将軍月光に消ゆ

2011年7月21日 映画
1956年、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督作品。

500円DVDのKEEPから、なんか渋くてステキな英国映画クラシックス(アーサー・ランク作品がいっぱい)が出た!と一部で最近話題になったラインナップの一枚。いや、フツーに店頭買いしようと思っていたら、どこにいっても特定のもの(私が買う気のないもの)しか残っていなくて。
…皆さん、思いは同じですな(^^;)
最近、某所で「やっぱり冒険サスペンス映画は英国製!」と盛り上がった直後だったので、とりあえずゲットできた時にはホッとしました。大人買い(KEEPショップだと六枚以上)すればネットでも送料無料なのだが、私の欲しかったのは三枚だけ(置き場にも困ってるし)。
結局中古を一枚店頭で発見したので、三枚あわせて丁度定価並。ケチなワタシにも納得の落としどころです(笑)

さて、ダーク・ボガードは正直いって好きじゃないんですが、パウエル&プレスバーガー作品なんだし、と視聴。第二次大戦中独軍占領下のギリシャ(クレタ島)で、現地人ゲリラと共闘してドイツの将軍を拉致しようとする英国将校らを描く戦争冒険サスペンス。
のっけから妙にのんびりした音楽が流れてちょっと虚をつかれる(そしてクレジットタイトルでのボガードの扱いのデカさにも)。ありゃりゃ、…ミキス・テオドラキスの名がクレジットに?うーん、そうか、ギリシャテイストで押してくるというわけね。

実際、映画の前半は結構のんびりしている。英軍のファーマー少佐(ボガード)は、ドイツ軍を嫌うギリシャ人たちの中に隠れ馴染んで、ゲリラ活動に邁進している。将軍拉致計画を思いたち、本国からモス大尉(デイヴィッド・オックスレイ)を呼びつけるが、とりあえず到着初日はギリシア風大宴会だ。歌って踊って、翌日には危険な仕事がスタートするが、なんとなく大味でユーラスのはギリシアの風土のせいか。誘拐される将軍(マリウス・ゴーリング)も案外と堂々としていて面白い味を出している。ドイツ軍人がデクノボウじゃなくて駆け引きとかがあるのが英国製らしい。中盤はしだいに追い詰められ、彼ら自身にもどう逃げ切ればよいのか先が見えずで、話がダラダラしはじめたか、と思い始めた(疲労困憊で眠いのに12時頃から見始めたせいかも)。ところが終盤またぐぐっと一気にサスペンスフルになる。と同時にユーモアの方も妙に盛り上がる。ああ、英国製だなあ(*^^*)
気持ちよく、ニヤニヤしながら見終わりました。
しかし、なんと、実話をもとにした話だったらしい。へええええ。

ゴーリングがほんとに見ていて飽きさせない。「赤い靴」でヒロインの恋人を演じた時は、どこがヒロインを「バレエか恋か」と悩ませる程の二枚目なんだ…と思ったが、ちょっとヤな感じだが威厳と余裕のあるこの将軍は魅力的。ゲリラたち(シリル・キューザックとか)もそれぞれ図太い面白みをにじませていい感じ。ボガードはサル顔が好きじゃないんだけど、スタイルはそれなりにいいと思う(これは「戦艦デファイアント号の叛乱」を見ている時に気がついた。悪役だったがナポレオン戦争時の軍服の半ズボン+ブーツが妙に格好のいいラインを描いていたのだ。今回も、映画後半、乗馬ズボン風のふくらんだズボンとブーツの組み合わせが目に楽しい)。英国ではアイドル二枚目扱いだったのかもしれないが、絶対、ロングショットで愛でるべき人だと思う(爆)
山あり谷あり勿論海あり、モノクロ映画だがクレタ島の風景も美しく興味深かった。

地味だがそこそこ面白い、冒険は明るく描いちゃう、やはり英国テイスト。★4はつけすぎか、いやでも★3では足りない。あと二枚も期待しよう。KEEPさんありがとう。

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