大頭脳
大頭脳
大頭脳
1969年、ジェラール・ウーリー監督作品。

ベルモンドだったらなあ!と昨日叫んだところで、ベルモンド+ニーヴンの珍しい共演作を久々に再見することにした。昔TV録画したVHSからDVD-Rにダビングしてみたもので画質は悪いが、元VHSが標準速録画だった分まだマシな方だ。そもそもVHSテープが結構高価だった昔に標準速録画な点で私のお気に入りっぷりは明らかだろう。無国籍かつチャーミングな泥棒コメディだ。

物語はというと…
服役中の泥棒アルトゥール(ジャン=ポール・ベルモンド)は500万ポンドを運ぶ列車を襲うべく、相棒アナトール(ブールビル)に手伝わせて脱獄する。一方「大頭脳」の異名を取る知能派泥棒マシューズ大佐(ニーヴン)も同じ列車を狙っていた。盗んだ後の金の移送は旧知のマフィアのボス(イーライ・ウォラック)に依頼済。二組の強奪計画は互いに気づかぬまま着々と進行するが…

脱走のための穴を掘る二人が、掘り進みながら上下で立体的にすれ違ってしまうとか、頭脳が発達しすぎてて時々首がコキ!と曲がっちゃう「大頭脳」とか、美人の妹ソフィア(シルヴィア・モンティ)を溺愛しすぎて近づく男を見るたび狂乱状態に陥るボスとか、脱力するほどのおバカギャグやドタバタがふんだんに詰め込まれているのだが、実は結構込み入った話(終盤は三つ巴の大乱戦!)がテンポよく手際よく語られており、サスペンスとしてもなかなかだ。

例によって洒脱で、格好いいけどタマに抜けてる怪盗紳士ニーヴン(案外体を張ったドタバタにも頑張って参加してます)、例によって力一杯のアクションとドタバタで愛嬌と元気をふりまくベルモンド、適度に力の抜けた相棒ぶりがイ~イ感じのブールヴィル、妹に逆らわれてはキレまくるウォラックの滑稽さ、皆ピタリとハマって見事なアンサンブルだ。言う事なし。紅一点のモンティも魅力的。
格好つけてる割になんだかおバカな戦いをしながら、ニーヴンが無性に嬉しそうなのがよろしい。コメディは、おバカな行動は、思いっきり嬉しそうにやってのけねば。

いかにもビートルズ時代なカラーも一種懐かしく楽しい。主役は伝統的英国紳士なニーヴンだが、街にはモッズな長髪男子とサイケな装飾があふれている。モンティが悩殺的なポーズをとりつつニーヴンの前に登場したとたん、べた~っとした感じで熱く流れる音楽も「いかにも」で笑えちゃう(音楽はジョルジュ・ドルリュー)。クレジットタイトルと主題歌からしてサイケな感じだし。
そして、大佐とボスがプールに浮かべて座ってる、透明ビニールのエアクッション椅子!!そうそう、なんだか流行ってたんだよこういうの!子どもの頃、凄く欲しいと思ったもんでした。

お気楽で明るいエンディングまで、笑いとスリルで一直線。
そう、こういうのが好きなんだ。
うわー、こんなところに佐々木倫子さんの新シリーズがあったのか。

「バカ枠」で受かった(!?)TV局の新米報道記者、超ドジ娘さんのオハナシ。ゆるーい感じの笑いですがさすがにじわっと効いてくる。本編はいいのですが、あとがきマンガの著者自画像がフケていたので我が身に引き比べてギクリとしたりもするのだった。はははは…(乾いた笑い)


…そういや昔自分の就職、三人ずつの面接だったが、自分の受け答えがどう考えても人よりバカな感じだったのに受かったのは、この年偶々例年より必要採用人数が多かったからだと思っていたが(少なくとも一回は失笑された記憶が…)、我が社にも「バカ枠」があったからなのかもしれないな。(←読んで一日二日たってから思いつくのがバカ枠的)
井上堅二著。短編集でついにシリーズ10冊目。ここまで続いてまだ終わらないのは嬉しいことだ。表紙のアキちゃん(!)も可愛いし。

例によって手堅く?爆笑させてくれるが、ドイツから帰国直後の美波と、これまた知り合ったばかりの明久と雄二の高一の春を描いた四話目がちょっと新鮮。美波の一人称にはそんなイキサツがあったとわ。
ドナルド・オコナー@The 52nd Annual Academy Awards (1980)
ドナルド・オコナー@The 52nd Annual Academy Awards (1980)
ドナルド・オコナー@The 52nd Annual Academy Awards (1980)
ドナルド・オコナー、この人に限っては、中年以降の姿は見たくないと思ってた。40過ぎたらもう避けたいと。
何と言ってもこの人の持ち味は若々しさと吹けば飛ぶよな軽さだからなあ!(爆)…それが、太ったオジサンになっちゃったら…いや、なるんですよ晩年は。ま、30代半ばから早くも映画から遠ざかっちゃってこちらの目にも入りにくいけど。

なので、…かなり迷ってから見ました、YouTubeのコレ(苦笑)

http://www.youtube.com/watch?v=Bci3qN7PcL8

アカデミー賞授賞式、司会ではなくて、’Dancin’ on the Silver Screen’というナンバーを若いダンサーたちと共に歌い、踊る10分近いパフォーマンス。「シネ・ミュージカルの歴史を辿る」みたいな内容なので、有名曲が沢山取り入れられて、クラシック・ミュージカル好きには楽しめる筈。

ドナルド・オコナー54歳。声は昔通りになかなかのものだし、若いころほどの神速じゃないまでも結構ばりばりタップ踏んでくれます。…さすがに少し太ったしお腹も出ていますが…(泣)
永遠に太らなかった、55過ぎて「足ながおじさん」「パリの恋人」を撮ったアステア様はなんて凄かったのでしょう。でも。
よく考えると(考えなくても)、このオコナーのパフォーマンスって生の舞台なんですよね。「一番完璧なテイク」を採用できるわけじゃないんですよね…

最も若いOld-Timerと呼ばれたオコナー。ミュージカルの黄金時代を実際に歌い踊り、しかも、この1980年の舞台に踊ってかつ歌える人が他にいただろうか。歌か踊りかどっちか片方ならともかく…(ちなみにこの時点でアステア80歳ジーン・ケリー67歳)。スタンディング・オベーションも当然か。
画質はイマイチですが、ついつい、繰り返し見てしまいました。
蒼井上鷹著。

堂場警部補。これだけで、ドーヴァー(byジョイス・ポーター)を思い出す人はそれなりにいるだろう。
特に、連作短編集最後の四作目か「堂場IV/切実」なんていうんじゃね。私も史上最悪の警察官ドーヴァーは一番有名な「ドーヴァー4/切断」とあと一作くらいしか読んでないけど、しかしそれすらも「引っかけ」だ。

各話ごとに趣向や書き方を変え、ひねりまくっているのはいいが、最初の二作は面白いというよりちょっと面倒くさいかなー。三作目の死体を隠したばかりの男VS堂場はかなり面白かった。四作目は、先の読めなさや意外な伏線には感心したが、やや読んでいて疲れた。
3>4>2>1。

前半で挫折しなければ、後半を楽しめると思う。
でも我慢できなければ我慢しなくてもいいだろう(笑)
変わった話を読みたい人むけ。


職場の欠員が、埋まった反動かもしれない。5~6月にあげた映画レビューの数はうなぎのぼり。こんなに映画ばっか見ていてよいのか自分。
とりあえずストレスは解消できているが…(職場から、労働安全衛生テーマの研修へのお誘いが来るたび内心ムカつく私。だって二回に一回はテーマが「ストレス解消法」なんだもん。研修など受けずとも自力で絶賛解消中!ストレスよりも仕事の方がスグ溜まるんだから、お仕事の時間減らさないで欲しいよ、もう)

…遅番出勤の前に、今日もまた一本見てしまった。


1952年、ロバート・シオドマク監督作品。カラー。

「真紅の盗賊」これは学生時代、妙に何度も何度もTV放映を見た思い出が。
バート・ランカスターはあまり好きではないけれど(マッチョは嫌いだ)、ひょっとしたら私が最初に出会った海賊映画かもしれない。コメディ・タッチで結構楽しい作品だったのも確か。懐かしい気がして廉価版(画像のとは違う、900円程度のもの)を買ってしまったのだが、しばらく見ずに放っていた。だってランカスター以下略(笑)。

さて、舞台は18世紀のカリブ海。海賊の頭目バロ(ランカスター)はスペイン船を拿捕するが、積まれていたのは金銀財宝ではなく、大量の武器と外交官のグルーダ男爵(レスリー・ブラッドリー)だった。スペインの圧制に反抗する民衆を弾圧するための武器だったのだが、欲に目がくらんだバロは、武器を反乱軍に売りさばき、更に反乱軍の首魁エル・リブレをグルーダに売って更に金を得ようと考える。
腹心オーホ(ニック・クラヴァット)と共に、一足先に上陸したバロは、軍隊相手に騒ぎを起こして反乱軍(といっても普通の庶民たち)への渡りをつける。が、反乱軍もさるもの、逆にバロたちを捕らえて現在収牢中のエル・リブレの救出を手伝わせようとする。
その中心はエル・リブレの勝気で美しい娘コンスエロ(エヴァ・バートック)。彼女に惹かれたバロは、いつしか損得抜きで救出に協力する気になる。グルーダに化けて監獄島へ潜入し、エル・リブレとその盟友の科学者プルーデンス教授(ジェームズ・ヘイター)を命がけで救い出すが、この「海賊らしからぬ」行動に憤慨した部下たちとグルーダが一時的に手を組んだため、父娘は捕まり、バロ・オーホ・教授は手枷をつけられ、小舟で海に流される破目になる。

それでも教授の大胆な工夫(笑)により何とか島に戻ったバロたちは、反乱軍に合流し、彼の「新技術の活用」でもって圧制者の大軍を打ち破り、コンスエロを取り戻す作戦を立てる。まずは変装したバロたち(なんと女装!)が、貢物を載せた山車の下に新兵器を隠して総督たちへ接近、襲い掛かる段取りだ。気球や新型爆薬、火炎放射器などの発明品で劣勢を補い、ついに逃げ出したグルーダの船を追うバロ。結局グルーダに裏切られた部下たちは、再びバロに従い、果敢に敵船に斬り込んでゆくのだった。


てなわけでかなり、コメディ調が強い作品。
特に「あの」ランカスターの女装は、ン十年間忘れられませんでした、凄すぎで(爆)。
サーカスのアクロバットでコンビを組んでいたというクラヴァットと共に繰り広げるアクションも迫力。二人で呼吸を合わせて飛んだりはねたり宙返りを入れたりの前半の「軍隊いびり」は、とても面白い。反面そのコミカルさがミュージカルの振付のようで、リアルさはちょっと薄いとも言えるかも。とはいえ終盤の、帆船上の大乱戦の方は、さすがによりパワフルな迫力があるので満足できる。しいていえば、最後までバロが鉄拳主体で全く剣を使わないのが、私としてはちょっと物足りなかったかな。筋肉とアクロバットを見せればもういいって判断だったんでしょうかランカスター。

相棒クラヴァットは全く口をきかず、すべてマイムで会話。うまいものだ。その分コメディ度も更に上がってる。また、終盤は教授が「新発明品オンパレード」で非常にイイ味出してる。フツーのオッサンなんですけどね。あと、グルーダの部下にクリストファー・リーがいたような。

比較的若い頃なので、ランカスターにしては細く感じます。髪もいつもより明るいめ?。しかし恋のために正道に戻っちゃうなんてのは、あまり似合わないですねえ。グレゴリー・ペックとかならともかく(ex.「廃墟の群盗」)。
お約束をちょっとひねった新兵器大作戦も含め、娯楽作品としてはカラフルでよく出来ている(ちょっとコドモ向けぽいかもだが)。海賊映画の何がいいって、衣装が派手なことですね♪
監督ロバート・シオドマクは確か、むしろダークなノワールやサスペンスで知られた人のはずだなのが、ここではやたらと軽くて明るい。映画中何度でもおきる正規兵とのおっかけっこはちょっと引っ張りすぎ?な時すらあるが。

アクション・コメディ、それもコスチュームものが好きな人なら、まぁ見てソンはない映画。
本人がかなりを書いてる海堂尊ファンブック?ジエネラル・ルージュの「あの」伝説もバッチリ短編小説化。実は文庫化されたのを見て、読みそびれていたのに気がついた(笑)
面白いけど、最初の方の本、少し忘れたところもあるからまた読んでみようかな。

…完全に、ノセられてます。
しかし本当に速筆な作者さんだ。

極北クレイマー

2010年6月30日 読書
海堂尊著。

地方病院にとばされた、基本的に悪気のない筈の今中先生の不幸な日常は身につまされた。いや、今現在の自分が不幸なわけでは全然ないのだが、私も要領の悪さには自信があるので、なんだか人ごととは思えないのであった。
地域医療の危機をがんがん盛り込みつつ、暗い話だろうにいつもの海堂マジック、ブラックユーモアあふれる会話の妙で、ついつい一気に読まされてしまった。
全体として面白いのかというと辛いのだが。

それよりいい加減にたまには12時までに寝なさい自分。
うっかり、寝る準備がだいたいできた12時すぎについこの本に手を触れたら、W杯日本-パラグアイ戦が終わるまで読んでしまった。
サッカーをまともに観てないのに、アノ時間まで起きていたバカな私(隣で長男がTV見てたから結果はリアルタイムで知っているが)。
今日こそ、今すぐ、寝ます本当に。おやすみなさい。

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