スパイ
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1939年、マイケル・パウエル監督作品。モノクロ。
WOWWOWのパウエル&プレスバーガー特集の録画より、第二弾。
プレスバーガーは脚本のみだが、このコンビ結成第一作だそうな。

1917年、ドイツの軍港キール。任務を終えて帰港したUボート艦長ハルト(コンラート・ファイト)は、副官シュースター(マリウス・ゴーリング)らとホッとひと息つく間もなく、新たな任務を授けられて再び出航する。
ハルトはスコットランドのオークニー諸島(ここに英海軍基地スカパ・フローがある)に密かに上陸し、教師に化けて先に潜入していた女スパイ“ティール”(ヴァレリー・ホブスン)と落ちあう。彼らは英軍の裏切り者アシントン大尉(セバスチャン・ショー)の手引きで、英国艦隊に大打撃を与える罠を張るのだが…

たった82分。
しかし、面白い!そして、びっくりした!
よくこんなタイミングで(WW2前夜)、ドイツ軍人にこんなに感情移入できる戦争冒険映画を作るもんだ…。スパイとはいえ、正々堂々の知恵比べといっていいくらいである。スパイ映画というよりむしろ冒険映画ですコレ。
英国ならでは。「鷲は舞い降りた」とか「脱出航路」とかの、人間的に魅力あるカッコいいドイツ軍人をフィーチャーした冒険小説でメジャーになったジャック・ヒギンズ(イギリス作家。アイルランド系だった気もするが…)を思い出す。「鷲…」のシュタイナ大佐(ジョン・スタージェスによる映画化ではマイケル・ケインが演じた)らは、スパイとして扱われるのは嫌だと英国兵の変装の下にドイツ軍服を重ね着してたりしたが、ハルト艦長もまったく同じメンタリティで、敵地に潜入する癖ドイツ海軍の軍服をしっかり持って来てたりする(いや、ハルト艦長の方が先か…)。

序盤にキッチリ、ハルト艦長と部下たちの家族的ですらある絆が描かれているので、ついハルトを応援してしまうし、二転三転する話がどう転ぶか先が読めなくてドキドキ!いや、さすがにイギリス映画中でのドイツ軍人なんだし彼が大勝利とはいくまいとは思うのだが、こんなにも「ちゃんとした海の男」なんだから…と…。
ハイ、最後までハルト艦長はイイ男でした。
ファィトの演技は多少大時代なところもあったけど。でも英国人から見れば「外国人」の役なんだから、それで構わない、あるいは確信犯でやってるのかも…

チラリチラリと、ニヤリとさせるユーモアもちりばめながら、最後まで手に汗握るサスペンスを維持。陰影の効いた映像、スピーディな場面転換で、古めかしいながら大いに楽しめました。
こういうストーリーはあまり細かく書きたくないので、控えておきます。

セバスチャン・ショーは、なんだか池辺良によく似ていました。
マリウス・ゴーリングはえらく若くてチャラくて可愛らしかったです。
ヴァレリー・ホブスンは、えーともっと後の「カインド・ハート」の時の方が美人に見えました。

オススメ。
特に、英国冒険映画とか英国冒険小説好きには…

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