レディL
レディL
レディL
1963年、ピーター・ユスティノフ監督作品。

大昔に一度TV放映を見た作品ですが、BS放映を録画してもらいました。いやー、なかなか綺麗画質ですなー。必ずしも満足いかない所もあった微妙なコメディですが、もう一度見直してみたかった作品。

英国きっての大貴族未亡人、"レディL"こと80歳のレンデール公爵夫人ルイーズ(ソフィア・ローレン)は、貴女の伝記を書きたい、と請われて自分の半生を回顧する。
フランス人のルイーズは若い頃、パリの貧しい洗濯女だった。"理想の王子様"を待つ純情な彼女は、ある日義賊として庶民に人気の泥棒アルマン(ポール・ニューマン)と出会い、一目ボレ。二人はスイスへ逃げて愛の巣を営むが、やがてアナーキストの仲間に入ったアルマンは、バイエルン王暗殺計画に加わろうとする。
妊娠したルイーズは子供のためにも、と暗殺計画を阻止すべく別行動を取るが、そんな彼女を見染めたレンデール公爵ディッキー(デヴィッド・ニーヴン)は、アルマンを逃がすのを手伝う代わりに、自分と(お腹の子ごと)結婚してくれと"取引"を持ちかけるのだった。以降三人の人生は、奇妙に絡まり合って進行してゆく……

…うーん…
二時間足らずの映画で、ディッキー(ニーヴン)登場がちょうど真ん中あたりですが、そこまでの長かったこと…
粋でエキセントリックな貴族を演らせて右に出るもののないニーヴンとは対照的に、ニューマン…どうもミスキャストとしか思えなくって。ルイーズが一目ボレするだけ十二分にハンサムだし、結構好きな人なんだけど、大昔は勉強部屋に「明日に向かって撃て!」のポスター貼ってたくらいに好きだったんだけど…この人、ソフィスティケイテッド・コメディだと妙に重ったるい気がする。随所にちりばめられたスラプスティックな演出が盛り上がらない。
ローレンもやや重いが、頑張ってる感じではある。ま、ルイーズは素朴な頑張り屋でOKだし。

義賊のアルマンは言うなれば"永遠の子供"であり、アナーキスト志願は"永遠の少年"。が、シナリオの説明不足もあって何考えてるのか分からないし、この映画中のニューマンは「頭悪いんじゃない?」と思えて仕方がない…。今時アナーキストってどうよ?てのは別にしても。

元々リアリズムとは縁のない、ゴージャスでファンタジーな物語で、最後のオチなど、いいんかソレ?とツッコミたくなるようなぶっ飛んだ話。ニーヴンはいつも通りに素晴らしい。彼はぶっ飛んだ話を得意としているスターですね。伝統の闇に捕らわれていながらルイーズのシンプルな純愛に心惹かれる、洒脱でスマートな中にも陰影ある複雑な人物をユーモアたっぷりに演じて魅力的。セリフもいちいち心憎い(要するにこの映画、彼を再見したかった私)。なんでこんなに魅力的で、ありえない程親切な公爵よりも頭悪そうなアルマンがいいのか、とつい思ってしまう。恋とは理屈を超越するものではあるが、しかし、…もう少しなんとかならんかったのかニューマン。
これがジャン=ポ-ル・ベルモンドあたりならきっと楽々と、魅力たっぷりに演じてのけただろう。何考えてるのか分からなくても魅力的、というのは全く表現不可能なわけではない(誰にでも出来るわけではなかろうが)。

結局、せっかく見直したけど、大昔見た印象と完全に同じ印象しか受けず。やれやれ(笑)

それにしても、最後の仮装舞踏会でドでかい角つきカブトをかぶる公爵の性格って、やっぱ歪んでいるよねえ(自ら頭に角を生やすとは…)。

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