1997年、マーサ・クーリッジ監督作品。ジャック・レモンとウォルター・マッソーの黄金コンビであと一本!という高年齢コメディ。日本では劇場未公開?

40過ぎたドナルド・オコナーなど見たくない!とか無茶を叫んでいた私だが、ドンキホーテで300円で売っていたので、ウッカリ買ってしまった(71歳)。勿論主役ではないが、オコナー最後の出演映画なんである。しかも多少は踊るらしい…かえって複雑だ。
まだ数枚、未入手の若い頃の映画とかTVのDVDはなくもないのだが(全て字幕なし海外盤)…迷いに迷った末に結局、この「カリブは最高!」を見るのが一番最後になってもアレかもしれないな、と思い「先に」見ることにした。
どきどきどきどき…
それに、ウォルター・マッソー嫌いなんですが。くすん。


お話は、「例によって」のキャラ設定、つまりマッソーに振り回されるレモン。
不良老年チャーリー(マッソー)は競馬場ですってんてんになり、義弟ハーブ(レモン)を訪ねてゆく。豪華客船の切符を入手したからタマには楽しもうと真面目な男ヤモメのハーブを強引に誘いだすが、切符は実はタダ券ではなく、船内で"ダンスホスト"として働くためのものだった(パーティ続きの船内で有閑マダム達のダンスパートナーをつとめるというオシゴトだそうな。…なるほど…)。
チャーリーはダンスが踊れないので、いざとなれば踊れるハーブにダンスを教わろうとの目論みだ。ハーブは怒るが船は出港してしまい、違約金を払うよりはとダンスホストをつとめることに。一方チャーリーは真面目にダンスホストをやる気すらなく、嫌われ者のリーダー・ギル(ブレント・スピナー)の目を盗み、資産家のふりをしてリッチな女性乗客を引っかけようと大奮闘。詐欺師まがいのハッタリで、リズ(ダイアン・キャノン)に強引に迫る。一方ハーブも、感じのいい未亡人ビビアン(グロリア・デヘイヴン)と親しくなり…

よく言えば人生にアグレッシブな老人ラブコメディですね(^^;)オチはありきたり。
ただ、アクと押しの強いマッソーの得意キャラは、まさに私の一番苦手なキャラクター(大好きなビリー・ワイルダーも「恋人よ帰れ!わが胸に」だけは二度と見たくない)、なのでマッソーがどう頑張ってもイマイチ笑えないし、それなりに綺麗でグラマーなダイアン・キャノンが(超若作りで、60には見えなかった…凄い)何故彼に引っ掛かるのか全く理解できなくって辛かった。レモンはすっかり髪色が明るくなったが、お手の物の「イイ人」役で気持ちよく見れるが。

オコナーはダンスホスト仲間の一人で、もの静かなたたずまいのベテラン。すっかりその他大勢だなー(涙)と思いながら、レモン・マッソーの背後をお客様と踊りすぎるのをついつい横目で淋しく追っていたが、中盤女性インストラクターと皆で踊る時にちょっとだけタップを見せてくれた。おおぉ、まだこんなに踊れるのね!!!終盤酔った女性客を、さらりと踊らせるワンシーンも、短いながらプロフェッショナルの格好良さだ。
しかし…なんと勿体ない…こんだけの使い方なんて…


でも考えてみると、彼にちゃんと踊らせたら、レモンが霞むわなあ…
「ダンスもうまくて優しくて素敵」とか未亡人に言われてるのが嘘に聞こえてはイカンでしょう。
70代に入りレモンもマッソーもちょっと背中が曲がってきている(レモンとデヘイヴンとオコナーは同年生まれ、マッソーが五歳上)。それに比べるとオコナー、顔も丸くなりお腹も少し出てるけど、背筋はシャンとまっすぐで、全身から控えめな品の良さがにじみ出ていた。現役そのもので若々しい。2003年に心臓麻痺で亡くなっているのが、何とも惜しまれる。

…淋しさ半分、嬉しさ半分で、やっぱり複雑な気分で見終わった。
予想通り、というよりは、嬉しさの比率が多少高かったような気もするが…。
(でも、歌も歌ってほしかったなあ!きっと十分歌えたという気がする)

<追記>
まあ、少し時間がたってみると、記憶に残っているのは、オコナーの、ナゾのスーパーダンスホスト?ぶりだけなんで、見て良かったと言えるのだろう(*^^*)

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