1967年、アンドリュー・V・マクラグレン監督作品。
米盤DVD(英語字幕有)が出てるのは意識していたが、スカパーでやってくれたので録画・視聴。

オレゴンへ向かう開拓者たちの苦難の旅をワイドスクリーンで描いた西部劇である。カーク・ダグラス、ロバート・ミッチャム、リチャード・ウィドマーク(ビリング順。ABC順かも…)と、大物スターを三人も据えたキャストは、60年代後半の斜陽期の西部劇としては立派と言えよう。

1843年に旅立つ幌馬車隊は、ある程度史実にも基づいたものなのだろう。
行く手に立ちふさがる大河、砂漠、山岳、そして絶壁…。それ以上に怖いのが、先住民インディアンたちとのトラブルだ。
女の子にいいとこ見せようとキャンプを離れた少年が捕まって、案内人の尽力で和解の宴席を設けたまではよかったが、今度は開拓者の一人がスー族の子供を誤射してしまう…
犯人を出せ、とどこまでも追ってくるスー族の戦士たち。(しかし、最終的に犯人が判明して吊るされると納得して去ってゆく。白人よりよほどちゃんとしている。60年代後半らしいなあ)
けれども、本当にまずいのは人間関係の亀裂だろう。

隊のリーダーは、妻を亡くし幼い息子と新天地を目指す元上院議員タドロック(ダグラス)。案内人は常に飄々とした、鹿皮服のサマーズ(ミッチャム)。そして、開拓者たちの代表格が、「これ以上はない、という所まで行ってみたい」と開拓者魂を押さえきれず、妻子を連れて隊に加わった農夫ライジ(ウィドマーク)。
タドロックの厳格・強引な指揮は次第に、他の開拓者たちとの間に溝を刻んでゆく。
とはいえ、タドロックにも人間味がないわけではない。息子には優しい父だし、休息の取り方でライジと言い合いをしたあと、ライジの美人妻ベッキー(ローラ・オルブライト)にこっそり自分で作ったオレゴンの“市街地設計図面”を見せて、「厳しい厳しいとしか言われないが、自分には未来へのビジョンがあるし、それを分かち合える相手が本当は欲しいのだ」というようなことを語り、ちょっぴり彼女を感心させる。なるほど、馬を射んとすれば将を射よ、か…と思ったが、ついでに「もしライジがいなくなっても、私があなたを守ってあげよう」とか付け加えるのは、やっぱ人間的に問題かなあ(^^;)
ビジョンを分かち合う努力を、ライバルの妻ばかりに注いでる場合ではなかろうに。まあこの方面はこれきり進展しないので安心だが(笑)

彼の強引さ・厳格さが効果を上げる局面もあるのだが、結局のところ、人々を引っ張っていくものは権威ではない。夢でありビジョンである。そういう意味でも、さすがは元上院議員、正しく「将を射た」のが、物語終盤で効いてくるひと幕(だから彼の強引さも時には必要なんだと…)も、ちゃんとあったりするのであった(笑)

そして、その他のワキの開拓者たちにもちまちまとドラマが配されている。特に、この映画がデビューのサリー・フィールドは目立つ役。ボロっとしたワンピの小娘だが色気づいてきて大変、という役どころ。ライジの気弱げな息子ブラウニー(マイケル・マグリーヴィ)にちょっかいかけたり、新妻とギクシャク中のハンサム青年に熱烈ラブコールしちゃったり、しかもそれらが先住民とのトラブルの遠因になるあたり、ほんと困ったもんである。保守的な私にはウザいばかりの人物設定。
彼女を支えようとするブラウニーは感心な少年だが(そういやこの子、どこかで見た…と思ったら「ガンファイターの最後」の数少ない保安官の味方な孤児だった!)、この映画、大作なのに何となくTVムービー的な軽さを感じるのは群像劇のシナリオが練り込み不足なのでは?

密航者ってそんなイキナリ何?、とか、サマーズが眼を悪くしかけているみたいだけど、とか、タドロック→ベッキー?、とか、何で新妻は夫をベッドに入れないか、とか、終盤傷心のタドロックを気遣う黒人(奴隷?それとも?)は、いつから幌馬車隊にいたんだろうか、とか、シナリオ削ってそのままになっちゃったんじゃないのぉ?と疑惑の浮かぶ点は色々ある。

三大スターは皆きっちり役柄に合ってて、いいんですけどねえ。
ルックスよりも演技力と個性・存在感でノシてきた、強烈な悪役も楽々とこなす曲者ばかりだから、誰がどの役に振られても、不思議はないかもしれないが…(最初にミッチャムが「どの役がいい?」と聞かれたりしたらしい)まあ一番おちつく所におちついたキャストではないかと思う、個人的には。
役柄的には、ヒール気味だが強烈なタドロックや、儲け役っぽいサマーズに比べればライジ役はごく「フツー」かもしれないが、ごひいきウィドマーク様が、タフで陽気な「よき父よき夫」でアクションも適当にやってくれて、というのはミーハーファンとしてはむしろ嬉しい所もある(だって、なまじ上手いもんだから可哀想な末路を辿ること多いから…)。
これでオレゴンへ着いたら「大草原の小さな家」のパパかなー、素敵パパだなー、と目を細める私。まだ体型も身ごなしもけっこうスマートですし☆

そう、変に期待しすぎなければ、なかなか楽しめる映画でありました。

ただ、スカパーだとフルスクリーンだったのね…
こういうのはちゃんとワイドスクリーンで見たかったなあ…!映画館は無理でも。
(一回だけ、学生時代に名画座で見たことはあるのだが…。だからパンフ持ってる)
これはこれで置いておいて、逆に米盤DVD買いたくなりました(笑)
1500円程度だし。

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