1948年、チャールズ・ウォルターズ監督作品。カラー。

最初はジーン・ケリー主演の企画だったのが、怪我で出られなくなったため、1946年の「ブルー・スカイ」後引退していたフレッド・アステアにお鉢が回ってきたというのは有名な話。しかし、これがアステア第二の最盛期の幕開けとなるとは(1899年生まれの彼なのに…)。
アーヴィング・バーリンの新旧17曲を散りばめ、イースターをキーにした明るいバックステージ・ミュージカルです。

1912年NY。ダンサーのドン・ヒューズ(アステア)は、"自ら育て上げた"ダンスパートナーのナディーン(アン・ミラー)にコンビ解消宣言された腹立ちから、しがない酒場の歌手ハンナ(ジュディ・ガーランド)を新パートナーに抜擢するが…

最初のうちドンは、ナディーンのオトナの色っぽさやエレガンスを新パートナーに強要するため、新コンビはちっともうまくいかない(羽根つきドレスで振りを間違えつつ踊るハンナに袖ではたかれる場面は、アステア=ロジャース「トップ・ハット」羽根つきドレス事件をパクっていて笑わせる。抜けまくる羽根に悩まされたこと、まだ根にもってたんすかアステア様!)。序盤のドンてばほんとに独裁的トーヘンボクなのである。ナディーンもそれで自立したくなったのかも(ドンのハンサムな友人=ピーター・ローフォードの方に気があるせいもあるようだが)。
ハンナの持ち味は、明るい可愛らしさとパワフルな歌唱力。それを生かした路線変更を試みた途端、新コンビは上昇気流に乗る。

ドンが「ハンナの良さ」に気づく I Love a Piano から Snooky Ookums, Ragtime Violinときて、When the Middight Choo-Choo Leaves for Alabam で最高に盛り上がるミニ・メドレーのノリのよさは素晴らしい。四曲目、並んだ二人が右腕をふりかぶってきゅっと体を後ろにそらす所などゾクゾク来ます。熱っぽいリズムとノスタルジックなキャッチーさを兼ね備えるアーヴィング・バーリンの曲はほんとにジュディによく合うなあ…

やがて大舞台で「二人が主役のショー」をかけられるまでになる。ここでのナンバーは二曲。
Steppin’ Out with My Baby の、白にほんの少し赤のアクセントをつけたアステアのスーツはほんとにオシャレ!他のダンサーが原色&黒でバリバリに決めているのでますます映える。そして衣装以上にもちろんダンス!ナンバーの終盤でアステアだけスローモーション撮影の合成になる(バックダンサーと音楽はそのまま)。スローになっても全ての動きに全くスキのない美しさ、そしてバックと別の時間空間で踊っていながら不思議な一体感を保つダンスに幻惑される逸品。曲良しダンサー良し演出良しで何度見てもウットリ。

続く A Couple of Swells は、ジュディのコメディセンスを生かした「浮浪者スタイル」のコミックナンバー。汚れ役?を嬉々としてキメるジュディ向けナンバーなんだけど、如何にボロ服でもどーにもエレガンスが抜けきれないアステア様も見もの。二人並べるとその微妙な違いがスパイスにもなる(コレがケリーなら「踊る海賊の」Be a Crown みたいになったんだろうな。あのナンバーはあまり好きじゃない。コミカルであってもエレガンスは欲しい私)。

だいたい最初の10分に3曲(タイトル流れる時のEaster Parade も入れたら4曲)というスタートダッシュからしてただごとでない。Happy Easter でナディーンへのプレゼントの帽子を買い、次に狙ったぬいぐるみを幼い少年と奪い合う? Drum Crazy、意外と冷たい彼女を口説くIt Only Happens When I Dance with You。あっという間に映画に引き込まれる。数多いナンバーをいちいちとりあげていても終わらないのでこのへんにしとくけど、103分に音曲ぎっちり感があり大満足でした。ミュージカルの場合、曲目はなるべく一作品に二桁は欲しい気がするなぁ。

それにしても、ジュールス・マンシンのウェイターが音楽にのせて?サラダのレシピ説明をするあれって、ミュージカルナンバーなんだろうか。あれはあれで凄かったですが。

カラーの華やかさに、ちょっと昔に舞台をとったためノスタルジックな味わいも加味されて、満腹感と癒しをたっぷりいただきました。いやー何度見ても名作は名作だな。作品制作裏話などの特典映像もあるし、廉価版もあるようだけど正規版のほうがおすすめです。

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