The Toast Of New Orleans
The Toast Of New Orleans
1950年、ノーマン・タウログ監督作品。カラー、日本未公開。

「ザッツ・エンタティンメント」の中でマリオ・ランザとキャスリン・グレイスンの歌う“Be My Love”のシーンだけ『ニューオリンズの美女(日本未公開)』として日本に紹介されています(笑)(『ニューオリンズの乾杯』と訳されてる場合もあるようですが)
米盤ミュージカルDVDボックス、"Classic Musical from the Dream Factory volume 2" 収録分より視聴(英語字幕あり/リージョンオール!)。
(参照http://13374.diarynote.jp/200902271555324824/)

日本のアマゾンでは海外版VHSしかあがってきませんが。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00000F6O0?ie=UTF8&tag=boatswascot-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=B00000F6O0


舞台は100年ほど前のアメリカ南部。ペピ(ランザ)はバイユーの若いエビ漁師だが、明るく奔放な気性と抜群の美声で村のアイドル的存在(笑)。その才能をオペラの監督&プロモーターのジャック・リブドゥ(デヴィッド・ニーヴン)が認めてオペラをやらないかと誘う。ペピは最初は誘いを断るが、叔父と自分の漁船が沈没し買い換える金が要ったのと、美しいオペラ歌手シュゼット(グレイスン)に惹かれたことでニューオーリンズへと出てくる。実は彼女はジャックから求婚されていたのだが、強引で純粋なペピにも惹かれるようになり…

クラシック・ミュージカルではしばしば、筋はあってなきが如きもの(笑)
ランザとグレイスンの美声を楽しむためだけに作られていますので、そういう映画の嫌いな人はパスして下さい。
私はクラシック・ミュージカル好きとはいえ、ダンスが一番好きで、オペラはあまり興味がないので、観る前は期待していなかったのだが、聞いてみるとランザの美声はなるほど凄い。椿姫の「乾杯の歌」や蝶々夫人などオペラの有名どころに加えて、もう少しミュージカルっぽい英語の歌も何曲も歌う。とはいえさすがに踊りはできないので、漁師仲間のジェームズ・ミッチェル(「オクラホマ!」に出てたらしい)や若いリタ・モレノがダイナミックなダンス・シーンをサービスしてくれる。

面白いのはペピと叔父(J.キャロル・ナイシュ)の設定。彼らの田舎者っぷりは相当なもので、「人前に出せるよう」ジャックとシュゼットが苦労して色々と特訓を施すのだがあちこちで騒ぎを起こしまくり。だが、一年の半分をオペラ、残り半分をエビ漁師として暮らせたら理想だ、と言うペピは、本当は一番もののわかった人間なのかもしれない。
とはいえ、そんな彼に結局道を譲ってやるジャックの、オトナの気遣いもまた美しい。

カラフルな、そしてノスタルジックな風俗情景をバックに、のんびりとマリオ・ランザのテナーを楽しみましょう。何本も見たら飽きるかもだが、一度見てみてソンはない人です。日本では「歌劇王カルーソ」しか公開されていないらしいけど。
この「歌劇王…」、ドミンゴ等三大テノール全員にとって「オペラを志すキッカケになった映画」なのだそうな。そして、なんとわずか38才で夭逝したらしいというのにも驚く。

そして、二枚目だけど彼の泥臭さは鼻につく、というムキは、デヴィッド・ニーヴンのどこまでもスマートで紳士的な挙措に見とれていればよいのです。
なんというかこのニーヴン様、若すぎず老けすぎず、ルックス的にはまさに旬!なお年頃。ヒーローとヒロインの子供っぽさを埋めてあまりあるカッコよさにウットリの私なのでした(笑)

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