1931年、ウィリアム・A・ウェルマン監督作品。

ジェームズ・キャグニーの出世作。さすがは30年代も初頭の作品、メイクとかファッションの古めかしさは30年代を知るお楽しみだが、音楽部分の地味さに時代を感じる。
しかし、若きキャグニーのピチピチ、イキイキっぷりは文句なしに鮮やか。下町の元気な不良少年キャグニーが、親友(エドワード・ウッズ)と共に仲良くたどるギャング道まっしぐら、乱暴な若者なのだが愛嬌もある(キャグニーだから!)。街で美女ジーン・ハーローを見つけて、ひとわたり口説いて電話番号とか教えて別れたあと、車に乗り込む前に軽くステップを踏んで見せるあたりにはヴォードヴィルの素養も見せてくれる。

もうほんとに何も考えてないなって感じのお袋さん(ベリー・マーサー)も、真面目な長兄(ドナルド・クック)より次男の方が可愛いんじゃないかってくらい。この兄は働きながら夜学へいき、事あるごとに弟に説教し、汚い金は受け取らないとはねつけ、戦時中は志願して従軍しちゃうような出来杉君なので、最後にはちょっと気の毒かもと思うくらいなのだが(笑)、彼ですら、弟が可愛くないわけでは決してないらしい。
勿論ギャングの末路は、多少反省しようがやっぱり決まっているのだが…

情婦の顔にグレープフルーツを押しつけるシーンは有名だそうだ。そういや後年の「ワン・ツー・スリー」でも、キャグニーが食卓のグレープフルーツを見て手に取ろうかどうしようかという態度を見せるクスグリがありましたっけ(笑)

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