1959年、J.リー・トンプソン監督作品、モノクロ。イギリス映画。
スカパー録画で視聴。KEEPからもワンコインDVDで出ているようですが。

ウェールズの港町。船を降りたポーランド人青年コチンスキー(ホルスト・ブッフホルツ)は、恋人の待つ家を目指すが、彼女の心変わりを知り口論するうちはずみで殺してしまう。それを11才の少女ギリー(ヘイリー・ミルズ)が目撃した。叔母に引き取られて暮らす孤児のキリーは、大人には嘘つきと嫌われ、子どもの世界でも仲間はずれの孤独なひねくれ者。根は純情な青年に親しみを覚えたキリーは、警察官(ジョン・ミルズ)の尋問ものらりくらりとかわし、彼をかばうのだが…

妙にのんぴりホノボノしたメインテーマに最初違和感を覚えたが、青年と少女が野山に隠れて次第に親しくなる場面の描写にはしっくり。そして中盤のホノボノから一転し、国外脱出を目指す青年と警察と少女が船上に顔をそろえての、終盤のサスペンスがまたよろしい。

初見のヘイリー・ミルズ、天才子役の噂はきいていたが、寒々とした港町での生活に、幼いなりにすっかり絶望しているさまを鮮やかに演じきるのがさすがだ。イマイチ目がギョロギョロしていて可愛くないのだが、最終的にはすっかりハートを「やられて」しまった。ホルスト・ブッフホルツは、ちっともイイと思ったことがなかったのだが(「荒野の七人」「ワン・ツー・スリー」等)、なぜかこの映画では可愛く見えた。まあ、どこか大人になりきれてないような青年で頭悪そうでOKな役(ヒドイ)だし、ヘイリー・ミルズに引き回される設定がよかったのかも。いやぁ、どんなに小さくても女は魔物ですね(笑)…私は例外だけど。
ジョン・ミルズ(ヘイリーの実父)はひたすら渋い。すごーくイギリス的に渋いです。こんなオジサンがいっぱいいるんですよねイギリス。こういう警官が手強いんですよ。

ドキドキサスペンスの最後はしんみり。地味で暗めだけど後味はよい、素敵な映画でした。

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