ミュンヘンへの夜行列車
2011年1月23日 映画 コメント (7)
1940年、キャロル・リード監督作品。モノクロ。
日本未公開の英国製スパイ・サスペンス・アクション。
ポーランド、ズデーテン、チェコスロヴァキアへと、次々とナチスドイツの魔手が伸び、風雲急を告げる大戦前夜の欧州。軍用技術を渡すまいとドイツ軍の鼻先から逃亡したチェコの科学者は英国に匿われるが、その娘アンナ(マーガレット・ロックウッド)は間に合わず強制収容所に送られる。アンナは同じように収容所に囚われた青年カール(ポール・ヘンリード)に助けられて脱走し、英国の父を探すが、それも実はドイツ軍の罠だった。
父娘はまとめて拉致されるが、二人を奪回するため英国情報部のランドール(レックス・ハリスン)は命がけでドイツに潜入する。ミュンヘン行きの列車で護送される二人と、ドイツ軍人に化けたランドール。英独スパイの攻防の行方は…。
実写フィルムの転用くさい映像で幕を開ける時局的スリラー。あれよあれよという間にドイツ侵攻、亡命の段取り、娘は逮捕、脱走計画…と、大変テンポよく物語は進んでゆく。そして、ストーリーの一大転回点、「ドイツ軍の罠」がパッと観客の目にひらける、眼科医でのシークェンスが実に素敵だ。なんというか、脚本家(シドニー・ギリアット)ノッて書いてるよなあ、この工夫(身元確認の工夫)…という気がする。スパイVSスパイ、狐と狸の化かしあいは、あまり細かくストーリーを書いてはこれから見る人につまらないだろうからグッとこらえるが、まだ若くてひょろひょろしたハリスンの、めりはりの効いた化けっぷりと演技は何とも楽しい(ユルそうなセーター姿、キレ者っぽいスーツ姿、タカビーなドイツ軍人姿…)。しかし顔があまりに長いせいか、あのカッコいいドイツ軍服が意外に似合っていないのが笑える。まあ、いかにも英国紳士らしいスターというのは、たいていドイツ軍服が似合わないんだけど(笑)
これまた若々しい、ポール・ヘンリードの端正さも対照的でイイ。
だがやっぱりお楽しみは「バルカン超特急」以来再登場のクリケット狂二人組、チャータース(ベイジル・ラドフォード)&カルディコット(ノーントン・ウェイン)の、ちょっと大きくなった存在感!
いきなりこの映画で見ると、そりゃご都合主義的に頼もしすぎるんじゃ、と思う向きもあるでしょうが、「バルカン…」終盤の意外な(笑)頼もしさを知っていると、素直に楽しめちゃいます。かなり主体的に、ハリスンの正体をめぐるサスペンスを引っ張ったり、アクションで助太刀したり、大活躍。ああ、なんだか他のチャータース&カルディコット映画が見たくなってきてしまった…ソレだけで見るとつまんないのかもしれないけれど(あるんですよ!http://13374.diarynote.jp/201101172358341619/参照)。
もともと身元を偽ったり誤魔化したりする系のサスペンスやコメディが大好きなので(「熱砂の秘密」とか)、この映画はむちゃくちゃツボにハマって楽しめました!
異論はあるかもしれませんが、ねちこいヒッチコック・スタイルのサスペンスより、スピーディなこちらの方が私は好みです。
「マイ・フェア・レディ」のレシタティヴォ・スタイルではなく割と普通に流行歌を歌ってみせるハリスンが見れたのもちょっと珍しくて嬉しかった。いやー、ジュネス企画よありがとう。レンタルの順番を待ってたらこんなに見るのが遅れましたが、これなら買ってもよかったかも。
同じギリアットの「絶壁の彼方に」もDVD化して欲しいなあ…これも凄く物語が面白いと聞いているのだけど。
日本未公開の英国製スパイ・サスペンス・アクション。
ポーランド、ズデーテン、チェコスロヴァキアへと、次々とナチスドイツの魔手が伸び、風雲急を告げる大戦前夜の欧州。軍用技術を渡すまいとドイツ軍の鼻先から逃亡したチェコの科学者は英国に匿われるが、その娘アンナ(マーガレット・ロックウッド)は間に合わず強制収容所に送られる。アンナは同じように収容所に囚われた青年カール(ポール・ヘンリード)に助けられて脱走し、英国の父を探すが、それも実はドイツ軍の罠だった。
父娘はまとめて拉致されるが、二人を奪回するため英国情報部のランドール(レックス・ハリスン)は命がけでドイツに潜入する。ミュンヘン行きの列車で護送される二人と、ドイツ軍人に化けたランドール。英独スパイの攻防の行方は…。
実写フィルムの転用くさい映像で幕を開ける時局的スリラー。あれよあれよという間にドイツ侵攻、亡命の段取り、娘は逮捕、脱走計画…と、大変テンポよく物語は進んでゆく。そして、ストーリーの一大転回点、「ドイツ軍の罠」がパッと観客の目にひらける、眼科医でのシークェンスが実に素敵だ。なんというか、脚本家(シドニー・ギリアット)ノッて書いてるよなあ、この工夫(身元確認の工夫)…という気がする。スパイVSスパイ、狐と狸の化かしあいは、あまり細かくストーリーを書いてはこれから見る人につまらないだろうからグッとこらえるが、まだ若くてひょろひょろしたハリスンの、めりはりの効いた化けっぷりと演技は何とも楽しい(ユルそうなセーター姿、キレ者っぽいスーツ姿、タカビーなドイツ軍人姿…)。しかし顔があまりに長いせいか、あのカッコいいドイツ軍服が意外に似合っていないのが笑える。まあ、いかにも英国紳士らしいスターというのは、たいていドイツ軍服が似合わないんだけど(笑)
これまた若々しい、ポール・ヘンリードの端正さも対照的でイイ。
だがやっぱりお楽しみは「バルカン超特急」以来再登場のクリケット狂二人組、チャータース(ベイジル・ラドフォード)&カルディコット(ノーントン・ウェイン)の、ちょっと大きくなった存在感!
いきなりこの映画で見ると、そりゃご都合主義的に頼もしすぎるんじゃ、と思う向きもあるでしょうが、「バルカン…」終盤の意外な(笑)頼もしさを知っていると、素直に楽しめちゃいます。かなり主体的に、ハリスンの正体をめぐるサスペンスを引っ張ったり、アクションで助太刀したり、大活躍。ああ、なんだか他のチャータース&カルディコット映画が見たくなってきてしまった…ソレだけで見るとつまんないのかもしれないけれど(あるんですよ!http://13374.diarynote.jp/201101172358341619/参照)。
もともと身元を偽ったり誤魔化したりする系のサスペンスやコメディが大好きなので(「熱砂の秘密」とか)、この映画はむちゃくちゃツボにハマって楽しめました!
異論はあるかもしれませんが、ねちこいヒッチコック・スタイルのサスペンスより、スピーディなこちらの方が私は好みです。
「マイ・フェア・レディ」のレシタティヴォ・スタイルではなく割と普通に流行歌を歌ってみせるハリスンが見れたのもちょっと珍しくて嬉しかった。いやー、ジュネス企画よありがとう。レンタルの順番を待ってたらこんなに見るのが遅れましたが、これなら買ってもよかったかも。
同じギリアットの「絶壁の彼方に」もDVD化して欲しいなあ…これも凄く物語が面白いと聞いているのだけど。