1941年、アレクサンダー・ホール監督作品。モノクロ。
スカパー録画で視聴。Foxシネマにしては画質もいい(爆)
チャンプへの挑戦を夢見るボクサー、ジョー(ロバート・モンゴメリー)。
ところがある日事故にあった彼は、天国からの新米使者(エドワード・エヴェレット・ホートン)の勇み足で、まだ寿命があったのに魂を回収され、ミスだとわかった時には肉体は火葬に付されてしまっていた。使者の上司の係官(クロード・レインズ)はジョーに対して、代わりの肉体の提供を申し出る。ジョーはとりあえず、不仲の妻(とその愛人)に殺された富豪の死体に入って蘇り、不幸な女性(イヴリン・キース/「風と共に」のスカーレットの妹!)を助けようとするが…
そうです!ウォーレン・ビーティの「天国から来たチャンピオン」のモトになった映画がコレ。
ビーティがアメフト、オリジナルのモンゴメリーはボクシングと、競技ジャンルは違えど、予想以上に「そのまんま」なリメイクシナリオにちょっとビックリ。役名までもかなり同じで、70年も昔のこの元映画の、着想がいかに斬新だったかがよくかる。「肉体を変えても自分と観客には同じ顔」のアイディア、事故後に雲の上を歩いてくる場面などイメージ的にも旧作で既に「できあがって」る。オリジナリティを買ってか、Imdbのランキングでも、リメイクを上回る高得点。
…個人的には、映画全体としては「天国」が好き、と思うけどね(^^;)。
リメイク版「天国から」の方が、マイペース主人公の心の動きや彼に驚かされつづける周囲とのギャップの可笑しさはしっくりはまる。リメイクとはいえ、ダテにオスカーは取ってない。20世紀も後半の観客に合わせた、シナリオの細やかなカスタマイズが効いているのだ。
そして何といっても、雲の上で見え隠れに腕立て伏せするビーティの可愛さバカさ。
とはいえ、「幽霊」にも当然見るべき価値はある。「こっちが先だから」ってだけじゃない。
主役はビーティが上と思うし、トンデモ悲鳴の悪妻ダイアン・キャノンと落ち着いた美しさのジュリー・クリスティの対照の妙もいい(旧作ヒロインズもそう悪くはないのだが、ちょっとおとなしい?)。トレーナー役はウェットな新ジャック・ウォーデン、ドライにぶっとんだ感じの旧ジェームズ・グリーソンどちらもそれぞれに味があると認めよう。
だが!
天国勢は、ハッキリ言って旧作の方が上!!
まず、ダメ天国よりの使者・ホートン。ルビッチ映画で、アステア・ミュージカルで、長年様々な名画に出演しては「アホの脇役」として“ポカをやらかす”ことで物語を転がしつづけてきた彼だ。「この人がいて、何かポカをやらかさないわけわない」という抜群の安定感に、バック・ヘンリーごとき(失礼)がかなうわけがない。
そして何より、上司のクロード・レインズが素晴らしすぎ。「天国」ではジェームズ・メイスンが演じた係官ジョーダン氏、そりゃメイスンも名優の誉れ高い俳優だし(ただし私の好みではない)、決して悪い演技じゃないと思うが、レインズの品のよいユーモアといぶし銀の風格爆裂にはどうにもこうにも、及ばないのである。
流れるように画面を動いてゆく姿、慈愛と厳格を縦横に放射する微笑、波打つ粋なロマンスグレイ…
元々レインズは割と好きな脇役だったのだが、約1時間半のこの映画、ずーーーーーーーーっとひたすら、レインズに見とれておりました。
思い出して欲しい(知らない人はちょっと聞いて欲しい)。
この映画の原作戯曲も、「天国から来たチャンピオン」も、英語タイトルは“Heaven can wait”だ。なのだが、なぜか「幽霊紐育を歩く」のタイトルだけは違う。どんなかと言うと…
“Here Comes Mr.Jordan”
コレである。
…無理ないよなあ、と、嘆息するしかない私であった(笑)
スカパー録画で視聴。Foxシネマにしては画質もいい(爆)
チャンプへの挑戦を夢見るボクサー、ジョー(ロバート・モンゴメリー)。
ところがある日事故にあった彼は、天国からの新米使者(エドワード・エヴェレット・ホートン)の勇み足で、まだ寿命があったのに魂を回収され、ミスだとわかった時には肉体は火葬に付されてしまっていた。使者の上司の係官(クロード・レインズ)はジョーに対して、代わりの肉体の提供を申し出る。ジョーはとりあえず、不仲の妻(とその愛人)に殺された富豪の死体に入って蘇り、不幸な女性(イヴリン・キース/「風と共に」のスカーレットの妹!)を助けようとするが…
そうです!ウォーレン・ビーティの「天国から来たチャンピオン」のモトになった映画がコレ。
ビーティがアメフト、オリジナルのモンゴメリーはボクシングと、競技ジャンルは違えど、予想以上に「そのまんま」なリメイクシナリオにちょっとビックリ。役名までもかなり同じで、70年も昔のこの元映画の、着想がいかに斬新だったかがよくかる。「肉体を変えても自分と観客には同じ顔」のアイディア、事故後に雲の上を歩いてくる場面などイメージ的にも旧作で既に「できあがって」る。オリジナリティを買ってか、Imdbのランキングでも、リメイクを上回る高得点。
…個人的には、映画全体としては「天国」が好き、と思うけどね(^^;)。
リメイク版「天国から」の方が、マイペース主人公の心の動きや彼に驚かされつづける周囲とのギャップの可笑しさはしっくりはまる。リメイクとはいえ、ダテにオスカーは取ってない。20世紀も後半の観客に合わせた、シナリオの細やかなカスタマイズが効いているのだ。
そして何といっても、雲の上で見え隠れに腕立て伏せするビーティの可愛さバカさ。
とはいえ、「幽霊」にも当然見るべき価値はある。「こっちが先だから」ってだけじゃない。
主役はビーティが上と思うし、トンデモ悲鳴の悪妻ダイアン・キャノンと落ち着いた美しさのジュリー・クリスティの対照の妙もいい(旧作ヒロインズもそう悪くはないのだが、ちょっとおとなしい?)。トレーナー役はウェットな新ジャック・ウォーデン、ドライにぶっとんだ感じの旧ジェームズ・グリーソンどちらもそれぞれに味があると認めよう。
だが!
天国勢は、ハッキリ言って旧作の方が上!!
まず、ダメ天国よりの使者・ホートン。ルビッチ映画で、アステア・ミュージカルで、長年様々な名画に出演しては「アホの脇役」として“ポカをやらかす”ことで物語を転がしつづけてきた彼だ。「この人がいて、何かポカをやらかさないわけわない」という抜群の安定感に、バック・ヘンリーごとき(失礼)がかなうわけがない。
そして何より、上司のクロード・レインズが素晴らしすぎ。「天国」ではジェームズ・メイスンが演じた係官ジョーダン氏、そりゃメイスンも名優の誉れ高い俳優だし(ただし私の好みではない)、決して悪い演技じゃないと思うが、レインズの品のよいユーモアといぶし銀の風格爆裂にはどうにもこうにも、及ばないのである。
流れるように画面を動いてゆく姿、慈愛と厳格を縦横に放射する微笑、波打つ粋なロマンスグレイ…
元々レインズは割と好きな脇役だったのだが、約1時間半のこの映画、ずーーーーーーーーっとひたすら、レインズに見とれておりました。
思い出して欲しい(知らない人はちょっと聞いて欲しい)。
この映画の原作戯曲も、「天国から来たチャンピオン」も、英語タイトルは“Heaven can wait”だ。なのだが、なぜか「幽霊紐育を歩く」のタイトルだけは違う。どんなかと言うと…
“Here Comes Mr.Jordan”
コレである。
…無理ないよなあ、と、嘆息するしかない私であった(笑)