DVD、買ってしまうとほっとしてなかなか見ないこともある。忙しくてほぼ一ヶ月の映画日照りの後に、GW実家参りに満を持して持参、視聴(笑)
ほんとはワンコインじゃなくBox(エロール・フリン・シグネチャー・コレクション)なんですよ。

1941年、ラオール・ウォルシュ監督作品。モノクロ。
合衆国第七騎兵隊を率いてインディアンと戦い玉砕したカスター中佐の半生を描く映画。勿論娯楽作品なので、面白くなるよう史実は適当にアレンジして作ってるのは制作年代からしても当然だが、予想以上に見ごたえありで満足。

1857年、ウェストポイント士官学校。新入生の一人としてジョージ・A・カスター(フリン)がやってくる。遅刻気味なのに堂々と、かつド派手なオリジナル軍服を着込んでの登場につい爆笑。猪突猛進&派手で有名なミュラ将軍(ナポレオンの部下)がアイドルだそうだ。反射的に悪ふざけをかまして「君の部屋だ」と監督教官のベッドに彼を送り込む上級生シャープ(アーサー・ケネディ)の所業も無理はない(笑)
が、学業操行は最低、剣術馬術は最高、の問題児カスター候補生は、南北戦争が始まるとその猪突猛進ぶりで殊勲を重ね、英雄となった彼は愛するリビー(オリビア・デ・ハヴィランド)とも結婚式をあげる。

ここまでの前半(三分の二)は、いかにもフリンの主演映画らしく、あまりに調子のいいヒーローぶりが大いに笑えて「無責任男シリーズか?」と感じるくらい。だが後半はガラリと雰囲気が変わってくる。

メデタシメデタシと思いきや、平和が訪れ退役将校となったカスターは無為な日々に満たされず酒に逃避。見かねたリビーの心遣いで、西部開拓の最前線ダコタ州へ騎兵隊の指揮官として赴任することになったカスターは新たな目標を得て立ち直り、卑しい流れ者やガンマンの集団だった第七騎兵隊を立派な軍人集団へと鍛え上げる。また、スー族の酋長クレージー・ホース(アンソニー・クイン)らとの戦闘に勝利し、白人に有利な平和協定も結んだ。ところが、西部の利権をとことん吸いたい資本家と悪徳政治家の策謀により、「ここだけは」と確保した筈の聖地を汚されたインディアンたちは空前の規模での大反攻に転じ、その最前線に立たされたのが、カスターの第七騎兵隊だった。

同じ策謀で首都へと召還されたカスターは、協定破りを目論む者たちを告発しようとするが議会に容れられない。彼はグラント大統領に直訴し首都から再びダコタへ舞い戻る。死地に向かう部下たちと運命を共にするために…。

悪い資本家はシャープとその父、悪徳政治家はカスターを目の仇にしていた元教官。わかりやすすぎる脚本だが、軍人以外はつとまらないという困った男カスターが、彼なりに人間として成長しているのが、見るものの心を揺さぶる。華やかな「栄光」を求めてウェスト・ポイントに来た青年は、最期に粛々と、大義も勝ち目もない戦場に赴くのだ。そして、前夜の愛妻との別れ…妻も夫も、互いに負担をかけまいと、可能な限りのさりげなさを装いながら既に死別を覚悟している。涙腺の緩む名場面だ。
明朗アクション西部劇がいつしか、歴史のうねりに潰される個人の悲劇にすりかわっていくドラマの流れの自然さには驚いたし、そんなには期待してなかったので余計に後半のフリンの迫力にもしびれた。史実がどうだかはおいといて、テンポのよさ、軽快・重厚を両立させるウォルシュ監督の男っぽいノリが「ああ、映画らしい映画だったなあ」としみじみとイイ後味を残す。
戦意高揚映画かしれないけど、うん、うまいこと出来てるわー。

フリンとデ・ハヴィランドの「いつものカップル」をとりまく周囲も賑やか。リビーの召使いにハティ・マクダニエル、カスターに目をかける将軍たちにシドニー・グリーンストリートなど。もちろんマックス・スタイナーの流麗なメロディと、アイリッシュ情緒たっぷり?の第七騎兵隊テーマ曲?ギャリーオウエンも耳に着いて離れない。
いや、楽しめました。
…いやー、やっぱ、エロール・フリンっていいなあ。甘いルックスととぼけたユーモアと運動神経(&スポーツマン体型)、意外とこれ三つ並んで揃ってるのって珍しいと思うよ。

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