キャグニーの新聞記者
1943年、ウィリアム・K・ハワード監督作品。モノクロ。図書館で借りたVHSで鑑賞。

昔話のように食っちゃ寝、食っちゃ寝していた、久々に休めた祝日。その合間にチョロっと観ました。
ジェームズ・キャグニーは、そりゃギャングを演っても凄いけど、やっぱり個人的には、普通にイイ人やってるのが好きだなあ、イイ人でも十二分に素敵ですよ。舞台は20世紀初頭あたり。ノスタルジックなゆったりムードもまたキャグニーには似合う。「いちごブロンド」あたりを気に入る人には特にオススメ。

流れ者のトム(キャグニー)は、浮浪者として逮捕されかけた所を、親切なマクロード夫人(グレイス・ジョージ)に「記者として雇うから」と救われる。彼女は平素から仕事のない浮浪者に朝食をふるまうなど博愛心に満ちた未亡人だが、彼女の新聞社は、町の腐敗を記事にしたため悪徳ボスから睨まれ、経営も悪化していた。トムは夫人のために、新聞をリニューアルしVS悪徳政治家キャンペーンを開始する…。

夫人には美人の姪がいるが、ややこしいことに悪徳政治家の息子と恋仲(この息子は父の悪事を知らない)。そして、キャグニーは、記者の経験もあるが(かつて政治の腐敗を記事にして、保身に走る編集長から首にされたという)、何よりも自由を愛し、全てが丸くおさまると、再び旅に出てしまう。そんな、頼もしいが孤高のヒーローを、キャグニーはソフトに、気持ち良さそうに演じている。製作も兄のビル・キャグニーだし。アクション・シーンも少しはあるが(当然主人公は結構強い)、あくまで優しさと愛嬌とが持ち味の主人公なのだ。
ありがちな「みんな一緒に幸せに暮らしました」の大団円ではないが、時代をちょっと昔にとったのも効いて、おっとりとさわやかな後味のヒューマン・ドラマに仕上がっていた。

原題の"Johnny Come Lately"とは「新参者」くらいの意味。たまたま町にやってきて闘いに手を染めることになったキャグニーを指すのだろう。
ポスターにオスカー像があるのは、音楽賞ノミネートのせいか?特に印象深いメロディラインはなかったが雰囲気は良かったと思う。未亡人役グレイス・ジョージは舞台の名優らしい。また、未亡人宅の家政婦はハティ・マクダニエルが演じていた。

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