1950年、ロイ・デル・ルース監督作品。モノクロ。
演出家兼ダンサーのジェームズ・キャグニーが、ウェスト・ポイント士官学校へ士官候補生たちの卒業記念ショーの上演を指導しに出掛けるというミュージカル。
共演がヴァージニア・メイヨ、ドリス・デイ、ゴードン・マクレー、ジーン・ネルソンとそれなりに豪華(最後の三人は「二人でお茶を」のトリオそのままだ)。日本未公開で当然日本ではDVDなど出てないので、英国盤DVDにて鑑賞。

ビックス(キャグニー)はブロードウェイの天才児と呼ばれたこともあるが、喧嘩っ早さと競馬好きが過ぎてロクな仕事にありつけずにいる。アシスタント兼恋人のイヴ(メイヨ)にも見放されかけて困った彼は、普段は不仲なプロデューサーの「ウェスト・ポイントのショーに主演する甥トム(マクレー)の指導をしてほしい、ついでに彼を、軍でなくショービジネスに進むよう説得してほしい」という依頼を受ける。
出向いてみると、トムは見事な美声の持ち主。ビックスは「叔父さんより自分と組まないか?」と彼を口説くが、トムは「自分は本気で軍人になりたいのだ」と謝絶する。

そこでビックスは、ショービジネスへのトムの熱意を高めるべく、ショーのヒロインにと旧知の映画スター・ジャン(デイ)を連れてくる。思惑通りに二人は恋に落ちるが、スタジオから帰還を命じられたジャンを追ってトムが無断外出騒ぎを起こしたためショーは中止に。深く反省したビックスは他の候補生たちと上演に向けて奔走するが…


ビョンビョンつま先で飛び跳ねまくるキャグニーにまずは満足ですが(なんつーか空中滞留時間が…)、いやー、ヴァージニア・メイヨって踊れる人だったんですね(爆)
私このヒト「艦長ホレーショ」くらいしか見てなかったもんで気が付いてませんでしたが、キャグニーとピリッとしたダンスを繰り広げてくれます♪マクレーの友人役のネルソンは、よく踊ってるんだけどなんか個性が物足りない。「二人でお茶を」でも思ったけど、なんでかなー。すらっと長身でスマート、運動神経よさげな好青年だけど、アクロバティックさはジーン・ケリー程にはゆかない、スマートさもアステア迄にはゆかない。彼なりの色が薄いので、多分ダンスの「幅」は狭いのだけど強烈に独自のスタイルを感じさせるキャグニーにとても及ばない。ある種の頼りなさを「味」にしてのけているドナルド・オコナーにも至らない。残念な人だ。

ビックスは指導がしやすいよう"士官候補生扱い"で暫くウェスト・ポイントで生活することになる。ガタイのいい青年たちにまじって、小柄でもういいトシのキャグニーがビシっと着こなす制服姿が見ものだが、物語自体は後半ちょっと失速する。理想と誇りをもって士官学校の規律に身をささげる真面目な青年たちに、スレたブロードウェイ演出家が次第にほだされ回心するのだが、「回心」前の粋な皮肉屋ダメ男の方がハッキリいって魅力的。自分でデイとマクレーをくっつけておいて、急転直下「軍人としてちゃんと卒業しなきゃだめだ」と引き離そうとするってどうなの?「俺は今、猛烈に感動しているッ!」なほだされ演技は、上手いのは上手いんですけどねえ。
映画の中の歌や踊り、punch-happyなキャグニーは大いに楽しませてくれるのだが、全体の完成度はちょっと残念。愛国心高揚、士官学校ヨイショな部分はさておくとしても…いや、そういう部分に力を入れ始めたとたんにシナリオがグタグダになり始めたというべきかな?
でもまあ踊るキャグニーは一見の価値あり。フットライト・パレードも見たいなあ。

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