Francis : The Talking Mule
Francis : The Talking Mule
Francis : The Talking Mule
1950年、アーサー・ルービン監督作品。モノクロ、日本未公開。

やっと来ました"Francis"シリーズ四作品入りボックス(The Adventures of Francis the Talking Mule, Vol. 1 )。が、開いてみると呆れたことに、両面ディスクの裏表に強引にシリーズ四作品が詰め込まれていました。DVD一枚ではボックスじゃないなぁ…

ミュージカルじゃないけど、どこかで間違って歌くらい歌ってくれるといいなあ、と買ってみた。昔のコメディは一曲くらい、歌入ってることも多いしね。…なぁんも無かったですが。米盤、英語字幕あり。

まずは一作目"Francis"。
ファーストシーンは銀行の受付窓口(もちろん窓口は複数ある)に座る青年ピーター・スターリング(ドナルド・オコナー)。店内は混んでいるのだが、なぜか彼の前だけほとんど列が出来ない。彼を横目で見ながらヒソヒソ話をする客も…
己の不遇をグッと耐える風情のオコナーが何とも可笑しい。やがて上司が彼を呼びつけ、「銀行は信用第一だ。妙な噂のある人間は困る。根も葉もないバカな噂とは思うが…」。
ピーターは意を決し、どもりながら言う。
「いえ、あの噂は、本当なんです!最初から話させて下さい!」

かくして映画は過去に飛び、ビルマ戦線におけるピーター・スターリング少尉と、ヘンテコな"人語を喋るラバ"フランシスとの遭遇、そしてその後の彼らの「冒険」が物語られ始める。
おお、なかなかテンポの良い導入部ではないですか。


部隊からはぐれ、銃声轟くジャングルをひとり逃げ回っていたピーターは、「危ないから頭を低くして」と突然かけられた声に戸惑う。誰もいないのに…と思いきや、オッサンくさい声をかけてきたのは、一頭のラバだった(声:チル・ウィルス)。何故だか人語がしゃべれるラバ“フランシス”は、負傷したピーターを米軍基地まで送り届けてくれる(一応米軍所属のラバであった)。

さて、ピーターが気に入ったらしいフランシスは、その後も何度か、敵日本軍の動きや待ち伏せ情報などを教えてくれる(どこで情報をゲットしているのかはナゾだ)。そのたびピーターは手柄を立てることになるが、「どこでその情報を入手したのかね」「はっ、知り合いのフランシスというラバが…」で、手柄のたびに基地と精神病棟を行ったり来たりする羽目に。正気と証明するために「他の人間にも喋ってみせてくれ!」と頼んでも、フランシス、なかなか聞いてくれないんですね(気持は分かる。特別な存在だと知れたら面倒くさいことだらけだろう)。
病院の作業療法?でピーターが編んでいるバスケットが、だんだん巨大化してゆくのが結構笑える。それでも彼は何とか、精神病棟から出してもらうため、司令官スティーヴンス将軍(ジョン・マッキンタイヤ)を、"お仲間"に引き込むことに成功するが…。


とにかくこの主人公の、バカ正直っぷりが…凄いです(笑)
それも、お人好しで正直者だけどほんとにバカなんです!なのに、こんなに可愛らしく感じるのは何故(カオの問題ではない)。知的なタイプしか眼中に入らないと思っていた私なのに…

ドナルド・オコナーおそるべし…しかも、今回全く歌いも踊りもしてないのに…。
突飛な設定のコメディだが、意外なほど抑制の効いた彼の演技が、物語のスベリを防いでいると思う。終盤ピーターに届く、思いがけない悲報の場面なんか胸キュンですよ…
そう、たんにバカと言うのではなく、「無垢」を感じさせるキャラクターに仕上がってる。

そして、いつもクールに構えているが、ピーターのピンチ!となると、つい主義に反して人前で喋ってしまうフランシス。わかるよそれ!母性本能ってやつかねえ。オスだけど。
ハッキリいってこのコンビ、保護者はフランシスのほうである。
ちなみにラバ(Mule)とは、雄のロバと雌のウマの交配種(雑種)で、家畜としては優れた能力を持つが、生殖能力はない。ある意味切ない生き物である…

当時は低予算でかなりのヒットをかっとばした人気作品だったらしい(戦闘シーンなんかいかにも実写フィルムの転用)。なんと続編が6本も作られている。7本目はオコナーがもう嫌だと言ったので(厳密には、6本目に出る代わりにもうユニヴァーサル辞めさせてくれと言い張ったらしい)、ミッキー・ルーニーが主演したそうな。

私だって、すぐ二作目を見たくなっちゃったくらいだから仕方がない。ホントに何ということもない、ちゃち~ぃ話だし、コメディとしても今の目で見るとユルめな気がするが(爆笑、でなく、ニヤリ、とか、おいおい、って感じ)、場面の切り替えのテンポが良くてスッキリしているし、何より一人と一匹のおかしな友情(!)がほんわかと伝わってきて心地よい。多少古めかしいのかもしれないが、私は好きだ。
★4つ付けるには躊躇を感じるが…ええい、つけちゃえ!

最初からオコナーが気に入っていて見てるからかもしれないが、買って良かった~☆


http://www.amazon.com/Adventures-Francis-Talking-Races-Covers/dp/B0001FVDQE

船に乗れ!(2)

2010年10月3日 読書
藤谷治著。やっと続きが来ました。
一巻目はやたらと地味だったのだが、二巻から怒涛の恋愛と音楽で青い苦悩にぶん回される主人公。苦いけど面白い。「現在」から“あの頃はどうだった、こうだった”と振り返る主人公の自己反省目線はずっとあるんだけど、さてどのような「現在」にたどりつくのか。
演奏の場面はなかなかいいです、評判通り。
Francis Goes to the Races
Francis Goes to the Races
Francis Goes to the Races
1951年、アーサー・ルービン監督作品。モノクロ、日本未公開。
一昨日の"Francis"シリーズ二作目です。当然英語字幕のみ。

前作のラスト(話が終わって、上司をピーターの家に招く場面)から、物語はスタート。

…そして、ソッコー場面転換。大きな荷物を持ち、田舎道をテクテクと、ラバと並んで歩きながらひとりごつピーター(ドナルド・オコナー)。
「なんでクビになったんだろう…」

…(^^;)
出だしは快調です(笑)

とある厩舎にさしかかったところで、"しゃべるラバ"フランシスは自分の遠縁に当たる競走馬Sir Gallantに出会い、意気投合。「自分はここでやって行けそうだから、町に戻って銀行員の職を取り戻したら?」と、クールなんだか思いやりなんだかビミョーなことを言うフランシスですが、フランシスの入れ知恵のおかげで、具合の悪い馬の原因を当てたり競馬場で勝ちまくったりのピーターは、厩舎の娘(パイパー・ローリー)から、今経営が大変なので力を貸して、と懇願されてポウっとなり、馬のことなど知らないのに厩舎に勤めることに。一方、彼の異常な勝ちっぷりにFBIもノミ屋のボスも目をつけて、怪しい、と逮捕しようとしたり彼を利用しようとしたり、大騒ぎ。

先の読めない展開が続き、目の離せないシナリオではありますが、同時にごちゃごちゃしてもいます。やっぱり続編の常として、一作目ほどではないかな。でも、一人と一匹のラブラブっぷりは可愛い(中段の写真、色っぽすぎです(笑))。こんなんじゃピーター、一生結婚できないんじゃないかとも思えるが…

ちゃんと歌うシーンなどは、やはり、今回もなし。
ちょびっとだけ、歌って誤魔化したりとかフランシスとデュエットするとかは無くもなかったですが。残念。

そこそこ楽しめたので、ついつい、そのままディスクを裏返してシリーズ三作目に突入してしまいました。
おいおい…

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Francis Goes to West Point
Francis Goes to West Point
Francis Goes to West Point
1952年、アーサー・ルービン監督作品、日本未公開、モノクロ。

"フランシス"シリーズ三作目。

流れ流れて?ピーター(ドナルド・オコナー)は政府の軍需工場に就職するが、帰宅したとたんフランシスから「テロリストが工場を爆破するらしい」という話を聞く(どこでそんな情報をゲットするのかは、例によって不明である)。
官憲に連絡して何とか暴挙を防いだピーターには、FBIや警察や陸軍から"ぜひウチに来て"とスカウトの手が伸びるが、"ウェスト・ポイント士官学校へ入学させる"と勧誘した陸軍を選ぶことにする。
かくしてピーターは灰色の制服を着て、学業や訓練や上級生のイビリやルームメイトとの友情に満ちた日々を送ることに。

あれ、フランシスはどうしたんだ、と思いきや、士官学校へ着いてみるとフランシスがチャッカリ学内に。学校のマスコットなラバと親戚なのだそうな。…いいのかそれで。
いつの間にかフランシスは、別に放っておいても「やっていける」存在と確定したらしい。微妙に路線変更を感じる。
というか、とにかくウェストポイントに行かせたかったのだろうか(愛国心鼓舞のため)、冷戦や朝鮮戦争たけなわの時期だから。
学内でのエピソードも、色々あるがあまりまとまりがない。成績がビリで落第しそうになったピーターが、フランシスに家庭教師をしてもらったらグングン優等生に!(笑)というのはよいとして、いつもと違ってフランシスのためにピーターが苦労することも多い。どうしたんだフランシス。だいたい今回喋りすぎじゃないのかピーター以外に。さすがのピーターも近頃では学習したらしく、そんなにスグには「フランシスから聞いた」とか言わなくなったのに(笑)
しかし、「やれば出来る子」だったのかピーター!よかったね☆

クライマックスはウェスト・ポイントと海軍チームの大事なフットボール試合。
友人をかばって士官学校を辞め、姿を消したピーターを探し回るフランシス…
最後には誤解もとけて復学するんだけど、喋りすぎてヤバくなったフランシスは「ちょっとホトボリをさましてくる、またな」と出奔し、制服姿に戻ったピーターが笑顔で見送るエンディング。

うーん…
まあひょっとしたら、ちょっと離れたほうがピーター成長するかもしれんけど。
ちょっとだけ、ガールフレンドできそうな気配もあったし…「できそう」から一歩も進まないまま終わっちゃったが。どうもちょっと、練りこみ不足なシナリオでしたね。

…というわけで、シリーズ物のお約束?、巻を重ねるごと、やっぱ下降してきたなー。
そんな中で萌えポイントは、ピーター、色々あってしょっちゅう懲罰で中庭を行ったり来たり行進させられているんだけど、やっぱり歩く姿が綺麗だ~、という点ですね。オコナー、もともと姿勢が良いし首が長いので上半身が美しいです☆

さて、いつまでもウェスト・ポイントに置いておいてはシリーズが進むまい。
と考えるのは私だけではなく、四作目はまた民間人に戻るみたいです(新聞記者になるらしい)。どう戻すのかしら。わくわく。

http://www.amazon.com/Adventures-Francis-Talking-Races-Covers/dp/B0001FVDQE
賀東招二著。

いやー、2巻目も無事でてたんですね、よかった。
(そしてDiarynoteの商品レビュー機能も復活してよかったーーー!)

一作目は長編、今度は中編2本。
盛り上がりすぎるほど盛り上がってたフルメタに比べると地味だが、それなりに手堅く楽しめる。この2巻目までは、以前竹書房から出たものの出し直しなので、3巻目がいつ出るかだな。フルメタも終わっちゃったし、早く出してほしいです☆
Francis Covers the Big Town
Francis Covers the Big Town
Francis Covers the Big Town
1953年、アーサー・ルービン監督作品。日本未公開、モノクロ。
"フランシス"シリーズ四作目。

タイトルバックを、大きな鞄を持ったピーター(ドナルド・オコナー)が、テクテク歩いてゆく。ラバのフランシスと一緒に。彼方に林立する摩天楼を見やり「さてどんな仕事を探そうか」。
一人と一匹は、大都会=NYへとやってきたようです。『ウェスト・ポイントの優等生』は、どうやら一夜の夢だったらしい(笑)。今回は、完全前作無視で強引に新ネタに入っちゃうんだね。別にいいけど。

「新聞の編集者を目指すのもいいな、経験があるんだ」とピーター(高校時代の校内新聞とはいえ)。何とか掃除夫として新聞社に入った彼は、頑張って雑用係へ昇格。お人よしの彼は美人の社交欄担当者アルバータ(ナンシー・ギルド)や他の記者に情報を譲っちゃったりして遠回りをしますが(当然ネタ元はフランシス…)、フランシスの異常なまでの情報収集能力があれば、花形記者への道は遠いわけがない。
例によって、時々精神病院に入れられかけたりしながらも(笑)、やがてピーターの署名入り記事が、毎日のように紙面を飾ることになる。スクープしまくってるうち、裏社会のボスに睨まれたり、殺人犯の濡れ衣を着せられる大ピンチにも逢うのだが…

今回は(珍しく)、ロマンス方面までにぎやかだ。
フランシスの話をしちゃったのが災いしてアルバータには振られたものの、隣の八百屋のお嬢さん(イヴェット・デュグェイ)は最初っからピーターに好意的。フランシスにもニンジンを運んでくれたりするのだが、「まだまだ子ども(話の中で18才の誕生日を迎える)」と思っているピーターの目にはとまらない(^^;)
結局、フランシスのアドバイスで大人ッぽくイメージチェンジに成功して、彼ともいい感じになれるのだが、ホント、何でもできるんですねぇフランシスって…

色々な意味で、今作はかなり盛り返してましたね(*^^*)
ピーターたちにも珍しく成功者っぽい満足度の高い終わり方だし、田舎道でなく、大都会の下町を歩く一人と一匹というのもなかなかイイ感じ。「雨に唄えば」(1952)が大当たりした後の製作だから余計かな?(とはいえ今回も歌などはない)
都会的になったぶん、風変わりでピュアなお兄さん、というピーターのキャラがやや「普通」っぽくなった気もするが、本人にはこのほうが幸せだろうね(^^;)

しかし、これでDVD収録作はもう全部見ちゃったな~。淋しいな~。
フランシス、あと二作(ルーニー主演分もいれたら三作)はある筈なんだけど、vol.2は出ないのかしら。字幕なしVHSを買うのは気が進まないし。
(とか言いつつ、怪しい海外サイトに注文して到着待ち中なオコナー映画DVDが、実はまだまだあるのでした(笑)…到着するといいんだけど…(爆))

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バテた…

2010年10月7日 日常
今日はちょっと…スグ寝ます。講座も一発やったし。ふぅ。
夏の疲れがきっと溜まっているのね。しっかり体力を取り戻し、シゴトに趣味に備えねば。
DVDだって常に溜まってるから(到着まち分も含めて)。
須賀しのぶ著。



淡々とした?1巻から一転、主人公二人の怒涛の運命の変転と、ずしりとくるラストまで、一気に読まされた。
そして、しまった1巻目がもう手元に無い!(図書館で借りて読んだから)と、深く悔んだ。2巻を読んでから1巻を読むと、伏線だらけなのがすべて見えてきてとんでもないことになっていそうなのに。
また1巻予約するか…

いや、参りました。ところどころにある誤植がとても残念です。傑作なのに。

<ネタバレ自粛追記>ヴォネガットの「母なる夜」を、ちょっと思い出しました。
ヤマザキマリ著。

え?
連載になったんですか。
ナニこの入りの激しさ(二巻1話目)は…そしてナニこの次巻への引きは…(笑)

どこへ行くのか(風呂以外の)、ほんの少しだけ心配な気もしますが、二巻目もそこそこ面白かったのでまあいいや。
今日も仕事だったが、お昼すこし前に、本来の職場を離れて某イベントを手伝うために市内出張、自転車で1.5kmくらい離れた別の施設へでかけた。早昼を食べ損ねたので、途中の公園に自転車を乗りいれて、途中のコンビニで買ったオニギリを食べ始めたら、そのへんをヨチヨチ歩いていた鳩たちが、じりじり私の周りへと寄ってきた。ううう、ヒッチコック!

20羽くらい寄ってきた内の一羽など、ひらりと飛んで私の自転車の前かごにとまった。ムカ。
…キサマらにやるメシなどないわ!
こちとら祝日でも、まともに出勤して、働いてるんだからな。

…ン十年前の英国旅行を思い出した。
ウォリックの小さい公園で、お城へ行く前に(たしか開くまで少し間があったので)、ベンチに座ってサンドイッチを食べていたらば。なんと、でかいクジャクがどこからともなくヨチヨチとやってきて、ベンチの前でじっとこちらを見上げるのである。茶色いからメスだが、派手な羽がなくても十分すぎるほどデカくて圧迫感があった。

フツーの公園でクジャクを飼ってるとまでは思えないので、多分お城の庭園から出張してきたのではないかと思うが(ウォリック城にクジャクがいること自体は有名だ)、正直メイワクである。


…ふう…。
…まったく、甘やかされたトリどもときたら…!
ママが言った。「あなたの妹は魔女なの」うそ!!!! 気を取り直したレイチェルが 魔女修行中の妹をいいくるめて願ったこととは? 魔法的ハイスクール・ファンタジー第1弾!

サラ・ムリノフスキ著。ちょっとジュブナイルっぽいがテンポの良い語り口が楽しいハイスクール・ファンタジー(ファンタジー、なのか?)。

主人公レイチェルの望みはふたつ。
ひとつ。校内のモテモテグループ"Aリスト"に入ってファッションショー(ダンスショー)に出たい(かつ、そのグループに入って疎遠になっちゃった親友とも再び親密になりたい)。
それが全くうすっぺらな、情けない「夢」なのは実は本人にも分かっている。でも、自意識過剰で妄想過多で、自分のダメな部分を皮肉でばさばさぶった斬りつつも「コカ・コーラのコマーシャルみたいな人生を送りたいと思うのは、そんなに間違ってる?」と自問自答するレイチェルは、憎めないし、親近感をおぼえずにはいられない、目を離すことができないヒロインだ。女子高生のちゃちいけれども切実な夢は、結構誰にも覚えがあるはず。
自分には(残念ながら)魔力がないとわかったものの、妹を何とか丸めこんで…と奮闘するジコチューぶりを、くだけた一人称を駆使して魅力的に描写してゆく著者(あるいは訳者?)はなかなかの手練れ。

そしてもうひとつの望みは、パパの再婚を阻止すること。ママはまだパパを愛してるみたいだし、パパの結婚式は大事なファッションショーともバッティングしちゃうし。14才という年相応の、子どもっぽい、けれども姉妹ともに切実な望み。レイチェルと妹ミリの傍迷惑な奮闘には笑いとともに同情心をそそられる。
けれど、ジコチューに使った魔法だけでなく、よかれと思って使う魔法も、やっぱり事態をめちゃくちゃにして、むかえる結末はやっぱりカタストロフ。

…でも、後味は決して悪くない。
一気に読んでしまったが、ヒロインをはじめ、登場人物たちが小気味よく書けているからだろう。二作目も邦訳が出た模様。こちらも期待大!
自信がないくせ調子のいい、他力本願ヒロインの再起が楽しみだ。

鹿男あをによし

2010年10月13日 読書
あああ、またやってしまった。寝る前にパラ見だけのはずが、つい最後まで…
寝不足だ。
しかし、こないだまでラバと話す男の映画をいっぱい見ていて、シカと話す男の話を読むと、ソコハカとなくイメージ的にデジャヴュ。話はもちろん全然ちがうんだけど、耳が大きめなのはラバもシカも共通点か。

万城目学著。
臨時で女子高の教師をするため奈良へやってきた「神経質」な主人公。なんの因果か(一応因果というか因縁はある)、奈良のシカに声をかけられ、妙なお役目を押し付けられる。初めて接する生徒たちとのつきあいだけでも難しいのに、日に日に顔は(自分の目からのみ)鹿男化してゆくし、失敗すれば人間界に大災害ときいて…

「鴨川ホルモー」同様ユルい感じのユーモア・ファンタジーだが、著者の文学趣味や古代史趣味やらがいい感じににじんでいて楽しく読める。西日本のギャグセンスについてゆけない主人公はどうみても「坊っちゃん」だし(笑)
伏線回収はかなり丁寧だが、マドンナの顔はどうなったんかな。無責任に手を広げすぎたのは鹿だけだから大丈夫なのか。

終盤の主人公は意外にオトコマエなところも見せ、そのぶんハラハラ感を最後まで残しつつ後味のよいエンディングになだれこむ。それと剣道の試合場面の描写が良い。ヘタな人が書くと単調になりかねない展開だが、意外にうまい。
十月はじめから一転して、忙し過ぎる毎日で、全然映画見ていない(本は読んでるが)。
1日に英語字幕映画2本視聴という快挙?が夢のようです。
今日も休みだけど半日仕事いったしなぁ(涙)
オフタイム(日曜)まで、あと一日働かないと届かない。
はぁ、あと一日。がんばるぞ。

日曜になればまた、楽しいタップのレッスンもあるし(なんとまだ続いてるのだった)。
地平線から来た男
1971年、バート・ケネディ監督作品。
主演のジェームズ・ガーナーをはじめ、助演のジャック・イーラム、ハリー・モーガンらワキを固めるメンツもかぶって、「夕陽に立つ保安官」の姉妹編ともいうべきコメディ西部劇(内容は全く関連がないが)。が、原題が"Support Your Local Gunfighter"なのには今回初めて気がついた…(「夕陽…」は"Support Your Local Sheriff")。
地元の保安官はわかるが、地元のガンマンて何…(笑)

ずいぶん前にTVで見たきり、スカパー録画で久々の再見である。

昨日今日とオフ。先週は忙しかった。日曜もあれこれ出歩いて疲れを残し、しかし今日は実家へ顔出しする用事もある。こういう時は、家族に弁当を作って送り出してから、すぐにちょっぴり1時間半程二度寝をするべきだろう、出かける前に。…が。
…映画もしばらく見ていない。最初のところだけでも、とコーンフレークを食べつつビデオデッキの前に座ったら、…1時間半程の映画を最後まで見てしまった(爆)

西部のワイルドな景観を背景に、軽快に突っ走るSL。中には「明日は挙式よ」と盛り上がる裕福そうな姥桜(マリー・ウィンザー)と、少々ゲンナリ顔のラティゴ(ガーナー)のカップル。
が、案の定?夜中に停車した小さな鉱山町で、ラティゴはこっそり途中下車。おりしも町は、鉱山主二人の対立による紛糾の真っ最中だった。その一人バートン(モーガン)は、ラティゴの事をライバルが呼んだ著名ガンマンだと誤解し、逆に金を積んで味方に取り込もうとする。
ラティゴは町で意気投合した飲んだくれのジャグ(イーラム)をガンマンに仕立てて売り込むが、やがて怒った本物がやってくる。「さっさと逃げよう」と誘うラティゴに、意外やジャグは「オレにもプライドはある、逃げられない」。そうなるとラティゴも彼を巻き込んだ責任を感じて…この窮地、彼らはどう切り抜けるのか?(…あえて伏せます。私自身、ラストを完全に忘れていて楽しかったので)

前作以上にコメディ色は強い。バートンは仇敵の妹とデキていて老いらくの恋が情報源。お約束のじゃじゃ馬娘スザンヌ・プレシェットは何かというとライフルを乱射しながら、夢は東部のお嬢様大学へ行くこと。テンポの良さは「夕陽」以上かもしれない。
主人公からして、前作では強いのにトボけた男だったが、今作のガーナーは口先男もいいところ、ほとんど詐欺師?でギャンブル中毒、実は東部の出身で馬も苦手という西部劇ヒーローとはズレまくりの設定。でも、憎めないんだね(笑)
イーラムは何だか前作以上に「イイ男」になっちゃってて、ガーナーのダメ男度が上がった分、実にみごとなバランスだ(笑)
人畜兼業の医者(ダブ・テイラー)、酒場の女将(ジョーン・ブロンデル!)、宿屋の女主人や賭場の元締め、駅員兼電信係に至るまで、街の人々もそれぞれ一癖ある描き方でどの場面も飽きさせない。カメオ出演のガンマンは、何と驚きチャック・コナーズ?

コメディ好きの私には、いやー、映画ってほんとにイイもんですね、と故・某評論家ばりのクサイ台詞をもらしそうになっちゃう快作でありました。

…でも、昼寝しそびれたから、早く寝ないと…
1958年、ジョージ・アボット&スタンリー・ドーネン監督作品。

野球は昔は結構好きだったし、気になるミュージカルの一本だった。だいたい、野球狂が悪魔に魂を売ってひいきのチームを優勝に導くってアイデアが素晴らし過ぎます。ビバ、野球界のファウスト!

初老の夫婦ジョー(ロバート・シェイファー)とメグ(シャノン・ブーリン)の居間にはどーんとTVが控えている。仲良し夫婦なのだが、一年の半分(野球シーズン中)は私なんか眼中にないの、と妻は淋しく歌う。背景がマルチスクリーンで似たような他のご家庭がうつるが、そのうち一つが浴衣の日本人夫婦なのは御愛嬌。
贔屓のセネタースの連戦連敗に、ジョーが悪態をつくと、なんと悪魔が出現する。悪魔は一見小柄で妙にお洒落なスーツの中年男(レイ・ウォルストン)。魂と引き換えにセネタースを救う天才スラッガーにしてやろうと持ちかけ、ジョーもついつい誘惑に乗ってしまう。青年ジョー・ハーディ(タブ・ハンター)の姿に変身し、見事なバッティングと華麗な守備の謎の新人として、最下位のチームを優勝争いにまで導く。

意外に抜け目のないジョーは、取引前に、9/24までなら途中キャンセルが可能な「免責条項」を認めさせるが、勿論悪魔はこれを封じるべく様々な罠を張り、優勝決定戦は9/25にまで伸びてしまった。さあ、どうするジョー?

野球☓ミュージカルなので健康的なナンバーが多い中、目玉は悪魔の手下でジョーを誘惑しにくる魔女ローラ(グエン・バードン)。家を放り出してきたとはいえ老妻への愛がゆるぎない、ジョーの真面目さに逆に恋してしまうのだが、お色気タップリテクもたっぷりのキレのいいダンスを見せてくれる。ただまあ、タブ・ハンターと並ぶとやっぱちょっとトシかなあ。舞台でも同じ役だったそうだけど。誘惑ソング"Whatever Lola Wants"より振付のボブ・フォッシー自身と踊る"Who’s Got the Pain"のほうが好みだ。あまり踊れないハンターとデュエットの"Two Lost Souls"もイイ。

とはいえ、…やっぱり私って、ボブ・フォッシーって…そんなに興味わかないなあ。うまいと思うし、いいと思うけど(グラウンドで選手たちの踊る振付は、なるほどスライディングとかって、フォッシーの元々のダンスにかぶるなあと笑えた)、なんでだろう。やっぱり、結局、モダンバレエよりタップが好きということか。

そんなこんなで、ミュージカルとしてよりコメディとして楽しめた一作でした。
チームのメンツも皆いかにも頭が悪そうで、そして監督(ラス・ブラウン)はいかにも百戦錬磨な白髪頭で、50年代ムードたっぷり。地味~な老妻に、若返った夫が逆に未練たらたらなのもよろしい。老妻、もしかしたら何か感じ取ってるのかも、てのもいいな。

ウォルストンの洒落者ぶりは、なんだかアステアのファッションを参考にしたみたいな感じで可笑しかった。白スーツに赤タイ赤ベストなんかイースター・パレードみたいだ(笑)
ついうかうかと、旧作100円キャンペーン延長中のぽすれんで何枚かまた申し込んでしまった。どうせ旧作しか見ない私には素敵なキャンペーンだが、だいじょうぶかなあ。今日も一本見たとこなのに。録りだめ買いだめ発注中もまだまだいっぱいあるのにな。

最近ますます、仕事がドロナワ式になっている。いや、好んでついた仕事だけどここんとこ忙しいしぃ、休みになるとor家に帰るとやっぱ、仕事以外のことしたいしね。切り替えがうますぎるんだね私は(違)
来月富山へ一泊出張しないとってんで、ネットで色々調べて宿とか取ったら、…反射的にネットレンタルサイトへもぐりこんでしまった(^^;)

出張先のビジネスホテルへポータブルDVDプレイヤーでも持ち込もうかしら。LAN無料の宿をとってネットブックは持ってくつもりだけど。(自分は持っていないが、実家の母にプレゼントしたポータブルプレイヤーがあるから借りようと思えば借りれる。ネットブックにはドライブないから…とはいえ荷物が増えるのはアレかな。ひと手間かければ、他にも一応手はあるのだが)
風野潮著。

YAむけの珍しいフィギュアスポーツ小説。しかし、期待したほどじゃなかったなー。ちょっと主人公にとって"都合のいいキャラ"が多すぎ。父と兄の相克とか過去とか軽く流し過ぎ。「ビート・キッズ」で注目された時に読んだがその時もあさのあつこ(「バッテリー」)ほどじゃないなあという感触だったしなあ。

まだ「銀盤カレイドスコープ」のほうが、ずっと良かった。…でも、二巻目も出たようだから、念のため、二巻目まで読んでみようかな。すぐ読めるし。

自業自得。

2010年10月22日 日常
やっぱり…昨日、海外注文DVDの山が届いて、今日、ネットレンタルに申し込んだDVDの山が届いた(注文分がなかなか来ないからと頼んだのだが)。
ううううう。ほんとは海外注文分を早くチェックしてしまいたいんだが、順序は逆だろうなぁ。くすん。明日は出勤だし、たいがい一日休める月曜も半日出勤だもん…。
でも、どちらかというと「評判もいいしやっぱり見ておこうかな」というネットレンタル分と、海賊盤でもいい、画質が悪くてもいい、我慢できずにとにかく買ってみた!というネット注文分では、ちょっと私の中に温度差が…。やはりもう少し、待つべきだったか。
1991年、バート・ケネディ監督作品。
ありゃ、こんなところにバート・ケネディが、と、ついレンタルしてしまった。
しかも主演はハルク・ホーガン…いかにもイロモノくさいSFコメディだが…

宇宙戦士のシェップ(ハルク・ホーガン)は、銀河の極悪将軍をやっつける任務をこなした後、宇宙船のエネルギー再充填に必要な数週間、「休暇でも取っとけ」という上司の言もあり、地球に降りることにする。
彼が下宿先に選んだ郊外の家の主人は、建築設計士のチャーリー(クリストファー・ロイド)。妻(シェリー・デュバル)と二人の子を抱え、社長に昇給を願い出たいが言いだせない気弱で平凡な中年男。下宿人の妙な言動をいぶかしんだ彼は、シェップをつけまわして正体を探りだすが、ある日シェップを狙う宇宙の賞金稼ぎが現れて…

まー何といいましょうか、モノすごくありがちで予想のつく演出と展開のコメディでした(^^;)
もうちょっと盛り上がらんかなあ、とは思うけど、とりあえずクリストファー・ロイドがいい感じなのは救いか。家の離れに作業場作ってゴーグルや溶接機や装備して工作が趣味らしい。そんな、オッサンだけど根っこがオトコノコ、なのがいいね。バック・トゥ・ザ・フューチャーの「ドク」役だった人なんだけど、「バック」ではドクの発明品にマイケル・J・フォックスが目を丸くしたりキラキラさせたりしながら冒険するわけですが、ここではロイドがホーガンのハイテク武器に目を丸くしたりキラキラさせたりしつつちょっとだけ冒険したり。でも中年の普通のパパだから冒険にも限度があって、まあそれでも彼なりに頑張るというところでしょうか。

ホーガンは、こんなイイ人でいいんか、と思ったけど製作にも噛んでるようだしなぁ。
とりあえず主演二人に嫌味がないのは長所?…脚本の出来はちょっとユルめだけど。
さすがに今回ケネディは脚本には名を出してません。

「お約束」のジャック・イーラムも、隣人役で出てるけどホントにカメオ出演て感じ。少し残念。

とはいえ、ひとつだけ、ムチャクチャに私の心を揺さぶったギャグがあったのでよしとしよう。
シェップの"冷凍銃"をチャーリーが紛失してしまい、二人が探しにでかける場面。とある銀行の入り口で、警備員が凍りついている(しばらくすると元に戻るらしい。すごく健全なお子様OKなコメディだ)。二人がそろそろと中へ入ると、銀行員やお客たちも凍りついている(拾った誰かが冷凍銃を銀行強盗に使用中らしい)。
霜の降りた銀行の奥へと進む二人に、ふと、…しめやかな「ジングル・ベル」の曲がかぶさる。

…!

私だけでしょうか、天を仰いで爆笑してしまったの(^^;)
たいへんに思いがけない方面からきた笑いだったので、虚を突かれました。

なわけで、★2にするのはやめときます。もっと救いのないダメコメディも存在するし。
Feudin’, Fussin’ and A-Fightin’ (1948)
Feudin’, Fussin’ and A-Fightin’ (1948)
Feudin’, Fussin’ and A-Fightin’ (1948)
1948年、ジョージ・シャーマン監督作品。モノクロ。
某海外サイトからこわごわ、ドナルド・オコナー主演の未公開作品を色々と買ってみました。パプリックドメインだとのことですが海賊盤かも(苦笑)
画質はイマイチだが元々古いしレア映画なので個人的には納得いく程度。字幕は皆無ですが、ストーリーは割と単純なので大丈夫?

年代は不明だがちょっと昔の、西部劇っぽい風情の田舎町リムロック。駅馬車に乗り遅れそうになったのを、一気に追いかけて飛び乗った旅のセールスマン・ウィルバー(オコナー)の駿足を見て、女町長マリベル(マージョリー・メイン)率いる町の首脳陣は、強引にウィルバーを拘束する。毎年恒例の、隣町との徒歩競争に出場させようと考えたのだ。リムロックは近年ずっと連敗中で、今年負けたら町ごと破産しかねない(賞金とか賭け金とか掛っているらしい)。
突然かどわかされて厩に軟禁されたウィルバーは当然腹を立てるが、町長の姪リビー(ペニー・エドワーズ)に惹かれて、結局レースに出る事を承知する。が、前夜に隣町の選手(リビーに関してもライバルである)が厩の水桶に毒を入れたため、それを飲んで具合の悪くなった馬を夜っぴて看病したウィルバーは、競走当日には完全にヘロヘロになっていた…

いーかげんな設定のコメディだが(強圧的に押し付けるよりも報償とか示して頼むほうが早くすむだろうに)、西部劇調の背景やのんびりムードは悪くない。幾晩もを共にした馬に思い入れてしまう主人公の人の善さもいいし、強面女町長の相方のヘナヘナしたオジサン(パーシー・キルブライド)も最後だけシャンとしたりして面白い。
ヒロイン・エドワーズはちゃんと自分で歌ってるみたいだ…派手さはないけど清純で可愛いカップルになってる。
競走シーンはそこそこ長く、主人公本当は速いのに、何度も倒れて寝そうになったり、隣町の選手の妨害に悩まされたりと波乱万丈なドタバタは結構楽しめた。
勿論最後は、なんとかかんとかハッピーエンド!オチもスッキリ決まっていい感じでした。

そして何より、オコナーのちょっと素敵なミュージカルナンバーが二曲含まれている。厩の中での凝ったソロタップ"Me And My Shadow"(影と踊ったり壁上り宙返りしたり)と競走前夜のパーティ会場の外でリビーと歌い踊るロマンチックな"Sposin’"。

http://www.tcm.com/video/videoPlayer/?cid=238589&titleId=74762 (Me And My Shadow)

ダンスもだが、歌もいつもながら良いなぁオコナー。

いやー頑張って購入してみて良かった~!
B級作品なのかもしれないが、可愛くてノスタルジック風味な楽しいコメディでした(*^^*)
諦めかけていたものを見れた嬉しさで点もやたら甘くなります。

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