1971年、ジャン=ポール・ラプノー監督作品。
60年代半ば頃から、ジャン=ポール・ベルモンド&フィリップ・ド・ブロカ監督のコンビは、「リオの男」「カトマンズの男」など一連のおとぼけスーパー・アクション・コメディで大当たりを取っていた。てんでブロカ監督でなくともベルモンド主演作にはやたら「…の男」という邦題がついているが、中でもこの「コニャックの男」は、“男シリーズ”の直系と考えてもよさそうだ。なんたってラプノー監督は、「リオの男」の脚本家でもあるのだから。
大昔に一度TV放映で見て以来、“男シリーズ”大好きの私にとっては見果てぬ夢の一作だったので、突然CS(シネフィル)が放映してくれたのには狂喜した。VHSは昔出てたような気もするが、DVD出てないし!(海外盤はあるようだが…)
舞台はフランス革命期。
新大陸で逆玉を果たしたニコラ(ベルモンド)は、富豪令嬢との結婚式場で元ライバルから「異議あり!フランスで結婚してただろ」と突っ込まれた。おりしも革命により離婚が可能になった!(それまではカトリック国だからペケ)というので、彼は故国へ舞い戻る。
実はニコラが新大陸へ渡ったのは妻シャルロット(マルレーヌ・ジョベール)に言い寄った男爵を殺したためだったが、探し出した妻は性懲りもなくイケメン侯爵(サミー・フレー)の婚約者におさまっていた。侯爵らとともに王党派の反撃をもくろむ大公(ミシェル・オークレール)も彼女を狙っている。邪魔しないでよ!と叫ぶシャルロットだが、侯爵の妹(ラウラ・アントネッリ)がニコラにベタベタするのは許せない様子(子供の頃ジプシーの占いで「貴族の奥方になる」と言われた彼女は、しつこくそれを引きずっていて、それが常に二人の喧嘩のタネだったのだ)。一度は焼け掘杭に火がつきかけたものの、ニコラの帰国が実は離婚のためだったと知ったシャルロットは激怒し大公と逃げ出す。さてニコラの進む道は?
何がイイって、フランス革命期のトンデモな世相が、さりげなくポンポンぶち込まれてるのが楽しい。ルソーの教育論にかぶれて放任主義の船客(シャルル・デネ)親子が船長を困らせたり、宗教的に解放?されたからって、妙な「理性の女神」とか設定してショーアップしてたり(史実)、むちゃくちゃ軽く人々がギロチンにかけられたり、離婚の窓口が長蛇の列だったり、革命派も王党派も奇人変人大集合だったり(初見時、シスコン侯爵&ブラコン妹にはちょー吹いた)、そのくせ折々に挿入されるフランスの森や田園などの風景は妙に上品で美しく、ミシェル・ルグランの格調高いのか格調高さのパロディなのか見事なまでに微妙なラインのBGMとマッチして、もう遊び心満載と感じられる。
…おぉっと、BGMを試聴できるページ発見!
http://www.disquesdessinee.com/shopdetail/001004000125
そして、そんなオシャレかつちょっと知的スノップに描かれる“激動の時代”の中、主人公たち二人が最初から最後までひたすら痴話ゲンカ状態!素晴らしい。明るくおバカなラストシーンまで、こりゃやっぱり100%私好みの映画でした。軽いフランス的エスプリとナンセンスなまでにスピーディな物語展開、とことん飄々としっぱなしの若々しいベルモンドの魅力、加えて派手な痛快なコスチューム・アクション。
回りを固める奇人変人たちもみんな魅力的(笑)
シャルロットからは割と邪険に扱われてたが大公ミシェル・オークレールもなかなかよかったなあ。←オジサマ好き
こういう映画が好きなんだな、ほんと。でも多分フランス映画の中(特に日本でウケるフランス映画の中)では傍流なんだろうな(笑)
だからあまり、フランス映画って見ないのよ…ベルモンド作品以外(^^;)
<追記>私は大公だの貴族の奥方だのと書いているが、字幕だとそれぞれ王子だの王女だのと訳されていたのがちょっとウザかった。prince、princess って、必ずしも国王の息子や娘じゃないんだよねヨーロッパでは。会話の中で王弟アルトワ伯の動静などが触れられるが、王子といったらむしろこっちでしょう。英国の公爵ならDukeだが、欧州の爵位肩書は多彩でめんどくさいのだ。
爵位はナポレオンも乱発してたし、結構適当だったらしいね。
60年代半ば頃から、ジャン=ポール・ベルモンド&フィリップ・ド・ブロカ監督のコンビは、「リオの男」「カトマンズの男」など一連のおとぼけスーパー・アクション・コメディで大当たりを取っていた。てんでブロカ監督でなくともベルモンド主演作にはやたら「…の男」という邦題がついているが、中でもこの「コニャックの男」は、“男シリーズ”の直系と考えてもよさそうだ。なんたってラプノー監督は、「リオの男」の脚本家でもあるのだから。
大昔に一度TV放映で見て以来、“男シリーズ”大好きの私にとっては見果てぬ夢の一作だったので、突然CS(シネフィル)が放映してくれたのには狂喜した。VHSは昔出てたような気もするが、DVD出てないし!(海外盤はあるようだが…)
舞台はフランス革命期。
新大陸で逆玉を果たしたニコラ(ベルモンド)は、富豪令嬢との結婚式場で元ライバルから「異議あり!フランスで結婚してただろ」と突っ込まれた。おりしも革命により離婚が可能になった!(それまではカトリック国だからペケ)というので、彼は故国へ舞い戻る。
実はニコラが新大陸へ渡ったのは妻シャルロット(マルレーヌ・ジョベール)に言い寄った男爵を殺したためだったが、探し出した妻は性懲りもなくイケメン侯爵(サミー・フレー)の婚約者におさまっていた。侯爵らとともに王党派の反撃をもくろむ大公(ミシェル・オークレール)も彼女を狙っている。邪魔しないでよ!と叫ぶシャルロットだが、侯爵の妹(ラウラ・アントネッリ)がニコラにベタベタするのは許せない様子(子供の頃ジプシーの占いで「貴族の奥方になる」と言われた彼女は、しつこくそれを引きずっていて、それが常に二人の喧嘩のタネだったのだ)。一度は焼け掘杭に火がつきかけたものの、ニコラの帰国が実は離婚のためだったと知ったシャルロットは激怒し大公と逃げ出す。さてニコラの進む道は?
何がイイって、フランス革命期のトンデモな世相が、さりげなくポンポンぶち込まれてるのが楽しい。ルソーの教育論にかぶれて放任主義の船客(シャルル・デネ)親子が船長を困らせたり、宗教的に解放?されたからって、妙な「理性の女神」とか設定してショーアップしてたり(史実)、むちゃくちゃ軽く人々がギロチンにかけられたり、離婚の窓口が長蛇の列だったり、革命派も王党派も奇人変人大集合だったり(初見時、シスコン侯爵&ブラコン妹にはちょー吹いた)、そのくせ折々に挿入されるフランスの森や田園などの風景は妙に上品で美しく、ミシェル・ルグランの格調高いのか格調高さのパロディなのか見事なまでに微妙なラインのBGMとマッチして、もう遊び心満載と感じられる。
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そして、そんなオシャレかつちょっと知的スノップに描かれる“激動の時代”の中、主人公たち二人が最初から最後までひたすら痴話ゲンカ状態!素晴らしい。明るくおバカなラストシーンまで、こりゃやっぱり100%私好みの映画でした。軽いフランス的エスプリとナンセンスなまでにスピーディな物語展開、とことん飄々としっぱなしの若々しいベルモンドの魅力、加えて派手な痛快なコスチューム・アクション。
回りを固める奇人変人たちもみんな魅力的(笑)
シャルロットからは割と邪険に扱われてたが大公ミシェル・オークレールもなかなかよかったなあ。←オジサマ好き
こういう映画が好きなんだな、ほんと。でも多分フランス映画の中(特に日本でウケるフランス映画の中)では傍流なんだろうな(笑)
だからあまり、フランス映画って見ないのよ…ベルモンド作品以外(^^;)
<追記>私は大公だの貴族の奥方だのと書いているが、字幕だとそれぞれ王子だの王女だのと訳されていたのがちょっとウザかった。prince、princess って、必ずしも国王の息子や娘じゃないんだよねヨーロッパでは。会話の中で王弟アルトワ伯の動静などが触れられるが、王子といったらむしろこっちでしょう。英国の公爵ならDukeだが、欧州の爵位肩書は多彩でめんどくさいのだ。
爵位はナポレオンも乱発してたし、結構適当だったらしいね。