1946年、ジョン・クロムウェル監督作品。モノクロ。
コレのミュージカル化リメイクがあの「王様と私」です。

19世紀後半、シャム(現在のタイ)のモンクット王(レックス・ハリスン)は王国の近代化をはかるべく英国人女性アンナ(アイリーン・ダン)を王子王女らの家庭教師として招聘する。未亡人のアンナは幼い息子とともに、右も左も分からぬ異国に足を踏み入れるが、風俗習慣や人権感覚の違いから時には王と衝突し、時には手を取り合いつつ、シャムの未来のために長い年月をこの地で教育に打ち込む。二人の心の触れ合いをじっくりと描いた作品。

列強に狙われる国の将来を憂えて近代化を目指し、非常に勤勉でありながら、古い「王=法律」の感覚を脱ぎ捨てきれないエキセントリックな国王と、正義感が強く意地っ張りな未亡人のやりとりは結構面白い。アイリーン・ダン、それなりのトシになっているがそれなりに綺麗だし、あれだけ勝気な女性が終盤突然の不幸にドーンと落ち込む所のめりはりなども好演。
女性陣では美しい侍女タプティムにリンダ・ダーネル、でも控えめだが非常にデキた第一夫人ゲイル・ソンダーガードが印象的。あと宰相をリー・J・コップが演じてたので驚いた。アンナが気に入らないのかと思うとそうでもないようで、腹に一物かと思ったら忠臣でした。これも熱演ですが、やっぱ東洋人には見えないね(笑)

レックス・ハリスンもちょっと妙な"東洋的"メイク。まだ結構若くてスリムで顔が大変細長い(メイクのせいで余計にかも?)。いつも以上にキンキン声の早口でまくしたて、笑いも取るがここぞというところの威厳や知性はさすが。この人、意外と世界中の君主を演じてきている人で、シーザーにローマ法王ユリウス二世に黒塗りでイスラムの英雄サラディン王まで…シャム王がその第一弾か。Rex(ラテン語で"王")なんて名前が効いてるのか?なんて思うと可笑しいですが、君主というレア存在の滑稽さと孤独、威厳と人間味を絶妙のブレンドで表現できる名優です。せっかく若いのに変なメイクがファンとしては少し残念(あのマユ毛はヤだ…)。

ちょっと上から目線なのが、今となってはアレですけどね(笑)(しょせん白人映画だし)。

あと、「王様と私」でユル・ブリンナーが唱えていた「エトセトラ、エトセトラ…」も既にハリスンが唱えていたので、なんだかびっくり。「王様と私」はすんごく昔にTVで見ただけですが。でもロジャース-ハマースタインミュージカルなんで、思い入れは全くないのでした(笑)

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