黄色いロールスロイス
2009年6月12日 映画 コメント (4)
1964年、アンソニー・アスキス監督作品。
意外とほろ苦い後味はテレンス・ラティガンの脚本だから?。
黄色いロールスロイスをめぐる豪華キャストのオムニバス映画で、時代も場所も違えた三つの物語からなる。
(第一話)英国外務省の大物フリントン侯爵(レックス・ハリスン)は愛妻(ジャンヌ・モロー)に贈るべくピカピカの新車を購入する(いわゆるクラシックカーの時代である)。だが、黄色いロールスロイスは彼女と若い愛人(エドマンド・パードム)の情事の場に使われ、傷心の侯爵は車を返品する。
とにかくレックス・ハリスンが素晴らしい。紳士らしく貴族らしく、ぐっと自分を押さえた中に情感のにじむエレガントな演技で魅せる。なんでこんなに素敵で金持ちで自分を大事にしてくれるダンナがいてあんな青二才にころぶのか全く分からない。ジャンヌ・モローってあまり好きじゃないし。…ただ、「全く分からない」と妻自身も思っているらしいのは、オハナシとして納得がいかないでもない。
(第二話)イタリアへ里帰り中のマフィアのボス(ジョージ・C・スコット)はいつもつまらなそうにしている愛人メイ(シャーリー・マクレーン)の機嫌をとるべく、中古だがお高い黄色いロールスロイスを購入するが、抗争の都合で、自分だけ一時帰国することになる。留守番のメイは観光客相手のハンサムなカメラマン(orジゴロ?)、ステファノ(アラン・ドロン)の求愛に次第に心を動かされるが…
マクレーンは「いかにも」な役どころを着実に。スコットは、マフィアだし粗野な男と思いきや、意外な細やかさで彼女に執着しているのだった…めちゃくちゃ意外でした、こんな味わいも出せるとは。そして二人に付き添う運転手兼ボディガードのアート・カーニーがまたいい味。
エドマンド・パードムなんぞに比べれば、まだ20代のアラン・ドロンの可愛い顔といったらそりゃもー天使のようで、女が少々人生を狂わせても無理もないという気がするが、彼の最良の部分は引き出せてない感じ。本来、ちょっと影のある所が彼の魅力の鍵なのに、役柄はご陽気そのものなイタリアンだし…。芸達者揃いのアメリカ・トリオのバランスがぴたりと決まりすぎて、ちょっと彼だけ浮いている。それと、英語、吹替えじゃないかという気がして仕方がない。ドロンはもっといい声じゃなかったかなぁ。
(第三話)さらに数年後。滞欧中の富豪未亡人ゲルダ(イングリッド・バーグマン)は、中古の黄色いロールスロイスを購入し、旧知のユーゴスラヴィア王家を訪ねようとする。そこへ強引に同乗を願い出る謎めいた男ダヴィッチ(オマー・シャリフ)。祖国のために急ぎ帰国しなければならない、と言うが、官憲には追われているようだし?
だが、ユーゴのホテルに投宿した途端に爆撃が。ナチスドイツの侵攻が始まったのだ。運転手も逃げ出す中、ゲルダは意外なオトコマエっぷりを発揮し、自ら車を運転して怪我人を運んだりパルチザンを集結させたり、大冒険の日々の中、ダヴィッチとの恋も燃え上がるが…
妙にサバサバとしたバーグマンは面白いし格好いいが、もう少しダヴィッチが誰なのか教えてくれればいいのに…
あえてさらっと流したラストだが、ちょっと消化不良感をおぼえた。ベタでも三話目くらい、少しはハッピーエンドの予感とか可能性とか語ってほしいのよね。ほろにが三連発だからさ。
スターたちの共演、明るく美しい色彩の観光映画としての魅力(お洒落なクラシカル・ロンドンと緑のカントリーサイド、光溢れるイタリアの遺跡と景観、清々しい東欧の高原…)。
今は存在しないであろうような、のんびりとゴージャス感のある作品だった。
…もしかしたら制作当時でも、ある意味古めかしい作風であったかもしれないが。
意外とほろ苦い後味はテレンス・ラティガンの脚本だから?。
黄色いロールスロイスをめぐる豪華キャストのオムニバス映画で、時代も場所も違えた三つの物語からなる。
(第一話)英国外務省の大物フリントン侯爵(レックス・ハリスン)は愛妻(ジャンヌ・モロー)に贈るべくピカピカの新車を購入する(いわゆるクラシックカーの時代である)。だが、黄色いロールスロイスは彼女と若い愛人(エドマンド・パードム)の情事の場に使われ、傷心の侯爵は車を返品する。
とにかくレックス・ハリスンが素晴らしい。紳士らしく貴族らしく、ぐっと自分を押さえた中に情感のにじむエレガントな演技で魅せる。なんでこんなに素敵で金持ちで自分を大事にしてくれるダンナがいてあんな青二才にころぶのか全く分からない。ジャンヌ・モローってあまり好きじゃないし。…ただ、「全く分からない」と妻自身も思っているらしいのは、オハナシとして納得がいかないでもない。
(第二話)イタリアへ里帰り中のマフィアのボス(ジョージ・C・スコット)はいつもつまらなそうにしている愛人メイ(シャーリー・マクレーン)の機嫌をとるべく、中古だがお高い黄色いロールスロイスを購入するが、抗争の都合で、自分だけ一時帰国することになる。留守番のメイは観光客相手のハンサムなカメラマン(orジゴロ?)、ステファノ(アラン・ドロン)の求愛に次第に心を動かされるが…
マクレーンは「いかにも」な役どころを着実に。スコットは、マフィアだし粗野な男と思いきや、意外な細やかさで彼女に執着しているのだった…めちゃくちゃ意外でした、こんな味わいも出せるとは。そして二人に付き添う運転手兼ボディガードのアート・カーニーがまたいい味。
エドマンド・パードムなんぞに比べれば、まだ20代のアラン・ドロンの可愛い顔といったらそりゃもー天使のようで、女が少々人生を狂わせても無理もないという気がするが、彼の最良の部分は引き出せてない感じ。本来、ちょっと影のある所が彼の魅力の鍵なのに、役柄はご陽気そのものなイタリアンだし…。芸達者揃いのアメリカ・トリオのバランスがぴたりと決まりすぎて、ちょっと彼だけ浮いている。それと、英語、吹替えじゃないかという気がして仕方がない。ドロンはもっといい声じゃなかったかなぁ。
(第三話)さらに数年後。滞欧中の富豪未亡人ゲルダ(イングリッド・バーグマン)は、中古の黄色いロールスロイスを購入し、旧知のユーゴスラヴィア王家を訪ねようとする。そこへ強引に同乗を願い出る謎めいた男ダヴィッチ(オマー・シャリフ)。祖国のために急ぎ帰国しなければならない、と言うが、官憲には追われているようだし?
だが、ユーゴのホテルに投宿した途端に爆撃が。ナチスドイツの侵攻が始まったのだ。運転手も逃げ出す中、ゲルダは意外なオトコマエっぷりを発揮し、自ら車を運転して怪我人を運んだりパルチザンを集結させたり、大冒険の日々の中、ダヴィッチとの恋も燃え上がるが…
妙にサバサバとしたバーグマンは面白いし格好いいが、もう少しダヴィッチが誰なのか教えてくれればいいのに…
あえてさらっと流したラストだが、ちょっと消化不良感をおぼえた。ベタでも三話目くらい、少しはハッピーエンドの予感とか可能性とか語ってほしいのよね。ほろにが三連発だからさ。
スターたちの共演、明るく美しい色彩の観光映画としての魅力(お洒落なクラシカル・ロンドンと緑のカントリーサイド、光溢れるイタリアの遺跡と景観、清々しい東欧の高原…)。
今は存在しないであろうような、のんびりとゴージャス感のある作品だった。
…もしかしたら制作当時でも、ある意味古めかしい作風であったかもしれないが。