トプカピ
1964年、ジュールス・ダッシン監督作品。
なんだか監督の妻子に加え本人も出てるらしい家族映画。いや、泥棒映画。図書館のVHS借りて視聴。

濃いです濃いですというのは聞いていました(笑)。
アヴァンタイトルで女盗賊エリザベス(メリナ・メルクーリ、ご存じダッシン夫人)が、トプカピ宮殿美術館に眠る宝剣への思いを熱く語る場面は色と光の乱舞で、いやーこりゃ濃いなたしかに、とちょっと焦りました。
でもまあ、タイトル&クレジットが終わり、「いい考えを思いついたワ!」と彼女が元恋人・ウォルター(マクシミリアン・シェル)を口説きに行く場面の次くらいからは、耐えられるペースに戻ってひと安心。イスタンブール市内入りするところの映像もカット割がめまぐるしく眩暈を誘うテンポですがそれはちょっと先だし。考えてみたらサイケ時代も目の前。

グラス片手にタキシードで連れと肩組んでパリの歩道をほろ酔いそぞろ歩き、と見せかけておいて、警官に挨拶しつつ向きを変えたら実は連れの背中に銃を突き付けつつ歩いてた(と観客に分かる)というウォルター。彼女以上に腕利き泥棒の彼に宝剣奪取計画を考案させる、というのが彼女の『いい考え』だったようで。
実際リーダーの筈の彼女が何やってるかというと、もっぱら色仕掛パートと、仲間みんなに優しく色っぽく接してムードメーカー、という…。
「面倒みられ型リーダー」ってヤツですか(笑)

当局に記録のないアマチュアをという考えから、ウォルターが集めた仲間は機械に強く警備システム破り担当セドリック(ロバート・モーレイ)、軽業師ジュリオ(ギルス・セガール)、剛力のハンス(ジェス・ハーン)、現地の見世物屋ジョゼフ(ジョゼフ・ダッシン)。
銃などヤバイ物を隠した車をギリシアからトルコ側へ国境越えさせるのに雇った運転手シンプソン(ピーター・ユスティノフ)は、無事越せればよし、捕まれば放置(雇い主の自分たちの情報は教えてない)、という計画だったが、ここで計算違いの展開が発生。

国境で車から銃を見つけた警官たちは、銃をテロリストのものと考え、ここは見逃し逆にシンプソンにスパイを強要して首謀者を捕えようと考える。警察側の小細工で、ウォルターらの運転手を続けることになった彼は、ビクビクしながら尾行の警察に情報を流す。だが、ハンスが怪我をしたことから、泥棒一味はそこそこ大男なシンプソンをピンチヒッターにたてようと仲間に誘い…

さてここから先は伏せておきます。
パレードとイベントで盛り上がるイスタンブールを舞台に、官憲の目も光ってるのにどう盗む?
計画をどう変えれば可能か、ウォルターの頭脳の見せ所です。エリザベスいわく彼は「窮地に立つほど冴えるの」。
まだまだ何でもアナログな時代、監視カメラも光学センサーもない時代のクラシックな泥棒テクが魅せます。いわば空中からお宝を狙う彼らには、身体能力も切り札。ロープで宙づりになりつつ侵入する場面は息を飲む迫力(そして祭りの賑わいとの対比がまた…)。そして、屋根の上を走る彼らのバックには明るいトルコの海。
うーんいいねえ。

そして、ラストシーン。
「次はね、クレムリンよ」と囁くエリザベスに「ノォォォォォォー!」と叫ぶ男ども。
でもね、やっぱり…(笑)
お約束だなあ、と思いつつ、キュートなエンディングにニッコリでした。
ユルいようで心地よいチームワークができちゃってるんですね。エリザベスの人徳?かね。
メルクーリ、かなりなトシだと思うんですけど(笑)シェルより10くらい上じゃないの?
でもまあ人徳は人徳(笑)

これでオスカー助演男優賞のユスティノフは、ポワロ役とかの貫禄タップリになってからの印象が強いからか、そこまでか?という気もするけどヘタレなおじさんの頑張りが受けたか。
ふとっちょギョロ目のモーレイはいつも通りそこにいるだけで微笑ましい。思いがけないほど可愛かったのはギルス・セガール。口のきけない若い軽業師なんですが、「カラダでしゃべる」さまが実に表情豊か。

気になってたシェルは、心配してた程悪くなかったですね。
立ち位置としては普通なら「二枚目役」になりそうなところが、地味に頭脳労働に徹して、スマートかというと「ややスマート」止まりで(笑)、でも恋愛沙汰より自分の「頭脳全開」に酔うようなキャラクターって嫌いじゃない。「飛べ!フェニックス」のハーディ・クリューガーなんかもそう。ドイツ人(厳密にはシェルはオーストリアだけと)は似合うなソッチ系。
映画自体も、軽妙、スマートというには濃いノリだしねえ(キャスティングのせいかも)。でも、おおらかなユーモアと犯行描写の迫力は立派で十二分に楽しめたと思う。
舞台がトルコのイスタンブール、一部ギリシャというわけで、それだけでもコッテリですもんね。

そして、なんだかとても「エロイカより愛をこめて」を思い出しました。スリリングだけど微妙にのんびり♪なところが。トルコ方面行ってた話もあるしねえ。
伯爵って、エリザベスの色気とウォルターの頭脳を合わせたような泥棒?
最近伯爵の女装がやけに多いのでそう思うのかもしれない(笑)

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