1941年、フリッツ・ラング監督作品。

1939年初夏。狩猟の達人である英国人ソーンダイク大尉(ウォルター・ピジョン)は、ドイツの某所、崖の上から数百メートル彼方に立つヒトラーに銃を向けていた所を歩哨に見つかり逮捕される。暗殺ではない、弾を込めずに照準のみ合わせた“獲物追い(sporting stalk=実際には獲物を殺さず確実に仕留められる位置を占める所まででスリルと興奮を味わうという狩猟)”と彼は釈明するが、彼を逮捕した大佐(ジョージ・サンダース)は認めず『英国政府の意を受けて暗殺を試みた』という供述書を書けと迫る。拷問を受けながら大尉はからくも逃走、帰国するが、ナチの手はロンドンにも延び…。題名通りの逃亡と追跡のサスペンス。

ラング作品はさして数を見てるわけではないですが、光と影のメリハリが効いた華やかな映像はサスペンスを盛り上げて魅力的。こんな映画を見ると、モノクロはいいなあ、とか思ったり。

ただ、大尉を助ける少年(ロディ・マクドウォール)や貧しい娘(ジョーン・ベネット。程度は不明ながらおミズっぽい気配が)は健気でかわいいが、最初にちょっと「主人公、自業自得なんじゃないんかい?(そりゃ逮捕もされるっしょ)」と思ってしまったからなあ。ジョーン・ベネットは可愛い可愛いな演出と音楽にいろどられ、二人の関係もたいそう甘く描かれてはいるが、やっぱり扱いがチャラいんじゃないか、こんなに有難い美人の救い主なんてちょっと都合がよすぎる(彼女が気の毒、こんなトーヘンボクのために)…と感じるのは私だけでしょうか。

一番魅力的だったのは、私にとってはやはり悪役ジョージ・サンダースか?(笑)
いや、サンダース見たさで借りたDVDだったしホントに。先に書いたように主人公がちょっとアレな人なので(弾を込めずに照準を合わせただけつったって、やっぱり撃っちゃおうかと迷ったなんて自分で言ってるし)、知的でスマートで堂々たる長身とイヤミな笑みを持つ彼のほうがちゃんとした人に見えます。モノクルを光らせ、タキシードで物陰に立ってる所なんか超カッコイイ。狩猟ズボンもいいし、軍服(最初に着てる白いのが特に)もイイ。って何言ってるんだ私…でもプロパガンダ的エンディングはやはりクサイですしね、映画そのものを評価したからというより以上に、ミーハー心で最後まで楽しんだってところ。あのエンディングは時代の要請かもしれないが…。原作からしてそうなのかな。

「海外特派員」のラストもプロパガンダ的とよく言われるが、あれなんかは、引っ掛からず見られる適切レベルだったと思うんですけどねえ。

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