1938年、エドマンド・グールディング監督作品。モノクロ。
「ハリウッド航空戦争映画 DVD-BOX」(7枚組)収録分DVDで視聴。
ハワード・ホークス監督の「暁の偵察」(1930)のリメイクで、日本未公開だが「突撃爆撃隊」なるタイトルでTV放映はされたことがあるそうな。

1916年、フランス国内の英国空軍基地。戦況は厳しく、機体は古く劣悪なものばかり、本国からの補充兵は若い新兵ばかり。中隊長コートニー大尉(フリン)らに毎日命令を下す、指揮官ブランド少佐(ベイジル・ラスボーン)すら、現場の声を聞こうともしない軍上層部には不満を抱いている。訓練不足の新兵たちは初戦を生き延びることもできず、次々と死んでゆくのだ。
そんな憂さを晴らすかのように、コートニー大尉と親友スコット中尉(ニーヴン)は、二人きりでドイツ軍基地を奇襲爆撃し、何とか無事に帰還を果たす。ブランド少佐は二人の勝手な行動を叱るが、この戦果が評価されて昇進転属してゆき、コートニーが新たな基地司令官に任命された。上層部の出す無理な命令を部下に強いらねばならず苦しむコートニー、それを支えるスコットだが、新兵として基地に配属されてきたスコットの弟が兄の眼前で戦死して以来、二人の間には亀裂が生まれ…

主演がエロール・フリン+デヴィッド・ニーヴンで、私的には7枚の中でもトップクラスの期待値でした(*^^*)。
しかし、こんなシリアスなノリだとは知らなかった…(あえてあまり下調べもしてなかったから)。
ニーヴンかわいいいよニーヴン…
まだ20代のニーヴンがめちゃくちゃ可愛い。親友というよりフリンの弟分って感じで、ちょっとヒョーキンで酒に弱くてすぐ寝ちゃって…の、面倒みられっぷりが超可愛い。
こんなに可愛いくて仲良しさんだといずれ死亡フラグが、と心配し始めた映画の半分くらいでいきなり後輩をかばって撃墜されてしまい、うそー、こんなに早く、と大泣きしかけた私であった。もちろんフリンもまだ30前、とーってもハンサムで、もうこの二人がじゃれあってるの見てるだけで画面が輝いている感じ!(←ミーハー)
いやまぁ冗談抜きに二人とも好演してるんですけど。「戦場を駈ける男」みたいなご都合主義な楽しいエンタメを何となく期待していたのですが、憂愁をにじませたフリンもイイです。

さすがに中盤のここでは奇跡の生還を果たしてくれるのだが、最後までシリアスな展開で、「どっちかが死んで終わりだよなきっと、でも何とかハッピーエンドにならないかな」と手に汗握り、目をうるませながら見ました。泣けました。あうあう…

あと、悪役としてフリンと敵対する役の多かったラスボーンが、意外やイイ役。厳しい上官だが、部下を毎日死地に送り出すストレスに押しつぶされそうになりながら必死で踏みとどまっているピリピリした表情が共感を誘う。さすがに存在感あり。ついでにその副官がドナルド・クリスプ。この人も、いつも上手いなー…。家族からの手紙を読みながら、ここにも犬がいたら少しは心の癒しになるのに、とか言うくだりはぞくぞくした。手堅く上官を支えているようで、彼もまた結構追い詰められていることを匂わせる。

第一次大戦中とあって、パイロット同士の間にはまだ、戦う時は敵だが個人として憎む必要はない、と胸を張る、騎士道精神が残っている時代。中盤、仲間を撃墜したドイツ軍パイロットの捕虜を仲間のように扱い痛飲する場面などは、物悲しい中にも一種の爽やかさがある。それでも命は一つしかない。友や家族を失った悲しみは、人間の心をいやおうもなく押し潰す。
男の友情をこまやかに描き、スリリングな空戦アクションでひきつけながら、戦争の無情さ空しさをしみじみと伝える佳作。
ちょっとミーハーフィルターに底上げされてるかもしれないけど。

ロングショットの空中戦の映像は1930年のオリジナル作からとってきてるらしいが、まあ気にしない。

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