サラ・ムリノフスキ著。
マジカルハイスクールライフ、第三弾。

前作ラストで、妹だけでなく自分にも魔力が眠っていたと気づいたレイチェル。
嬉しくて、初心者なため暴走しがちなその魔力を、ついつい使っちゃ墓穴を掘る毎日(笑)
今回は初めてのサマーキャンプ参加で(しかも大好きなラフも参加している。二人の仲を修復するチャンス!)、ワクワクるんるんハイテンションなヒロインは、社交ベタな妹ミリから眼を離しているすきに、ミリともラフともたいへんなことに。思いがけない大ピンチの裏側には意外な事実が…

元気なジコチューヒロイン(笑)、相変わらずの困ったチャンですがにくめない。基本はいい子なので、いざとなれば我欲を捨てて大きな決断もする。終盤のぐいぐい引き込むカタストロフの勢いは凄い。真面目でえらく社会派理想家肌で(キャンプ行くよりホームレス救済計画を練りたいらしい)、姉とどっちが大人?なミリにも、コンプレックスがあったのは意外でもあり納得でもあり。そして、一連の事件の背後には、淋しい少女たちの思いが。

反省とともに事態の解決に貢献もするヒロイン、今回の名言(ついついミリを放っていた言い訳)は「でも、わたしはティーン・エイジャーだよ!ティーンっていうのは、自分の事で頭がいっぱいなものじゃん!」
…ごもっともです。ごもっともすぎて笑える。まだ14~15才なんだもんね。
実際、家族に対してのほうが、ニンゲン容赦がなくなるもんです、愛情があってさえ。
すごくわかるよ(笑)

とはいえ、レイチェルの反省と、家族愛の再確認は、まったく真摯なもの。
読後感のさわやかさは、このシリーズの魅力です。続き、あるのかな?
以上。
1939年、ジョン・フォード監督作品。モノクロ。
スカパー録画で視聴。DVDにはリンカーンとあるが公開時邦題はリンカンだからね。
イリノイ州の田舎町、新米弁護士として一歩踏み出したばかりのリンカーン青年とその「最初の事件」を描くドラマ。

貧しい青年リンカーン(ヘンリー・フォンダ)は、独学で法律を学び、先輩弁護士の事務所に席をもらって法曹生活を開始する。先行きはあやしいが、亡き恋人アン(ポーリン・ムーア)のくれた励ましが心の支え。ある時、パレードで賑わう町で殺人事件が起こる。町の男がよそ者に殺されたとあって、容疑者のクレイ兄弟は興奮した町民にリンチされかける。弁舌によりリンチを阻止したリンカーンは、困難を覚悟で兄弟の弁護も引き受けるが…

有名人を演じるとあって顔は結構メイクで変形させてる(いつもより鼻がでかい(笑))が、いつもながらの長い足をゆるりゆるりと動かすフォンダ、このスローモーさでもって茫洋とした田舎者ぶりに知性と強い意志を秘めて、という造型はさすがだ。リンカーンも長身だし野良仕事で鍛えてた史実があるので、訥々とした中にユーモアをまじえた「説得力」に加え、流れによっては「ヨシ、拳で来るか!?」みたいなやりとりでかわすのもありだよね。

死んだ男は昼間、一家でパレードを見に来ていたクレイ家の若妻に散々ちょっかいを出していた。観客には裏の様々な事情(特に容疑者一家の美しい家族愛)がよく見えるのだが、町民は誤解と身びいきを重ねて激昂するのがもどかしさを盛り上げる。兄弟が互いを庇いあうためかえって両者とも縛り首になりそう、という困難な事件を、弁護士一年生のリンカーンがどうこなすか?と、物語の後半は法廷ドラマの面白さがあふれている。

励ましてくれた初恋の女性との挿話は、えっ、と驚くほど一瞬で終わるのだが美しいテーマ曲があり、折々にリンカーンの背骨を支える思い出として情感を盛り上げる。開拓者一家、特に深い愛情と公正な心の間で揺れる母親(アリス・ブラディ)に対して見せるリンカーンの好意もほのぼのと美しく描かれて、「様式美」なんだがそれが何とも心地よい。母親と初恋の彼女が偉人リンカーンを創ったというのか。マチズモの代表みたいなフォードだけど、こういうのはいつもうまいね(笑)
ラスト、野原を歩むリンカーンに雷鳴が重なり、「この人物とこの国の将来」を暗示するのも心地よい様式美で、アメリカ人はほんとにリンカーンが理想なんだなあ(フォードの「シャイアン」とか、キャプラ作品とかいろいろと…)。少なくとも前世紀は。今はどうなんでしょう。

あと、やり手の検事役にドナルド・ミーク。いつもは「キョドりまくってる弱々しいピュア善人オジサン」で目を引くのだが、小柄だが堂々たる弁士ぶりを見せてくれて、うーんやっぱり名優は何でも出来るなあ。リンカーンが感心して「政界に出ればいいのに」「いや、私は正義のためにここにいるのだ」と、敵手だけど悪役では決してない、ある意味彼も遵法の文化を体現した存在だよね。

民主主義(とそれを体現する男リンカーン)への敬意と憧憬を、みずみずしい情感をこめて、しかも法廷サスペンスとユーモアもオマケにつけて描き出した佳作。
心があらわれました。

わお!

2011年11月28日 映画 コメント (2)
わお!
ジュネス企画がやってくれました(もっと安いトコだと更に嬉しかったのですが…)。

http://www.jk-cinema.com/

アステアの数少ない未DVD化かつ日本未公開なミュージカル「ヨランダと盗賊」がDVD化されます。
発売日は2/27。
うれしいなったらうれしいな。ひょっとしたらレンタルで誤魔化すかもしれないけどうれしいな♪
高殿円著。
トッカン(特別国税徴収官)シリーズ第二巻。今回も結構一気読みしてしまった。
働く女たちのホンネがズバズバ胸に迫ります(笑)

鬼の(でも大事な)上司・鏡が、担当の滞納者を恫喝して自殺に追い込んだとして、遺族(+勤労商工会の弁護士)に訴えられかけて…しかし、ぐー子自身もややこしい案件にかかっていてなかなか動けない。なぜだかろくに自衛の姿勢を見せない鏡だが…
ハスキー上司VSチワワ弁護士の対決の行方は?

チワワ弁護士、ヤな奴なのだがなぜか時々ぐー子にヒントをくれる。かなりひねくれているが今のチワワになるまでにはそれなりのトラウマもあるような。とはいえヒロイン・ぐー子がキレて彼に投げつける言葉は、…●●●に投げつけたいとか思う私はどーかしてますでしょうかね。
うっとこよりもっとビターでハードな公務員ヒロイン、がんばってほしいです。どうもまだまだ続きそうなヒキあり。

そして、最後でいきなり満池谷なんて地名が出てきて仰天。
まんちだに!私は西宮生まれなので、桜といえば夙川&満池谷だ。
まんちだに、と聞くだけで頭の中に桜満開になった。驚いた。高殿さん西宮に縁のある方だったんでしょーか。ラノベからそこそこ読んでいるんだけど気づかなかったなあ。
とみなが貴和著。

クールな若き心理捜査官が、連続爆弾魔を追う話。主人公は天才な上に男装の麗人(♀)。
ちょっとひねってるのは、過去の事件で重傷を負った際に記憶障害を起こし五歳児なみになっている元相棒(♂)の世話をしている、という設定。しかもこの相棒、心は五歳児でもバリバリに超能力者(過去の因縁は続巻回しにしてかなり出し惜しみされている)。
大量に反則をぶちこんでいるが(大ケガするたびそれを補う超能力を発現する男、しかも非常にフツーでポジティブなメンタリティの持ち主って、凄すぎ)、ヒロイン側と犯人側とのカットバックがなかなかサスペンスフルでよかった。偶然犯人がヒロインと相棒を目撃してちょっかいを出したりというのもいい。

続きも読んでみようっと。10年以上前の作品なので、スカイツリーは爆破されないが、レインボーブリッジはやられたそうな(笑)。
神坂一著。

中身はないんだけど、いつものお笑いで、さらっと心の休憩スポット。
それ以下でもそれ以上でも…
すまっしゅになってからの3冊の中ではやや落ちるかな?

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