1933年、ロバート・Z.レナード監督作品。モノクロ。

フレッド・アステアのデビュー作としても(してこそ?)知られているミュージカル。ショー場面だけ「本人」としての客演なので、厳密には、準主役をつとめる「空中レビュー時代」こそが第一作と言ってよいのだが、公開はわずかにこちらが早かったらしい。

キャスティング的には、別にそれだけな作品ではないのだが。主演がジョーン・クロフォード、実は初見なクラシック映画の大女優。目が大きく面長でたくましさすら感じさせる、迫力ある美女。相手役はハリウッドの“キング”クラーク・ゲイブル、でもまだちょっと若くて“皇太子”程度な軽さ。ヒロインを追いかける金持ちのボンボンにフランチョット・トーン、「戦艦バウンティ号の叛乱」でも二人揃って出てましたね。が、あくまで主演はクロフォード、ダンサーとして世に出たい!というヒロインのバックステージ根性モノ。男性陣、負けてる…(アステアはともかく)。

バーレスクのストリップまがいの踊りで糊口をしのぐジェニー(クロフォード)は、彼女を気に入った富豪(トーン)に励まされ、売れっ子演出家パッチ(ゲーブル)の元に行き「私を使って」と直訴をかける。演出家は辟易するが、富豪からの紹介状も届いたのでオーディションだけはすることに。ここで才能を見出された彼女はやがて主役に抜擢されるが、舞台は突然スポンサー降板で中止になる。実は彼女を早く口説き落としたい富豪が、密かに手を回したのだった(そして彼女を船旅に連れ出す)。

二人が旅に出たところで、ようやく気を取り直したパッチは自分の金をつぎ込んでも上演すると決めるが、ジェニー抜きでの仕上がりに自信が持てず初日前夜だというのに泥酔するていたらく。そこへ予定を繰り上げて帰国してきたジェニーは、全ての経緯を知り「振付は覚えてる、やってみせる!」と舞台に上がる。舞台は大成功、彼女とパッチは結ばれる。

悪気はないらしいが困ったちゃんな富豪より、何故だかケンカになりがちだがガミガミ屋の演出家に最初から親しみを見せるヒロイン。ただ、演出家のほうもトーヘンボクな上いざとなるとヘタレだしで、イマイチなロマンス展開であった。

クロフォード、ダンス頑張ってるとは思うがあまり踊りには色気を感じない。体操みたいだ。彼女のパートナーとしてアステアはまずタキシード、続けてバヴァリア風半ズボンで優雅かつ軽快に踊ってくれるが、アステアがロジャースを得てこそ人気が爆発したのも無理はないかもしれない。
最後のナンバー(アステアは出ない)は、「リズムにのろう!時代においつこう!」と、18世紀風の衣装のダンサーたちがありえない手早さで現代の衣装に早代わり。「絶対下からじゃ見えないよな」な空中レビューでも思ったが、なんかこの頃のミュージカルって「舞台でやってるんですよ」感を中途半端に強く残したまま、本当の舞台では不可能なシネ・ミュージカル的な振付をしてるなと思う。まぁ、ブームになったバスビー・バークレーの真上から見た時専用幾何学模様型振付がそもそもそうなんだけど。これが40~50年代だともう少しこなれて、「舞台らしい」ナンバーと映画ならではな振付や演出が融合してゆくのだが。

とりあえず、アステア様のダンスをチェックできただけが収穫だったかな。

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