1955年、スタンリー・ドーネン&ジーン・ケリー監督作品。スカパー録画で視聴。
ようやく第二次大戦が終わり、除隊してきた三人の兵士、テッド(ジーン・ケリー)、アンジー(マイケル・キッド)、ダグ(ダン・デイリー)。最後の夜を飲み明かし踊り明かし(ミュージカルだから!)、なじみのバーで、「10年後に再会だ、10年後もきっと親友さ!」と別れてゆく。
さて10年後。それぞれ、10年前の夢とはズレた人生を送っている三人は、期待や不安を抱きつつ約束のバーにやってくるが、再会は、期待したほど楽しくない。
大学出で、政治家か弁護士になる!とぶちあげていたテッドは、戦時中に婚約者に逃げられたこともあり、ギャンプルで手に入れたボクシングジムの経営者という意外にヤクザな暮らしをしている。画家になる夢を諦めたダグは広告会社の重役として裕福にはなったが妻との仲はギクシャク中で胃痛に悩まされている。一流シェフを目指したアンジーは「コルドン・ブルー」という名のハンバーガーショップを経営、子沢山で一番幸せそうだが財政的には一番貧しそう。生活環境がかけはなれたため話も弾まないが、なによりも、三人とも夢破れた今の自分に不満や悔いを抱いていることが、輝かしかった筈の友情に影を落としているのだ。
そんな彼らの『感動の再会』を、テレビ局が生番組のネタにしようとする。サプライズゲストとしてスポットを当てられた三人は憮然とするが、その日の試合で行われるはずだった八百長を止めたテッドに仕返ししようと、業界の黒幕と手下が会場に乱入!大乱闘となる中、三人の元戦友は昔のように、力を合わせて戦う。
あらためてお互いの心情を知り、友情を確かめ合った彼らは、さらなる再会を約して、ふたたび別れ行くのだった…
ほろ苦いリアリズムと、ミュージカルならではの底抜けの楽しさがバランスよく同居した得がたい後味の作品だった。
こりゃ、オハナシ自体は「雨に唄えば」よりいいんじゃないか!!
男の友情がテーマとあって、アステア派の私も、こういう話ならケリーだなぁ、と納得である。
ワイドスクリーンを跳ねまわるケリー、キッド、デイリーの身長差が楽しい。男三人ではっちゃけて踊りまくる(足にはゴミ箱の蓋をはいて)、というようなのはやはりケリーの領分だ。冒頭のGIスタイル三人のダイナミックなダンスはもちろんだが、三人がそれぞれに再会の落胆を歌ったり踊ったりの場面はワイド画面を三分割。57年の「パリの恋人」の観光シーンでも使われたテクだが、ワイドスクリーンはロケで大作感を打ち出すのに使うよりは、こういう小技で使うほうがミュージカルにはいいと思うなあ。少なくとも私は。
振付師としてより有名になったキッドはキレのいい動きでケリーに迫っているが、ドナルド・オコナーほど個性の差が感じられないのは惜しい。ダン・デイリーは体格差だけで並べる意義があるし、歌なら三人の中で一番かな、と思いつつ見てたが、酔っ払ってディナーの席で暴れまわるソロでも結構イケる。やっぱり50年代の皆さんはみな達者だわ~。
この作品で一番有名なのはケリーがローラースケートはいて踊る場面だろう。なに、スケート靴ならアステア様だってもっと前にはいて踊ってるさ、とは思ったが、ここでは「彼女が僕を好き、だから僕も僕を好きになれる」と、作品テーマにも意外と直結した歌曲が配されていたのに感心した。映画全体で見たほうがより感動のナンバーだったのね。
女性陣はまず、才色兼備の番組担当者ジャッキー(シド・チャリシー)、クールな美貌でケリーと丁々発止のやりとりをかわすが、直接彼とじっくり踊る場面がなかったのはちょっと残念。そのくせボクシングジムのオッサンたちとは踊るのだが。あと、生番組のホステス・マデリン(ドロレス・グレイ)は番組内のショーということでステージで二曲も歌い踊る。パワフルなショウマンシップだが、凄い美人てほどじゃない…舞台から来た実力派?
結局は、男どうしの踊りがメインでしたな。だってテーマが男の友情だし。
男の友情は永遠か?人生も夢もままならないけど、救いはどこに?
オトナのおとぎ話、というけれど、「オトナの」部分にも十分説得力のあるオハナシになっていました。随所に皮肉がきいていながら、結局は前向きなメッセージを訴えているのが嬉しい。
初期(当時の、ですが)のTV局の内幕話も盛り込んだところも新鮮。ピンチを脱するのにTVの力も利用するのね。そんなところも、「雨に唄えば」とある意味比肩できる作品と呼べるかも。
いやーよかった。予想を超えて(笑)…予想超えた分つい★おまけしちゃった。
なんでこんないい作品が国内ではDVDもVHSも出てないのかしらん(海外では出てる)。
とりあえず、日本アマゾンで買える輸入版VHSリンクだけ書いておきます。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/6301969111?ie=UTF8&tag=boatswascot-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=6301969111
ようやく第二次大戦が終わり、除隊してきた三人の兵士、テッド(ジーン・ケリー)、アンジー(マイケル・キッド)、ダグ(ダン・デイリー)。最後の夜を飲み明かし踊り明かし(ミュージカルだから!)、なじみのバーで、「10年後に再会だ、10年後もきっと親友さ!」と別れてゆく。
さて10年後。それぞれ、10年前の夢とはズレた人生を送っている三人は、期待や不安を抱きつつ約束のバーにやってくるが、再会は、期待したほど楽しくない。
大学出で、政治家か弁護士になる!とぶちあげていたテッドは、戦時中に婚約者に逃げられたこともあり、ギャンプルで手に入れたボクシングジムの経営者という意外にヤクザな暮らしをしている。画家になる夢を諦めたダグは広告会社の重役として裕福にはなったが妻との仲はギクシャク中で胃痛に悩まされている。一流シェフを目指したアンジーは「コルドン・ブルー」という名のハンバーガーショップを経営、子沢山で一番幸せそうだが財政的には一番貧しそう。生活環境がかけはなれたため話も弾まないが、なによりも、三人とも夢破れた今の自分に不満や悔いを抱いていることが、輝かしかった筈の友情に影を落としているのだ。
そんな彼らの『感動の再会』を、テレビ局が生番組のネタにしようとする。サプライズゲストとしてスポットを当てられた三人は憮然とするが、その日の試合で行われるはずだった八百長を止めたテッドに仕返ししようと、業界の黒幕と手下が会場に乱入!大乱闘となる中、三人の元戦友は昔のように、力を合わせて戦う。
あらためてお互いの心情を知り、友情を確かめ合った彼らは、さらなる再会を約して、ふたたび別れ行くのだった…
ほろ苦いリアリズムと、ミュージカルならではの底抜けの楽しさがバランスよく同居した得がたい後味の作品だった。
こりゃ、オハナシ自体は「雨に唄えば」よりいいんじゃないか!!
男の友情がテーマとあって、アステア派の私も、こういう話ならケリーだなぁ、と納得である。
ワイドスクリーンを跳ねまわるケリー、キッド、デイリーの身長差が楽しい。男三人ではっちゃけて踊りまくる(足にはゴミ箱の蓋をはいて)、というようなのはやはりケリーの領分だ。冒頭のGIスタイル三人のダイナミックなダンスはもちろんだが、三人がそれぞれに再会の落胆を歌ったり踊ったりの場面はワイド画面を三分割。57年の「パリの恋人」の観光シーンでも使われたテクだが、ワイドスクリーンはロケで大作感を打ち出すのに使うよりは、こういう小技で使うほうがミュージカルにはいいと思うなあ。少なくとも私は。
振付師としてより有名になったキッドはキレのいい動きでケリーに迫っているが、ドナルド・オコナーほど個性の差が感じられないのは惜しい。ダン・デイリーは体格差だけで並べる意義があるし、歌なら三人の中で一番かな、と思いつつ見てたが、酔っ払ってディナーの席で暴れまわるソロでも結構イケる。やっぱり50年代の皆さんはみな達者だわ~。
この作品で一番有名なのはケリーがローラースケートはいて踊る場面だろう。なに、スケート靴ならアステア様だってもっと前にはいて踊ってるさ、とは思ったが、ここでは「彼女が僕を好き、だから僕も僕を好きになれる」と、作品テーマにも意外と直結した歌曲が配されていたのに感心した。映画全体で見たほうがより感動のナンバーだったのね。
女性陣はまず、才色兼備の番組担当者ジャッキー(シド・チャリシー)、クールな美貌でケリーと丁々発止のやりとりをかわすが、直接彼とじっくり踊る場面がなかったのはちょっと残念。そのくせボクシングジムのオッサンたちとは踊るのだが。あと、生番組のホステス・マデリン(ドロレス・グレイ)は番組内のショーということでステージで二曲も歌い踊る。パワフルなショウマンシップだが、凄い美人てほどじゃない…舞台から来た実力派?
結局は、男どうしの踊りがメインでしたな。だってテーマが男の友情だし。
男の友情は永遠か?人生も夢もままならないけど、救いはどこに?
オトナのおとぎ話、というけれど、「オトナの」部分にも十分説得力のあるオハナシになっていました。随所に皮肉がきいていながら、結局は前向きなメッセージを訴えているのが嬉しい。
初期(当時の、ですが)のTV局の内幕話も盛り込んだところも新鮮。ピンチを脱するのにTVの力も利用するのね。そんなところも、「雨に唄えば」とある意味比肩できる作品と呼べるかも。
いやーよかった。予想を超えて(笑)…予想超えた分つい★おまけしちゃった。
なんでこんないい作品が国内ではDVDもVHSも出てないのかしらん(海外では出てる)。
とりあえず、日本アマゾンで買える輸入版VHSリンクだけ書いておきます。
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