【文楽】通し狂言・伊賀越道中双六 第一部
久々に、めぐってきました秋の文楽シーズン。
今回も通し狂言を、一日通しで見る勇気(体力的に)がなくて、二日に分けての観賞です。
昨日終われなかったシゴトがあって、職場にちょっと行ってから、大慌てで日本橋へ。
職場、千日前線沿いなので(^^;)

荒木又右衛門で有名な“鍵屋ノ辻”の仇討を元ネタにした物語という。荒木又右衛門の名はさすがに知ってるが仇討内容までは実はよく知らない。そして、あまり予習しすぎても驚けないから~、と、ユルい気分で席に着く。ド近眼な私は今回も2列目、少し床寄りというところ。
このへんだとホントに人形が表情まで良く見える♪

さて、幕が開くと、とざいとーざいがなくていきなり話が始まっていてびっくり。冒頭の段は顔も見えない(2Fすだれの向こう?)若手オンパレードで、物足りなさはあるが、腰元たちのキャッキャ下ネタ雑談は、妙にハマっている…若くてまだ声のトーンが高いから。
美青年だが正直頼りない青年和田志津馬が、悪人面の沢井股五郎にハメられる。色男、○と○はなかりけりとか言われるが、足りないもの多すぎるんじゃないのコイツ。志津馬の父行家をバッサリ斬っちゃう大悪党股五郎の図々しさ図太さのほうがいっそすがすがしいくらい(爆)

とはいえ文楽人形の美男美女はほんとに美男美女だよなあ。クールジャパンは江戸時代既に始まっていたんだなと思う。だってアメコミとか外国のアニメとか外国の人形劇の人形のカオって、全然美男美女かわいこちゃんなんていないもんなぁ。一方、それを操る人形遣いさんたちは、ロマンスグレイ・オンパレードですけどね。和正装のロマンスグレイがたくさん、私には目の保養です。
歌舞伎には今のところ興味が全くないのは、浄瑠璃という以上に人形と人形遣いさんの魅力にハマっているからなんでしょう。

そして、頼りない志津馬をたしなめ励まし、股五郎と正面切って戦うのは、行家の弟子、丹右衛門(玉志さんロマンスグレイ)。人質交換で股五郎の老母鳴海とのやりとりは泣かせます。前半、いや前座のヒーローは丹右衛門ですな。そして三つ目の「段」でやっと出てくる荒木ならぬ唐木政右衛門は、やっぱりという感じでこれもロマンスグレイ玉女さん(去年は大石内蔵助だった)。柄が大きくていかにも豪傑。だけど江戸時代的に無茶(それもこれも仇討のためではあるが)ばかり言う困った人。
まあ、人が良くノリの軽い老武士て感じの五右衛門(政右衛門やお谷が世話になった人)だって、政右衛門に「明日腹を切ってくれ」と頼まれたら急にシャキーン!と姿勢を正してしまうからなあ。まあ時代もあるし、浄瑠璃台本って書いてるのは町人だから、理想化して拡大解釈したブシドーを描いていて、当時でも既にファンタジーだったのかなとか思ったりすると面白い。

一番困らされるのは妻のお谷さん=和生さん。私にとっては「大人の女」役のイメージが強い吉田和生さんは今回、もう一人の二枚目代表(ただし骨あり)呉服屋十兵衛も演ってて大活躍でした。「おきゃんな可愛い娘役」のイメージが強かった勘十郎さんは十兵衛の生き別れの老父平作で、笑わせたり泣かせたり…第一部最後の千本松原の段も泣けたなあ。前半の老いぼれヨロヨロ人足っぷりがとても可笑しくて、そのぶん後半が…
ここは語りも人間国宝住大夫さん。リハビリはまだされているらしくて、パワフルとはいえないけれど、お念仏のところなんか静まり返って、しんしんと心にしみました。
なんだかだいって老母と老父が印象的な第一部でした。

まああと蓑助さんのお米も、やっぱりこの人の美女は貧しくても気品が隠せないねぇ…

うふふうふふと夢心地で帰ってきました。
もう一度職場へ戻ったほうがいいかもしれなかったけど、それはもうヤだって思ったし(爆)

第二部は来週行きます。楽しみだ~♪

お気に入り日記の更新

日記内を検索