホラ話っぽいというか何というかですね。
だいたい海への愛やリスペクトがないところに海洋冒険小説の香気が立ちのぼることはありませんな。

少年の頃、川遊びで溺れた兄を助けられなかった負い目を持つレスキュー隊員とかも出てくるけど、なんだか彼のトラウマもあまりきちんと昇華されないし。女をくっつけてやればそれでオワリ?

読んでる間はそれなりに危機また危機で最後までいきましたが、なんかイマイチな読後感で残念でした。
全自動ヨットなんか出したってところで既に躓いてるかもなぁ。

ISBN:4102155139 文庫 ジェイムズ・セイヤー 新潮社 2005/06 ¥900

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索